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中国の東南アジア技術支援に対抗せよ(THE DIPLOMAT記事)

写真出展:Gerd AltmannによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/geralt-9301/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=4118695

 2023年5月11日にTHE DIPLOMATは、中国の東南アジア技術支援の現状に関する記事を発表した。内容は、中国による東南アジアのAI企業への投資額増加の現状を概観し、アメリカがこれに対抗していくよう提言するものである。最近は中国の景気悪化やアメリカによる輸出規制による苦境が多く報道されるようになっているが、中国は自国民をいくら虐げても大した問題がない国であることから、対外投資は相変わらず盛んであり、途上国の指導者層や民間経済が取り込まれている。このことは日本にとっても他人事ではなく、米中技術覇権において、東南アジアに一定の影響力を持つ日本の役割を探るうえで大いに参考になると思われる。今後の技術覇権をめぐる動向を探る参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(Don’t Sleep on Chinese Tech Investment in Southeast Asia)
https://thediplomat.com/2023/05/dont-sleep-on-chinese-tech-investment-in-southeast-asia/

1.本記事の内容について
 ・今や中国の巨大技術企業であるアリババ、テンセント、ファーウェイは、グーグル、アマゾン、マイクロソフトよりも多くのデータセンターを東南アジアに設立している。中国共産党が巨大技術企業に対してより統制を強めている中、東南アジアにおける急速な拡大は政治的な意味合いを帯びていると言えよう。
 ・シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナムなどの国々は米中間でうまく立ち回る戦略を採用していることから、中国は勢力の取り込みにかかっている。10年前まではアメリカ企業に及ばなかったものの、現在は対抗できる製品を作れるようになっており、各国政府が懸念するほど民間レベルでは中国製品が拡大し続けている。
 ・中国はクラウドサービス、サイバーセキュリティ、ICTインフラに加え、AI技術支援も行っている。東南アジアはデジタル経済が急速に拡大している地域であり、各国はAI戦略を策定し、更にデジタル経済を推進しようとしている。中国は各国のAI戦略に相乗りする形で企業買収、スタートアップ企業支援、研究所設立を推進している。
 ・ただ、中国の急速な東南アジアへの進出が直ちに脅威となるわけではない。2023年2月に発表されたCSETの報告書によると、2011年から2020年にかけてのAI市場への投資額ではアメリカに後れを取っている。しかし中国企業は政府と民間をつなぐ幅広い範囲への投資を進めることで対抗しようとしており、例えばファーウェイは、2016年以降シンガポールに3つの研究開発拠点を設立して市場拡大を推進しているが、このうちOpenLabはアメリカの安全保障上の脅威として2020年のエンティティリストに登録されるに至っている。
 ・一部東南アジア諸国政府は、中国の技術企業にスマートシティ事業などで連携しようとしている。顔認証技術で有名なメグヴィは、タイのAI企業スカイアイと提携して監視カメラ能力向上や交通規制に取り組んでいる。各種産業がAIに依存するようになっていることを鑑みると、AIと絡めた技術支援はより脅威になっていくと考えるべきである。
 ・ただ中国経済が悪化し、アメリカの輸出入規制が強まることで、この動きは一時的に停滞することが予測される。しかし、アメリカはインドや東アジアの同盟国や同志国との連携を強めることには熱心だが、東南アジア諸国と緊密に連携することについてはそれほど熱心ではない。中国の東南アジア進出を侮ることなく、東南アジアへの取組を推進しなければならない。

2.本記事読後の感想
  今回の記事は、CSETの報告書の一部を解説したものである。理解を深めていただくため、実際のデータと共に見てみよう。
  まず、東南アジアのAI企業への投資額と投資国のシェアを見てみよう。(図1,図2)

 投資額は2020年を除いて大きく増加しており、更に海外企業からの投資額は半分以上を占めており、海外から有望と見られていることがわかるだろう。次に各国の投資額の割合を見てみよう。(図3,図4)

 アメリカが突出しているのは言うまでもないが、中国も急速に追い上げており、投資額が拮抗する可能性がある。
 日本では規制が強いことや国民が変化に抵抗しやすいことから、AI産業を発展させたいと考えてもかなり困難な状況である。このため、こういった途上国に支援することで成功事例を積み重ね、日本に還元していくという方法で科学技術の発展につなげていくなどの変化球が必要だろう。日本政府からこういった具体的な戦略が出てきて欲しいものだが、岸田政権ではこういったものは出せないだろう。

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