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僕の音楽遍歴について⑤

中高生の頃、洋楽ばかり聴いていた僕が、大学生になってから、いかにしてワーグナーに遭遇したのかという話を、少し前に書いた。

ワーグナーをきっかけにして、クラシック音楽に馴染みができた僕は、ワーグナー以外の作曲家の楽曲にも親しむようになった。

しかしながら、最初に出会ったのがワーグナーだったこともあってか、次に進んだのも、ドイツ・オーストリア系の後期ロマン派と呼ばれる作曲家、具体的には、グスタフ・マーラーとか、アントン・ブルックナーであった。

どうも、ワーグナーつながりとでも言うべきなのか、重厚長大で万事大仰な音楽、大編成で大音量のオケ、特に金管楽器がド派手に咆哮するような楽曲に惹かれたようである。特に、僕の場合、マーラーの交響曲には一時期かなりハマってしまった。ブルックナーに関しては、何やら同じ旋律が延々と繰り返されている感じで、当時の僕には単調すぎた。

だが実は、ブルックナーの醍醐味は、あのひたすらどこまでも続く単調さ、くどさなのである。僕が、ブルックナーに興味が湧くのは、もう少し後になってからのことである。今ならば、ブルックナーの交響曲を最初から終わりまで聴き通した後、(時間さえ許せば)またもう1回、最初から聴き直すことだってできる自信がある。

その後は、後期ロマン派のリヒャルト・シュトラウスの楽劇に向かう一方で、時代を遡るかのごとく、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、シューマンといったロマン派から、モーツァルト、ハイドンといった古典派、さらにはJ.S.バッハのようなバロックといったところまで、いろいろと聴き漁るようになった。

僕の場合、ドイツ・オーストリア系の重厚で、かっしりとした構造物のような楽曲が肌に合うようで、フランスとかロシアの作曲家、ラベルにドビュッシー、チャイコフスキーといったあたりは、まるで聴かないわけでもないのだが、あまり親しみを感じないのは、昔も今も変わらない。

オペラに関しても、イタリア・オペラは、ドイツ・オーストリア系ほどには、馴染みがない。とはいえ、モーツァルトのオペラは、ウィーン人が書いたイタリア・オペラだとも言えるので、特段、イタリア・オペラを嫌悪しているわけではない。単にあまり聴く機会がなかっただけのことである。

それでも、プッチーニの「ラ・ボエーム」とか、ヴェルディの幾つかの代表作については、CDとかDVDも持っているし、たまには聴くこともある。

ロッシーニの「セビリアの理髪師」は、途中で退屈してしまう。「ウィリアムテル」も長大すぎて、いくつかの名場面を除けば、とても通して聴けるものではない。

あと、フランスものとなると、まずは、ビゼーの「カルメン」であるが、前にも書いたとおり、「カルメン」は大嫌いである。ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」は、すごい作品なのだろうと思うが、僕にはそのすごさが理解できない。

というわけで、ドイツ・オーストリア系を中心に僕が愛聴した楽曲について、いくつか紹介したい。

まず最初はマーラーであるが、彼の交響曲は基本的に長大である。アナログ・レコードだと、交響曲1曲が、LP2枚組なんてことになる。交響曲は番号付きのものが、1番から9番まで(10番は未完)。他に番号付きではない「大地の歌」がある。2番、3番、4番、8番、および「大地の歌」は、声楽パートを伴う。僕の場合、声楽を伴わない純器楽のための交響曲、つまり、1番、5番、6番、7番、9番の方により愛着を感じる。

ブラームスに関しては、交響曲とヴァイオリン協奏曲である。交響曲は4曲あるが、ベートーヴェンを意識するあまり、こねくり回した感じがする1番は、野暮な感じで好きではない。あまり手をかけずに、すらりと書き下ろしたような、2番、3番、4番が好きだ。特に、4番がその中でもいちばん好きである。ヴァイオリン協奏曲は、交響曲と同じくらいに有名な楽曲なので、いろいろな指揮者・ソリストの組み合わせで聴いた。その他の楽曲はあまり聴かないので、ここで語る資格はない。

シューマンは、交響曲第3番「ライン」を聴く機会がいちばん多かったので、好きである。他の交響曲は、あまり聴かない。他の声楽やピアノ曲なども、あまり聴く機会がなかった。

シューベルトの場合、歌曲集の他は、交響曲の「ザ・グレイト」(第9番なのか第8番なのか、どちらが正しいのか知らないが)を聴く機会がいちばん多い。「未完成」はあまり好きではない。やはり途中で放棄されるだけのことはあると思う。第1楽章・第2楽章とも3拍子で、書きかけの第3楽章はスケルツォでやはり3拍子とか、面白そうな予感がしないではないか。

ドイツ・オーストリア路線から少し外れるが、ドヴォルザークは好きな作曲家である。交響曲はいずれも好きである。指揮者としては、ちょっと古いのだが、ジョージ・セルがイチ推しである。ドヴォルザークは、稀代のメロディ・メーカーだと思う。

ベートーヴェンは、交響曲に関しては全曲とも好きである。ヴァイオリン協奏曲、ピアノ協奏曲も好きである。ピアノ協奏曲に関しては、4番、5番を聴く機会が多い。ピアノ・ソナタは、僕には、敷居が高い感じがする。他には、歌劇「フィデリオ」も好きだが、歌芝居としては、やや冗長なところもある。それでも、音楽自体は素晴らしいので、このオペラの望ましい上演スタイルはコンサート形式ではないかと思う。第2幕第2場への間奏曲として、「レオノーレ第3番」を慣習的に挿入することが多いが(マーラーが始めたものらしいが)、あれはかなり野暮だと思うので、同意しかねる。

モーツァルトは、何と言っても、僕にとっては、交響曲とピアノ協奏曲、それと歌劇である。交響曲は、36番「リンツ」、あとは、39番、40番、41番である。38番「プラハ」は好きではない。歌劇に関しては、「フィガロ」「ドン・ジョヴァンニ」「コジ」、それと「魔笛」があれば良い。

ハイドンは、交響曲を中心に、好きな楽曲はいくつかあるのだが、ここで絞り込めるほどに聴き込んでいるわけではないので省略しておくことにする。J.S.バッハについても同様である。

ホントはもっと、クドクドと書きたいことはあるのだが、キリがないので、この辺でやめておくことにする。

続きは、オペラについて改めて書いてみたい。





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