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不登校と卒業アルバム
小6の息子が完全に学校に行かなくなって、早1年と9ヶ月。(正確には、今年の7月に1度だけ放課後学校に行ったけど…。)
小3の運動会を最後に、遠足や社会見学など、行事らしい行事は全て欠席。私自身も、授業参観に行くこともなくなった。教室に息子はいない。
小5の夏の林間学校も行かなかった。
ただ、行事が終わった後、息子がポツリと「本当は、行きたい気持ちも少しだけあった。でもやっぱり無理だと思って行けなかった。」と呟いた。
「そうなんだね。」
それ以上、私は何も言えなかった。
今後は修学旅行が控えている。
まだ何も決めてない。
行事へ出席するかどうかは、毎回息子の意思を確認し、尊重している。正解不正解は未だにわからない。
『友達との思い出』。それだけはどうしたって、私には用意することが出来ない。
でも、人間は人生全てを思い出に残すことは出来ない。心に残った事だけが鮮明に思い出せる記憶となる。後の細かい記憶は、誰かとの語らいの中であったり、「写真」なんかで掘り起こされる。
不登校で行事に参加しないと、当然写真には写らない。新年度になって必ず撮るクラス写真にも、息子は参加していない。担任の先生の配慮でクラブや委員会には所属させてもらっているものの、活動はしておらず幽霊部員状態なので、こちらももちろん写真がない。
さらに、卒業アルバムに載せる「個人写真」。
息子はそもそも写真を撮られる事自体が苦手。
1度頑張って撮りに行きますと言ったものの、当日になると気持ちがついて来なくて行けなかった。
その時初めて知ったのだが、個人写真がないと、クラスのページでは名前+空欄ではない。ページ内での空白は見た目の問題と、他のお子さんへの影響があり良くないため、息子の名前ごと抹消されてスペースを詰められてしまう。
卒業アルバムの中の、息子の居場所がなくなる。
仕方ないとは言え、残酷な現実。
卒業アルバムの編集を考えると、最終リミットは夏休み中まで、と言われていた。
その時に担任の先生が、「僕の個人的な気持ちなんですが…」と切り出した。
担任としては、やはりクラス全員が揃って欲しいという願いがあります。この学年の子達は何年もずっと見てきたので、どの子もかわいくて、色々思い入れもあります。
卒業してから何年か経って、学校に遊びに来てくれる子供達もいるんですよね。そんな時昔の卒業アルバムを見て、あぁ、あの子とはこんな思い出があったなって、思い出したりするんです。僕にとって、卒業アルバムは、とても大切にしているものなんです。
〇〇君に写真を撮ることを無理強いするつもりはありませんが、今の所、卒業アルバム自体は注文するつもりです。
その話を、息子にもした。
でも、本当に嫌なら撮らなくてもいい。
大切なのは、先生の気持ちに答えることではなくて、その時の自分の気持ちに従うことだと思う。
そうすれば、例え将来後悔する時が来たとしても、自分で決めたのだからと、誰も責めずに済む。
その上で、それでも先生の気持ちに答えて、息子が写真を撮りに行くと言ったなら、それはそれでいいと思う。その息子の決断が、正解になると思う。
そういった事を伝えた。
しばらくして。
息子は写真はもう撮らなくていい、と言った。
小学校の卒業アルバム。
私の時代は、何も考えてなかった。卒業した時に何度か見ただけで、あとはクローゼットの奥にしまわれ、ホコリをかぶったまま。
中学、高校のアルバムも同じ様なものだった。
私も息子と同じく写真が苦手だったので、自分からアルバムを開くこともなかった。
むしろ自分の写真は抹殺したい(苦笑)
どちらにしろ、私が死んだら娘か息子が処分するだろう。私にとってはその程度の存在だった。
もしかしたら、卒業アルバムにこだわっているのは本人よりも、周りの大人の方なのか。
卒業アルバムが無い事で、将来子供が傷ついたらかわいそう。そんな気持ちも大きいのかも知れない。
不登校のお子さん自身のブログなんかを見ていると、『逆に写した写真は全て消去してくれ。アルバム自体も必要ない。』という場合も多々あった。
考え方は、人それぞれ。
本人が本当に必要としていないなら、もうそれでいいと思う。これ以上傷をえぐって、誰が得をするのだろう。
たとえ今、学校での思い出の写真がなくても。卒業アルバムの有無でこの先の幸不幸を決めるなんて、なんて楽しくない考え方だろう。
息子が今写真が嫌いでも、楽しく友達と写真に写る未来がもしかしたら来るかもしれない。
今が楽しくないからといって、これからも楽しくないとは限らない。
たかが卒業アルバム、されど卒業アルバム。
卒業アルバムは、本当に必要なのか。
私の答えは出ないまま。
もっと気楽に考えればいいのかも知れないけれど、やっぱり1度、じっくり自分なりに向かい合って、ちゃんと考えてみたかった。
自分の写っていない卒業アルバムを手にした時、息子はどうするのだろうか。
卒業アルバムを買うか買わないかの話も必要だな。
でもアルバムなんて、この先たくさんの思い出が出来れば、いつだって作れるだろう。
未来はまだ、何も決まってはいないのだから。
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