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【鼻フォーク】著者的ハイライトシーン

前置き

2022年9月ごろからインスタグラムにて投稿し始めた
鼻にフォークを刺された話
という私自身の過去の体験を描いたエッセイ漫画が
大変幸運なことに昨年2023年7月末にKADOKAWAさんより
「メンヘラ製造機だった私が鼻にフォークを刺された話」として
コミックエッセイとして出版いたしました。
え?流血バトル漫画じゃないの?


書籍化やで

どの書籍化においてもそうだとは思いますが
当然、私も今回の書籍化に際しては色んな裏話がありまして
誰かに「よう頑張ったな」と褒めてもらいたくてパブロフの犬みたいになってるので
よく聞かれる「書籍化ってどうすればできるの?」という点については
あくまで私自身の経験則に基づいた話で
こことはまた別の記事で近々一人語りしてみようと思っております。
今回はまた別のお話。


個人的ハイライトシーン

本編内において完全にかりんこの
”個人的ハイライトシーン”なるものがいくつかありまして
そう言ったシーンはなんと言いますか・・・

「この話を描いて世に出す」

と決めた時から
「絶対に描こう、絶対に削らない。」
と強い気持ちで当時の映像や痛みや言葉のやり取りを
脳内で抽出しておいて実際に描くことは叶ったシーンを指すわけですが

そう言ったシーンがどういうものかと言いますと
例えば鼻フォーク冒頭部分の、
私が彼ピッピに突き飛ばされ、怒りで逆に相手にタックルした後の
コンプラやばそうな罵声シーン
(罵声も当時ほぼ覚えてる限りのそのままを律儀に描いたのですが
今思えばもっと悪口描いとけばよかった。早漏!!!とかさ。)
いや別にそうだったってことじゃないんだけど、
・・・かと言って遅いとかじゃないんだけど。
・・・いやかと言って、早いということでもn・・・)


ナツさんが回し蹴りで彼ピッピの侵入から私を守ってくれたシーン
ジョニーとお母さんとの南国のシーン
先生からいただいた優しい心や気遣い
などが、そういったものになります。


著者的ハイライトシーン

ただその中でも
ぜっっっっっっっっっっっったい
どんっっっっっっっっっっっな圧力を受けたとしても
例え圧力かけてきた相手と刺し違えてでも
(というか肉と命切らせて骨を断つ気概ですね)

「ここは描く。誰がなんと言おうと描く。」
と決めていたシーンがたった一つだけあります。
みなさんどこか分かるかな?
・・・多分、ここまで言うと分かる人はポツポツいるかもな。
コメントいただく時は何となく、ぼかしてくだせぇ。。笑

正直、波紋を呼ぶシーン(その場の登場人物全て)になるかなあ
と描く前から思っていたので原稿の清書の際も力が入りまくった、
そんな思い出のシーンでもあります。
基本的に私は絵がそんなに上手くも緻密でもないので
1P平均30分〜1時間で作画が終わり筆が割と早い方ではあるのですが
ここのシーンにおいてだけは画角や表情の作り方など
その1ページだけで作画にかかった時間はトータル4時間くらいかかりました。
いや、少年漫画の先生たち1P最速で8時間とかバケモンやで


KADOKAWA英断やで

最初に書籍化打診のお声がけをいただいたのが
X(当時Twitter)のアカウントDMからでして
直接今の担当者の方からご連絡いただきました。
実は最初、本気で偽物だと思い、ぬこ様さんにDMで相談した私バカすぎる

KADOKAWAさんの社内の企画会議に雁首そろえたのが
恐らく2022年11月ごろのことだったかと。
その頃はちょうどインスタで鼻フォーク連載を始めて
ちょうど満2ヶ月後ぐらいで
右も左もわかっていない状況の私が

「企画会議、無事通りました!書籍化、決定です!」

と担当者の方からご連絡いただいたのが12月頭くらい。
そこからタイトル決めしたり表紙決めしたり扉絵と言われる
章の切り替わり部分の1Pを何にするかなど
細々したことを決めていきつつ普段のSNS投稿(当時鼻フォーク1本)を続け
裏ではSNS部分にまだ全く出していない結末までのラフを描いたりしていました。

