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「第8回横浜トリエンナーレ 野草:いま、ここで生きてる」(横浜美術館)

 タイトルにつけられた「野草」というのは中国の小説家である魯迅の散文詩集のタイトルより。前回は確か夏頃の開催ということもあり、「楽しい」という印象も強かったのですが、今回は昨今の世相を反映し、シビアな話題に触れた作品が多かったように感じました。「楽しむ」を目的に美術館に行くと面食らう作品が多いかと正直思いますが、かつてジェリコーやゴヤがそうしてきたように、同時代を生きる現代芸術だからこそできることでもあります。
 印象に残ったのは、複数箇所に展示されていたトマス・ラファの映像シリーズ(2)。中央ヨーロッパの民族系デモ隊と警官隊との衝突を通じ、両者に共通する目的以上の熱狂、キャプションの言葉を使えば「暴力への陶酔」にスポットを合わせたもの。若干カメラアングルの近さはあるにせよ国際ニュースで観るレベルのそれですが、立ち止まってしまう映像作品です。また、丹羽良徳による、展示室の壁を覆うようにして足場が組まれ、映像や絵画のインスタレーションをされていた作品も印象的でした(3)。言葉としての主張・メッセージというより、そのパッションに惹かれる作品です。割と有名どころでは、坂本龍一がナム・ジュン・パイクの追悼ライブで使用したバイオリンなんていうものも(4)。まぁ、画像の通りです(笑)
 
 割と穏やかならざるテーマも多い今回でしたが、それだけに縄文土器(8)と、岡本太郎の撮影した写真のインスタレーションが優しい回でもあったと思います。児島善三郎の《長崎風景》も素敵な一枚(1)。

https://www.instagram.com/p/C4vBpEgvUZ7/


マイルズ・グリーンバーグ《マルス》(2022)
勅使河原蒼風《題不詳》(1963)
マシュー・ハリス《忘却の彼方へ》(2023)
(左から)
ジョシュ・クライン《営業終了(マウラ/中小企業経営者)》
《生産性の向上(ブランドン/会計士)》(ともに2016)
浜口タカシ《佐藤首相と沖縄県民代表(『鉄条網の内と外』より)》(1971)
アルタン・ハイルラウ《休校日》
勅使河原蒼風《たち 古事記連作》(制作年不詳)
エクスパ―・エクサー《無題(M+に捧げる) 1991/2021》
※セメント、モルタル、墨、アクリル絵具、人工歯、キャンバス
ピッパ・ガーナー《Un(tit)led(人と車人間)》(1969-72頃)
ピッパ・ガーナー《Un(tit)led(軍服のセルフポートレート)》
中島清之《古代より(二)》(1952)
児島善三郎《長崎風景》(1962)
丹羽良徳
坂本龍一《記録映像「ナム・ジュン・パイク 追悼ライブ farewell, njp」2006年11月2日》
坂本龍一《「ナム・ジュン・パイク 追悼ライブ farewell, njp」(企画:ワタリウム美術館)でパフォーマンスに使用したヴァイオリン An homage to "One for Violin(Solo)"》(2006)
トマス・ラファ
トマス・ラファ

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