見出し画像

電子書籍への書き込み

 元々、大学生の頃から書き込みをする習慣があった。
 もちろん自分で購入した本、それも今後売却する見通しが無い本についてである。それでも心のどこかで「万が一」を考えて、鉛筆で書き込みをすることが多かったように思う。

 そういう習慣が先天的にあったわけではない。当時で言うと、政治学者の丸山眞男が好きなクラシックの楽譜を購入し、そこに書き込みをしていたという話が印象に残っている。

 残念ながらこの本は今、手元には無いが(書庫にはあるかも知れないが、探してくる気力が無い)、こういったエピソードに少なからず影響を受けているところはあるのだと思う。

 大学卒業後、読書自体の習慣が薄れ、それとともに本への書き込みというのも当然減少していくのだが、通信教育で大学に再入学し、3年めに入って再びその習慣が現れるようになった。

 紙の本もそうだが、特に最近は電子書籍にメモを残したりすることが増えたように思う。Kindleにはメモ機能というものがあって、そこに思いついたことをつらつらと書き込むことにしている(音声入力もできるので、あるい意味紙の時代以上に書き込みはしやすい)。

 別に深いこと、きちんとしたことを書く必要も無くて、そこに書くのは書いてあることの要約であったり、その記述を読んで感じたことだったり、はたまた普段は口にしないような野次まがいのことを書くこともある。文章に触れて、触発されたことをひたすら発露していけば良い。アカウントを共有しているとかでなければ、それらの言葉が他者の目に触れることはそうそうあることではない。
 一方でそれはただの「書き込み」ではなく、難しい本を理解しようとした苦労だったり、あるいは著者や物語に対する自分自身の対話の、"貴重な"痕跡でもある。それは読書感想文のような具体的なものに限らず、今後の知恵といったものに昇華していく、そのような気がしている。

 紙の書籍に書き込みをするということに抵抗のある人がいることも承知している。過去に実用書に煽られて、書き込みに「失敗した」という経験をお持ちの方もいることだろう。しかし、電子書籍への書き込みなら抵抗感なくできるのではないかとも思う。

 結構おすすめです。

(2022/11/19 事実誤認があったため一部修正)

🙇よろしければサポートお願いします🙇