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ロケ地と絵コンテの密接な関係(初心者の映画制作講座)

今回は<撮影準備>についてのお話。

「準備がとても大切」

これに対し、異論がある人はいないでしょう。

ところが、撮影の準備、となったとたん、
多くの初心者の方は、準備不足になってしまうのです。

 * * * *

例えば、友達10人で旅行をするとします。

企画者であるあなたは、
いろいろと準備することに追われます。

ホテルの部屋は大部屋がいいのか、
二人ずつ小分けがいいのか、
または、個室を10部屋取るのか。

旅先までの移動はどうするか。
新幹線の席は近い方がいいんじゃないか。
少なくとも同じ車両にしたい。

現地の移動はどうするか。
タクシーだとわかれないといけない。
マイクロバスを借りるか・・

・・このように、
現地での様子をあれこれ想像して、
そのために準備をする。

ですよね?

今、さらっと今回のポイントを書きました。

それは、

【現地での様子をあれこれ想像して】

の部分です。

撮影準備もまた、
【現地での様子をあれこれ想像して】
行う必要があるんです。

 * * * *

撮影初心者の方の準備というのは、
次のような思考になりがちです。

  • シナリオは書いた。

  • 役者も集めた。

  • スケジュールも確認した。

  • ロケ地も決めた。

  • スタッフも集めた。

  • 機材も揃えた。

準備OK!
と。

これを旅行に例えると、

  • 一緒に行く友達に声かけた。

  • 行く日も決めた。

  • 行く場所も決めた。

  • どこに行きたいかも考えた。

  • 着替えなど荷物はある。

準備OK!
みたいな感じなんです。

ちょっと待った!
ぜんぜん、準備できてないですね。


このまま旅行に突き進むと、
・チケットは取ってないから、みんな乗れなかったり。
・ホテルは取ってないから、部屋が埋まってたり。
・現地でどこに行こうか話し合ってる間に1日が終わったり。

・・・最悪な旅行です。

旅行の準備には、
【現地での様子をあれこれ想像】
しておくことが欠かせません。

これは、撮影準備も同じなんです。

では、撮影の準備における
【現地での様子をあれこれ想像】
とは具体的にどんなことなのでしょうか。

 * * * *

僕は、
「初心者ほど、絵コンテを描こう」
と言い続けていますし、その考えは揺らぎません。

絵コンテは、映画の設計図になるだけでなく、
撮影準備にも役に立つんです。

絵コンテを描くことで、
現地の様子を具体的にイメージでき、
それが的確な撮影準備にもつながっていきます。

絵コンテは、美しいイラストを描くことが目的ではありません。

シナリオをどう撮るのかをイメージし、「配置」が分かれば十分。

配置だけ。
だから、一カット2、3秒で描く、くらいでいいのです。

ホテルの部屋割りを考えるのに、
いちいち、部屋の中の間取りを絵にしたりしませんよね。
ホテルの絵を描いたりもしない。

 * * * *

具体例を挙げていきます。

考え方と、絵コンテとロケ地の関係を一緒に見ていきましょう。

【1】喫茶店のシーン

(1)まず、ざっと撮りたいカットを
簡単な絵コンテにしていきます。

描いたものがこちら。

何度も書きますが、これはメモですよ。
文字で言うなら、殴り書きです。

でも・・これで十分なんですね。
絵コンテメモ、とでも呼びましょうか。

(2)絵コンテメモを見て、
撮影をイメージします。

カット1は、喫茶店を外から撮っています。
喫茶店の窓が小さくなるくらいの場所。

喫茶店からそこそこ離れる必要があります。
都会で道が狭ければ、道路に近づいてしまうでしょう。

もし実際にそういう場所が見つかているならいいでしょう。
でも、まだなのだとしたら、このままだと自分の首を絞めることになります。

カット1は、無しとする。
カット2からスタートとする。

そうすれば、「遠くから喫茶店を撮る」必要がなくなります。

または、カット2をきっさん店の看板に変えて、
カット3からスタートとする。

そうすれば、撮影がぐっと楽になります。

また、カット5。
この男女の背景はどうか。
喫茶店の店内が広く見渡せる設定だったら、
他のお客さんもエキストラとして用意しなければいけません。

もし時間や余裕がないなら、
男女の背景を壁にすれば、撮影が一気に楽になります。

【2】一人暮らしの部屋のシーン

(1)ざっくりと絵コンテメモを描きます。

主人公が部屋に入ってきて、
机に座り、
考え事をしながら、
何かをせっせと書いている。

(2)絵コンテメモを見て、
撮影をイメージします。

カット1を描いて気になるのは、
スタッフの立ち位置です。

一人暮らしの部屋なら、
6畳とかのサイズでしょう。
部屋全体を撮るカットなら、
スタッフはどこに入ればいいのでしょうか。

つまり、僕ならこの日の撮影は、
スタッフを極限まで減らします。

また、カット2やカット3は、
机の前にカメラを置くスペースがあるのか。

カット5やカット6は、
主人公の頭の上から撮るための、
背の高い三脚が必要だな、ということがわかるのです。

 * * * *

ざっとシンプルに
絵コンテ(メモ)を描いてみて、
撮影のことをイメージしてみる、
という流れがお分かりいただけたでしょうか。

まあ、絵コンテメモとは書きましたが、
正直、普段僕が描く絵コンテもこんな感じです。

で、必要に応じて、
きれいに描き直したりするのです。

仕事の映像だから、
お客さんにしっかり見せたい、とか、

役者が所属する事務所に提出するから、
ちゃんとした絵コンテを送りたい、とか。

でもみなさん、そんなことばかりではないでしょう。
もっと気軽に、個人で仲間と作るだけだったり。

だとしたら、

絵コンテメモで十分なんです。

絵コンテというとどうしても、
「きれいに描かないと絵コンテではない」
という考えに固執してしまう人が一定数います。

しかし映像の絵コンテは、撮影時に、関係者しか使いません。
だから、自分とカメラマンだけが分かれば十分、ということは多いんです。

何かを考える時、
まずノートを広げて、思いついた言葉を
ちらほらと文字で書いてみる。

この文字は、自分だけが読めれば十分じゃないでしょうか。

絵コンテも、このくらい気軽に使えるようになると、
撮影のイメージがどんどん具体的になっていきますよ。

カルフの映画制作体験ワークショップでも、
簡単な絵コンテ講座とともに、
その後、実践的に絵コンテを撮影に活用します。

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