【授業】「後だしジャンケン」の評価はやる気を削ぐ
突然ですが、ジャンケンをしましょう。ジャン・ケン・ポン!
何を出しましか?そうですか、チョキですか。では、私はグーを出します。私の勝ちですね!
…では、もう一度。私は絶対にグーを出すので、勝ってくださいね。ジャン・ケン・ポン!
勝てましたか?パーを出したあなたの勝ちです。
前者は「後だしジャンケン」、後者は「先出しジャンケン」とでも呼びましょう。
何の話かって? 評価の話です。後だしジャンケンをしていたら「もうこんなジャンケンしたくない!」と思いますよね。同じように、「後出し評価」はやる気を削いでしまいます。逆に「先出し評価」は、生徒の頑張りを後押しできます。
〈私の授業思想〉
評価は、生徒の頑張りを後押しするためのものです。決して格付けのための物ではありません。では、どうしたら頑張りを後押しする評価になるのか。そこで大事になるのが「先出し評価」です。
冒頭の例を思い出してください。後だしジャンケンの場合、あなたに勝つすべはありません。絶対に勝つことのできないゲームを頑張ろうとは思えませんね。しかし先出しジャンケンの場合はどうでしょう。あなたの頭の中は、こんな風に動いたはずです。
「勝ちたい→相手はグーを出すらしい→グーに勝つにはどうしたらいい?→パーを出せばいい→手をパーの形にしよう!」
先出しジャンケンの場合、あなたはこれほどたくさんのことを考え、行動した、つまり頑張ったわけです。
評価もこれと同じ。学期末に通知表を返すだけの評価=後出し評価では、生徒は頑張れません。頑張り方すらわからないからです。せいぜい、テストでいい点を取るためにテスト一週間前から知識を詰め込む程度でしょう。
しかし、先出し評価=学年や学期の始めに、評価基準や評価材料を伝えた上で行う評価ならどうか。生徒は何を頑張ったら評価されるかわかっているので、テスト以外も頑張ることができます。
もちろん中には「グーに勝つにはパー」とわからない生徒や「手をパーの形に!」と思ってもチョキの形になってしまう生徒、そもそも「勝ちたい」と思えない生徒もいます。
先出し評価をしたからと言って、いきなり全生徒が頑張るようになるわけではありません。でも少なくとも、後だしジャンケンの評価をするよりは多くの生徒の頑張りを後押しすることができるでしょう。
傍論ですが、先出し評価をすると、通知表返却後の苦情が格段に減ります。何をどう評価されるのか分かっているので、生徒の予想する成績と通知表の数字が一致しやすいからだと思います。
〈私の工夫〉
私は3観点の評価基準や評価材料から、評価の割合まで全てを学年最初の授業で伝えています。具体的には次の通りです。
ご覧いただいた通り、ファイル、話し合い、レポート、授業態度の評価については、ルーブリックの形にまとめて配布しています。そして、1年間このルーブリックを使い続けます。
こうすることで生徒たちは頑張り方や頑張りどころがわかり、「テストだけできてもダメ」ということもわかるので、日々の授業から一生懸命に取り組むようになります。
生徒が一生懸命取り組んでくれれば、授業をしていても楽しいですし、高い評価もつけてあげられます(もちろんルーブリックに沿って)。
高い評価を受けた生徒は「もっと場頑張ろう」とモチベーションを高めてくれます。先出し評価にするだけで、こんなに良い循環が生まれるのです。
※ここに示したルーブリックが完璧なものだとは思っていません。毎年、生徒の意見ももらいながら、少しずつ改善しています。改善に向けたご意見は、ぜひコメント欄にお願いします。
〈まとめ〉
確かに学年の始めに評価に関する全てを伝えるのは大変です。すべての準備が終わっていないといけないわけですから。
でも先生が少しだけ頑張れば、生徒も頑張りやすくなり、教室に良い循環が生まれます。学期末、学年末に苦情を受けることも少なくなるので、最終的には楽にもなります。
もうすぐ春休み。来年度に先出し評価をするために、この春休みはひと頑張りしてみませんか。
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