[大会記録]課題と施策

前回の記事から約2ヶ月。7試合に及んだ新人戦が終わった。都大会まで後2つ。チーム数の多い我々の地区を突破するのは容易ではないが、この壁に3度跳ね返される結果となった。

この記事では4つのトピックからこの大会の評価、そして来季に向けての施策を打ち出したい。

マクロな駆け引き(保持)

後方に引き込みボールを動かして相手のプレスラインを越え、背後に出来たスペースを速く、そして最小限の幅でアタックすることが目標であった。

3−2系のビルドアップなのだが、課題としては
・後方1列目の3人の距離感
・幅を取る選手の高さ
・受け手となる2枚のCHの立ち位置と身体の向き
が挙げられる。

全てに共通して言えることが、相手からの圧力で立ち位置を変えてしまっていること。もちろん相手を見てサッカーをすべきだが、まずは自分達の初期の立ち位置とボールで餌を撒き相手の陣形を崩し、そこから相手の背中や脇を取っていきたい。

つまり駆け引きの主導権を握り、能動的にボールや立ち位置を動かしたい。

消極的な立ち位置を取った結果、パスコースの選択肢(脇のCBを頂点にした菱形を常に意識している)を自ら消してしまう、また、フィールド中央で相手に捕まり、認知出来ないままにロストする場面があった。

プレスの枚数も圧力も強い相手、そしてピッチの大きさが狭い時に駆け引きの主導権を明け渡してしまったことは課題だ。しかし、1度目の敗北以降は相手を見て「ラインを越える」「遠くから選ぶ」という目的を達成する場面が増えたことは好材料だ。

今後は、場所を支配する練度を高めるとともに、相手の足を止められるようなゆったりとしたテンポを身につけ、緩急を操れるチームに仕上げたい。

ミクロな駆け引き

最終戦でまざまざと見せつけられたのだが、個人でボールを扱う技術があればあるほど相手との駆け引きで主導権を握ることができるし、選択肢の数を増やすことが出来る。

個人の技術向上は集団戦術のレジリエンスを向上させる。「無理がきく」という意味ではなく、相手を迷わせる、策をハマらせないという意味で。

もちろん、ボールを持つ局面に限らず、フリーランや相手からボールを奪う部分でも同じことが言える。

ただ、いわゆる「試合で使える技術」を習得するためには認知、判断と切り離して考えることはできないし、「目的達成のために技術が必要になる」という状況をトレーニングの中で多く作ることが肝要になる。

そうしてリアルに近い場面を多く体感させた上で基礎的な練習をするからこそ、一見単調に見える練習の中で選手達の脳を活性化させることが出来るのではないか。

私の中で、この「試合で目的を達成するために必要」だから基礎の練習をするという意識を自然と選手に持たせるアプローチが足りなかったと反省している。

非保持

基本的に失点は自陣でのビルドアップのミスとセットプレー。崩されての失点は1点のみ。だからと言って非保持が機能していたとも言い切れない。

蹴って陣地回復を優先するチームに対してはバックラインの弾き返す能力も、中盤がセカンドボールを拾うことも足りていなかった。それでもコンパクトに保って相手からの供給の質を下げるか、後方のスペースを消しておいて前方向に守備をするか、意思共有が足りていなかった。

また、442でブロックを組んでいたゆえにアンカーの対応には苦慮。他にも、SBが低い位置を取るチーム相手にSHが釣り出され、それをトリガーに背中を取られ続ける場面も。

ブロックを組むと決めれば場所を埋めることとゴール方向から外へ追い出すことはある程度出来る。保持の練習の裏返しで習得出来る部分だからだと予想している。

しかし、プレッシングがハマりまくった試合は明確な格下相手のゲームを除くと1試合か。秩序を乱すことを私が嫌っているからでもあるが、敵陣で人基準のプレッシングは武器として備えておく必要があるだろう。

保持、非保持共に場所を基準に秩序だったプレーは得意としているが、時間をコントロールする、相手から奪う部分が足りていない。

ここは練習における制約をつけることで習得させられるかもしれない。

メンタル

急にサッカーのプレー面とは異なる話になるが、試合を戦う、それもトーナメント形式である以上はメンタル面での充実は不可欠なものになる。

やはり行事明けの日や誰かが忘れ物をしたゲームは入りが難しくなる。会場や入り時間の違いが気になって私自身も良い準備が出来ないこともあった。

中学生にどのように”Cool Head Warm Heart”でいさせるか。そしてピッチ内で落ち着きをもたらすような振る舞いや声かけをさせるか、ベンチから自分がそれらを出来るか。

「体育」的なアプローチは嫌だし、私は教育的責任はある程度負っているかもしれないがいわゆる教育者ではない。

中学生年代は最も精神的に不安定な時期であるし、学校の環境も特殊だ。各個人、そしてチームをよく観察して試合に臨む良い準備を、そして脳内をスッキリと、落ち着かせるためのアプローチにはより拘っていきたい。


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