鼻フォーク7話あたりまで描いた時点で私の頭の中では

この話の一番最後のページをどういう描写にするか
というのは既に決まっていました。

だって始祖の巨人もってるもんねぇえーーー!
でもそこに辿り着くまでの紆余曲折のまとめ方や入れたいシーン、
残したい言葉の選定や配置が難しく、
また、書籍化が既に決まっていたこともあり私の中では
若干の商業脳的な魅せ方を意識するという人生初のムーブが発動しており
ネームが全く描けなくなってしまいました。

でも期日は迫る、優しい担当さんの声色で電話が度々かかってくる。
すみません、まだ。と答えなくてはならない、だってそもそも物がない。
担当さんとの電話切る。机の前に座りiPadと無言の見つめ合い。
無駄に1時間、2時間と浪費し、でもやっぱり出てこない。
いや出てくるけど描いても描いてもど素人の魅せ方ムーブが邪魔して
ページや展開が進まない。

それでも期日は迫る。優しい担当さんの声色で電話がかかってくる。
もう後ろには行けない。どうしよう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・来た。

なんか突然降りてきた。
その結果、締め切り無理矢理伸ばしてもらいながらではあるものの
2日間でラストまでの80Pネームを描き切りました。

そう、そんな、とてもじゃないけど大人とは思えないような
ぐずぐずタイムスケジュールの中で出てきたネームの中に
著者的ハイライトシーンが組み込まれることとなったのでした。

担当さんにネームを送った後はずーーーーっと

「どうかここは削らないでくれ!!!」

「この1Pだけは頼む!
削らないでくれ!!!!!!!
削られたとしても結局しれっと私は残す!!!
だから消さないでくれ!!!!」

と生き霊を飛ばした記憶が鮮明に残ってます。こわっ。
いや普通にそう言えよって話なんですがその当時は自分のような
ど素人がそんな偉そうなことを言っていいのかどうか判断つかず
削られたとしても、しれっと復活させてやろう、
それで怒られたら交渉しよう。みたいなスタンスでした。

結局は担当さんと以心伝心しました。
しっかり残してくださいました。
マジでKADOKAWAさん、この人のこと雇ったの英断やで。
あとで担当さんよりもう少し上系の人から
「本当にこれ、あったんだよね?大丈夫だよね?」
と確認が入ってちょっとビクッとなって漏らしかけたのは内緒。


個人的と著者的の違い

上記冒頭にて記述した通り「個人的ハイライトシーン」と、
タイトルにもある「著者的」というので言葉を分けたのには
マリアナ海溝ほどではないけども、そこそこの深いわけがあります。
まぁ私の深いは足湯もできないくらいの深さかもです。

個人的に、というのは自分でも描いてて楽しかったし
「あの時のあれは絶対入れなきゃ」「あの場面は今後の展開的にも必要」
「ここはちゃんとこう描いた方が読んでる人も盛り上がるだろうな」
「ここは結構みんな褒めてくれるシーンだなあ」
といった自分+読者の方々でコンセンサス取れてる系
イカしたシーンって感じのイメージで列挙してみました。

対して著者的の方は、
「この体験をした私がエッセイ漫画を描いて世に発表し、
それを多くの方に読んでもらった際に
100人中95人の心の中には強烈に残ってほしい作中屈指の印象的なシーン
みたいなイメージで分けて言ってます。
つまり完全に著者という特権を生かした勝手な押し付けに近いかもです。
でもそういう狙いや思いがあって本編内の著者的ハイライトシーンは
描き切りました。


最後に

どうだい?わかったかな?
この狙いや思いが外れてる可能性も十分ありえるので
こういったお気持ち表明をするかは非常に迷ったんですが
でもせっかく、一生に一度あるかないかの本を出版なんて経験が
いま出来てるわけですし、著者は私ですし
鼻にフォーク刺される体験したのも私ですし

それなら自分の力込めたシーンの説明や補足ぐらいは
してもいいかあ。なんて思いながらこれを夜中3時に勢いで書いてます。

途中にあった書籍化のくだりとかは
もっと詳細書いた記事を近日中に投稿予定なので
興味ある方や書籍化をしたいと思っている方、既に書籍化済みで
他の人のルートがどんな風なのか知りたい方、など
少しでもアンテナがぴっこーん!ってしてくださった方は
ぜひチラリズムしにいたしてください。

最後まで読んでくれたあなたは1週間以内にきっと
魚介濃厚つけ麺がうますぎて脳汁ぶしゃーーー!!してしまう、
池袋の狸穴に行きたくなることでしょう。

読了ありがとうオリゴ糖!

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