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共同親権について

離婚後に父母双方が子の親権を持つ「共同親権」を導入する改正民法が17日、参院本会議で成立した。親権を巡る家族法制の見直しは77年ぶりで、26年までに施行する他、施行前に離婚した夫婦も共同親権を選べるという。

とはいえ、従来の単独親権がなくなるわけではなく、共同親権または単独親権を選択できるということである。判断基準は、「子の利益」であり、意見が折り合わない場合は、家裁に申し立てて判断を仰ぐことになる。知らなかったのだが、主要7ヶ国(G7)では、既に日本以外の6ヶ国が共同親権を導入済みなのだそうである。

状況に応じて、どちらかを選択できるのだから、特段の異論はない。しかしながら、養育費の不払いに関しては、<離婚時の取り決めがなくても、親権の有無に関わらず最低限の金額を請求できる「法定養育費」制度を創設する。他の債権より優先して請求できる権利を付ける。>とはいえ、少々、踏み込み不足ではないだろうかという気がする。

<政府は31年までに養育費の受領率を40%にする目標を掲げる。21年時点で養育費を受け取っているひとり親世帯は母子家庭で28.1%、父子家庭で8.7%にとどまる。>

つまり、シンママの7割は、元旦那から養育費を受け取れていないのだ。こうした事象と、片親家庭の貧困問題とは、もちろん無関係ではない。

米国や英国、オーストラリア等においては、国(米国の場合は、州政府)が養育費を給与から天引きして強制的に徴収する制度がある。フランスやスウェーデンでは親が養育費を支払わない場合に、不払い分を国が立て替えて、国が取り立てる制度があり、さらには、運転免許の停止、パスポート発行の拒否等の滞納者に対するペナルティまで課すという。

日本でも、子育て支援に力を入れている兵庫県明石市では、市が立替払い(最大3ヶ月分、上限月額5万円)する制度を導入しているが、それとて十分なものではない。

養育費の支払いというのは、子どもにとっての正当な権利なのだから、税金や社会保険料と同様に、国家権力に基づいて、強制的に徴収するくらいのことを、日本でも是非とも実施すべきであろう。

そういうところが不徹底だから、「真面目に払う方が損」といった間違った考え方がまかり通ることになるし、世のシンママたちも、泣き寝入りをするしかなくなるのだ。

「親ガチャ」を完全にリセットすることは難しいにせよ、子どもは、将来の国や社会の担い手であり、社会全体で協力して育てるという意識が不可欠であろう。そういう意味では、正式な婚姻関係に基づく子どもだろうが、婚外子であろうが、あるいは片親であろうが、子どもの権利は最終的に国が保障すべきであるが、それと同時に、親としての最低限の義務の履行についても、国家権力に基づき、親に対して強制する仕組みは必要である。

両親はもともと赤の他人で、結婚・離婚ともに紙切れによる法的手続きに過ぎないが、親子の縁は切れないし、親は子の養育に対する義務を負う。そのことは、親の離婚とは関係がないことである。






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