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福岡について②

先日、僕の「福岡愛」ダダもれの記事を書いたのだが、まだ書き足りないことがあったので、続きを書かせてもらいたい。

リモートワークの拠点として福岡はおススメであるという話をしたが、いっそのこと、企業の本社自体を丸ごと東京・大阪あたりから福岡に移転させてしまうことも、今ならば全然アリだと思う。

どこかの人材派遣会社大手は、兵庫県の淡路島に本社を移転させたことが話題になった。淡路島をディスるつもりはないが、東京・大阪に比べれば、明らかに「都落ち感」は否めないし、社員やその家族、取引先などからすれば、「なんで淡路島なの?」というのが本音であろう。都市としての社会インフラも十分ではないだろうし、どこに行くのもクルマがなければ話にならない。明石海峡大橋が開通して便利になったとはいえ、強風が吹いたりすれば通行止めになる。その点、福岡であれば、公共交通機関等の社会インフラも既に十分整っており、何ら問題はない。

前にも書いたとおり、空港へのアクセスの良さに関しては、東京・大阪をも上回る。同じ九州の主要都市である、北九州、熊本、長崎、鹿児島はこの点で福岡に比べて大きく見劣りする。どこも空港が都市部から離れすぎており不便である。ただし新幹線が開通したので、四国や山陰方面、沖縄よりかはアドバンテージがあるかもしれない。

本社を福岡に移転しても、飛行機、新幹線の両方とも容易に利用可能であり、東京・大阪への日帰り出張も余裕で可能である。しかも、住環境が著しく向上するので、社員のモチベーションアップにつながる。リモートワークならば通勤自体が不要であるが、通勤したところで東京・大阪に比べれば通勤時間は大幅短縮可能である。住居費も安く上がる。少し郊外に行けば自然も豊かである。教育機関も充実している。良いことずくめである。

アジアへの玄関口である立地も魅力が大きい。東京に行くよりも、韓国の方が近いのである。もっとも、「ややこしい国々」も同様に近いということに不安に感じる人もいるかもしれない。村上龍の小説にも、北朝鮮の工作員が福岡に潜入して云々といったようなのがあった。北朝鮮がホントに攻めて来るかどうかはさておき、中国、韓国、台湾、東南アジア諸国とうまくつきあっていかなければ、この先、日本が立ち行かないのは間違いない。そういう意味でも、福岡の地理的なポジションは、どのような分野のビジネスを展開するにせよ、ものすごくポテンシャルがある。

ちなみに、「福岡」と「博多」というのは、混同されやすいが、明確な違いがある。地名としては、「博多」の方がはるかに古い。「福岡」という地名は、関ケ原の合戦の後、黒田長政(黒田官兵衛の子で、福岡藩初代藩主)がこの地を支配するようになったタイミングで今の福岡城を築城した以降のものである。「福岡」の由来は、黒田氏の発祥の地とされる備前国の地名から取ったとされている。

黒田長政は、当初、それまで「博多」と言われていたエリアも含めてぜんぶ「福岡」という呼称で統一したかったらしいが、地元住民に猛反発されたこともあって、武士の住むエリアを「福岡」、商人をはじめとする町人が住むエリアを「博多」と区分けすることでなんとか決着させと聞いたことがある。

ざっくりと言えば、中州よりも東側が博多サイド、西側が福岡サイドに該当する。JR駅が「博多駅」であって「福岡駅」ではないこと、天神にある西鉄駅が「西鉄福岡(天神)駅」であって「西鉄博多駅」ではないことも、それぞれちゃんと理由があるということが理解できる。

明治時代に入ってからの廃藩置県の際にも、「福岡市」ではなく「博多市」になる案もあったそうである。それくらいに昔から町人のパワーが強い都市なのである。こういう点は、大阪(大坂)に似ているかもしれない。

毎年夏に行われる「博多祇園山笠」は、博多の総鎮守である櫛田神社(博多区)の奉納神事である。したがって、7月15日に行なわれるクライマックスの「追山笠」他、すべての行事が博多サイドで執り行われるが、唯一、7月13日の「集団顔見世」だけは、各流れの舁山笠が、博多サイドを越えて、福岡サイドにある市役所のところまでやって来る。僕も見物に行ったが、沿道は「追山笠」と並んで見物客で大賑わいとなる。

「追山笠」は、毎年、早朝の4時59分に出発する。この日は、市営地下鉄をはじめとする公共交通機関も臨時で運行する。約1トンもの重量がある「舁き山笠」を各流れの「舁き手」たちが交代で担いで約5キロもあるコースを疾走する光景は間近で見ると壮観である。

「舁き手」は、水法被に締め込みというのがお決まりのスタイルであるが、山笠を舁かないシーンでは、長法被ステテコ姿である。6月1日から山笠終了までの期間に限っては、この格好は地元ドレスコード的には背広と同等の正装とされており、ホテルのロビーを歩いても摘まみ出されることはない。地元企業等に賛助金をもらいに行くような場合でもこの格好なので、僕のような部外者は驚かされる。

娘の小学校の担任教師が、どこかの流れの「舁き手」であったが、山笠シーズンになると、しばしば学校を早退しては、山笠の練習に参加していた。彼らにとっては山笠こそは年間行事中の最重要ミッションであり、仕事よりも優先されるのは当然のことである。地元の父兄は毎年のことですっかり慣れているから、誰も文句を言わない。岸和田における「だんじり」みたいなものであろう。

こういう祭事が長年にわたり、たいせつに受け継がれているということは、大都市でありながら、地域のコミュニティやそこの人間関係が濃厚であるということである。僕ら転勤族に代表されるような部外者にも開放的で優しいが、それでも地元民同士の濃厚なつきあいはあって、そちらの方は先祖代々のものであり、所詮は部外者には入って行けない世界ということになる。京都なんかと少し似ているかもしれない。

地元の人間関係といえば、地元独特の「学閥」がある。出身大学ではなくて、小学校の校区内でのつながりであったり、出身高校のつながりが重視されるのだ。

部外者にわかりにくいのは、小学校の校区つながり、つまり同じエリア出身者同士のつながりである。意外な人同士が、同じエリア出身で、同じ小学校の同窓生であったりする。

地元の名門県立高校である修猷館高校、筑紫丘高校、福岡高校のOB・OGは、地元有力企業・役所等、至るところに大量に生息している。出身大学よりも、これら名門高の出身であることの方が地元ではモノを言う。

ことほどさように、全国区の大都市としてのモダンな側面と、ローカルな側面が不思議な感じに調和しているところが、福岡の面白さでもある。

福岡に関しては、書きはじめたら、ホントにキリがないので、この辺で止めておくが、また書きたくなったら、続きを書くかもしれない。

YouTubeで偶然に発見した「福岡歴史発見!Fukuoka Memories」というチャンネルが、めっちゃ良いので、おススメしたい。


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