見出し画像

”私の”パーティクルライブの作り方(シーン・カット編)

※注:「シーン」と「カット」について

本記事では、便宜上「シーン」と「カット」という用語を使用します。
シーンとは、1つの曲において1つの舞台・場面になるもの。
カットとは、1つのシーン内における変化とします。

1つのシーンに複数のカットが存在する

はじめに

今回の記事では、VRChatにおいてパーティクルライブを制作するにあたり、私が大切だと感じている事を徒然なるままに書き連ねていこうと思ったのです・・・が。

なんというか、想像よりも多くなりそうなので、今回は「シーン」と「カット」に限定して説明しようと思います。

パーティクルライブとは?

今回はパーティクルライブは、バーチャル空間において一般的に曲をお借りして作る演出によるパフォーマンスの総称とします。他にもVRMVなど様々な呼び名が存在します。
(パーティクルというものを使わない作品もパーティクルライブと総称していたりする事が多いですが、総称の中で最もよく使われているので多くは便戦場パーティクルライブと定義づけて問題ないと思われます。)

ほんの一例になりますが、YSS+Soraneko氏によるPV及びパーティクルライブのYoutube動画をご覧ください。

パーティクルとは?

パーティクルとは上記動画中に存在する光っていたり地面で膨張していたりetcしている粒子のです。
ゲームの世界でも土埃や攻撃の演出、弾丸など様々なところでパーティクルと言うものが使われていますが、パーティクルライブではライブの演出にこのパーティクルを利用します。

パーティクルライブの作り方は?

VRChatにおける一般的な方法は、向日葵さんの技術本に記されています。
今回は制作するにあたる手順書はこちらにお任せする事にします。

ですが、この方法以外で行ったとしても問題はありません。
実際、この方法を使わずに素晴らしい作品を作っている作者さんは多くいますし、なんなら生演奏でパーティクルライブを行う人までいます!

ただし、ひとつだけ注意してほしい事があります。
アバターにパーティクルライブを仕込む場合はタイムラインではなくアニメーションに書き込むようにしてください。
これは単純で、アバターはタイムラインを参照できないため、完全に作り直しになってしまう問題が発生するためです。

なお、向日葵さんの本の場合、タイムラインからアニメーションファイルに書き込む方法を採用しており、この方法を使うのが一番一般的になると思います。

シーン・カットをイメージする

ここからは、私が2023年5月28日に公開したパーティクルライブの7作品目、「Magnolia / Pastel Tone Music」を基に説明していきます。

あくまでも「私の」作り方ですし、最終的には自分に合った作り方でパーティクルライブを作るのが一番だと思います。
なお、今回は前提として5人以上のアーティストのパーティクルライブは見たという事にします。

なにはともあれ曲を聴きこむ

なにはともあれ作りたい曲を聴きこみ、口ずさみ、歌詞を書き起こしていきましょう。
作品を血と骨に馴染ませる作業こそ最も大事な作業かもしれません。

根幹となるシーンを思い起こす

曲を自らに馴染ませていると、曲のイメージが絵になって頭の中に浮かんでくると思います。

例えば「巨大なマグノリアの樹の側にて、自らを背にして謡う少女」というシーンが浮かんだとしましょう。
これが曲のテーマと合致する場合は、このシーンこそが作品を描く上での根幹になります。
このシーンに最終的に行きつく事を目標に作品を作っていきましょう。

また、根幹のシーンではないものを思い浮かべた場合でも、そのシーンは利用する可能性が非常に高いです。
メモなどで書き起こしてまたシーンを思い起こしてください。

作品の根幹となるスケッチが完成する

新たなシーンを見つけるたびに思い起こす

さて、ここから作業に入っていきたいのですが、1つ注意があります。
パーティクルライブ作成中には、実際に手を動かしながらも何度も何度も曲を聴いていく事になります。
その際に曲中から根幹とは異なるシーンや、その中で起きる変化(カット)を想像できたとしましょう。

森の中で2人の少女が道なき道を辿るまでのシーン

そのシーンやカットはきっと作品において必要になるでしょう。

というのも、1曲の長さというものは曲によって異なりますが、どれだけ短くても2分、通常は4~5分強の曲になっているが普通です。
その長さでただ1カットのみを表現したとしても、それは見た目に大きな変化のない退屈なライブになってしまいますし、退屈ではないメリハリの効いたライブを作るには、最低でも曲の区切りごとにシーンを切り変えた方がいいという事になります。

つまるところ、その曲の長さや内容・テンポ等に耐えうる数のシーンを想像し、実装する必要があるわけです。

曲調や歌詞の変化にシーンを切り出す

実際の曲においてもセクションごとに緩急があるように、パーティクルライブでも緩急をつける事が大切です。
これは、Magnoliaを実際に聴いた場合に私が感じる曲調の激しさをグラフ化してみたものです(主観は入ってます)。

セクションごとに曲の激しさが大きく異なる

曲調の緩急がかなり激しく曲の中のシーンの切り替わりをイメージしやすいかなと思います。
この緩急と演出の緩急をある程度合わせるとライブにおける一体感が生まれやすいと感じます。

最終的にシーンは8つで、区切りはこのようになっています。
これは、今日この記事を書いていて思ったのですが、あらかじめシーンの区切りを書いておいた方が進捗がわかりやすくなっていいかもしれませんね。

きちんと区切る事で工数の把握にも役立つかも?!

カットをパーティクルやアニメーション等で表現する

間奏1~2Aメロを1つのシーンとしています。
私は間奏1の段階で森に侵入してきた侵入者(演者)に対して狼や巨大な熊が襲い掛かり、それを剣を以て撃退するというカットを作りました。
それを以てこのシーンが終了し、次のシーンに切り替わります。

狼が現れ、侵入者に襲い掛かる

こういったカットを適切に導入する事で、作品に変化が現れて説得力も増していくと考えています。

歌詞と歌わない場面とカット数をリンクさせる

カットの区分け方法ですが、大体はこの3つを同時に採用する事になると思います。どれかを切り捨てるとかそういうことはあまりないと思います。

(1)歌詞や雰囲気に併せてカットを作る

歌詞や雰囲気に併せ、同じシーンの中でどのような事が起こったかをカットで区切ります。
例えば、私の場合は1Aメロのシーンを以下のように区切りました。
・カット1:木陰から月の光が射し、羽根が落ちてくる
・カット2:森の中に迷い込んでいる事に気づく
・カット3:2人の旅人の足跡を見つけ、辿っていく
一番安牌なのは、曲の歌詞をリンクさせることだと思いますが、敢えて少し外す勇気も必要かもしれません。

(2)間奏はシーンを繋ぐ
曲の間奏は当然歌詞がありません。ですので、ここでは次のシーンに繋がるようなアドリブカットを作るとシーンの切り替わりがスムーズになりやすいと思います。

(3)アドリブでなんとかする
それでももし思いつかなければ、とりあえずパーティクルをたくさん出しましょう()

アドリブも意外と大事

最後に

パーティクルライブを初めて作ってみたいという方で、演出のイメージづくりがわからない方がいらっしゃればその助けになれば幸いです。

なお、もし初めてパーティクルライブを作る方がいるならば、曲としてはフル曲よりもショートであったり短い曲で作ることをお勧めします。
なぜなら、長い曲はシーンとカットが多いため、イメージを膨らませたりそれを形にするのが大変だからだったりします。

それでは、よきパーティクルライブを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?