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【俺の】須田景凪 TOUR 2023 "Ghost Pops"で亡霊になった話【ダーリン】


※『須田景凪 TOUR 2023 "Ghost Pops"』の感想文です。
※東京・仙台・大阪公演の様子をまるっとまとめて綴ります。奇跡的に最前引き当てた東京公演、最後方腕組み彼氏面の仙台、真ん中辺りの微妙なポジション大阪、と三銃士揃いぶみではあるものの何だかんだファイナルが経緯含め一番アツかったよね、って理由で微妙に大阪メインで綴っております。とはいえごちゃ混ぜなので、参戦したあなたにとっての存在しない記憶や時空の歪みが混入している可能性高いです。
※相変わらずところどころ記憶ブッ飛んでおり、MCのタイミングとか演出とか諸々曖昧な部分多めです。あと長い。マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」より長い。超・お暇な時にどうぞ。
※例によってキモヲタが出てしまい洒落にならない部分があります。大体わかるでしょ。そういうの無理めな方は何卒お気を付けください。


■セットリスト(大阪)
1.「ラブシック」
2.「パメラ」
3.「落花流水」
4.「花に風」
5.「Howdy」
6.「バグアウト」
7.「幼藍」
8.サビメドレー
「いびつな心」
「メーベル」
「Alba」
「mock」
「Dolly」
「パレイドリア」
9.「veil」
10.「雲を恋う」
11.「ノマド」
12.「終夜」
13.「シャルル」
14.「メロウ」
15.「レド」
16.「綺麗事」
17.「ダーリン」
―アンコール―
1.「猫被り」
2.「雨とペトラ」
3.「はるどなり」
4.「美談」




う あ あ あ あ あ あ あ(PC書き文字)



 ツアーもつつがなく進行し、残すところファイナル・大阪公演のみとなったまさにその刹那降り注いだ青天の霹靂。
 あの晩秋の夜、須田景凪、サポートメンバー、ライブスタッフ、そして、全国津々浦々から集いしヲタク達の心に悲痛の木枯らしが吹き荒れた事は言うまでもない。「場内最終確認」とかいう最凶の呪詛よ。マジしんどかったんだよね。

 だが、辛酸をべろべろ舐めさせられ続けた寒風吹きさすぶ日々も、この夜をもって終わる。

 ジェットコースターの骨組みと破れたカーテン。
 大きな車輪、転がる額縁、蔦の絡まった柵、地球儀。
 ブラウン管。揺らぐキャンドルの焔。
 そして、煌々と輝く「WELCOME HeRE」のオブジェ。

 前回ワンマン"Ghost Pop"同様、"退廃とした遊園地"をモチーフにしたセットは、不可思議な非現実感にて我々観客を迎えてくれた。

 不意に視界が暗転する。束の間、五感の一切が無となる。さざ波立つ観客の声がすっと引き、次の瞬間拍手が沸き上がった。綻ぶ様な歓声。少し仰け反る背。遂に来た。大正義・アボガド6氏手がけるイントロダクションが、スクリーンに投影される。
 奇怪な高揚感を伴うノイジーかつ荘厳なオープニングアクトが最高潮に達するや否や、ステージ上に姿を現すはサポートメンバー衆──本名が未だ不明のGt.タケさん氏、概念としての南こうせつを感じるBa.奥田一馬氏、謎の地下アイドルっぽさがあるKey.モチヅキヤスノリ氏、唯一のインスタ投稿がやばすぎるDr.箱木駿氏。拍手喝采を一身に浴び、内閣はそれぞれの持ち場についた……
 直後、ステージにもう一つの影が現れた。

 降り注ぐ歓声の雨の中を、朧な影は猫の様にしゃなりと歩む。白いアウターは天性の透明感と儚さによく映え、オーバーサイズのパンツは華奢な肢体を却って引き立てていた。身体の動きに合わせてしゃら、と揺れるは銀の装身具。虚脱した様に首をそよがせ、目を伏せ、唇を三日月型に薄っすらと釣り上げた白い顔。
 この空間には不釣り合いなほど穏やかな表情だった。私は、胸が強くどきつくのを感じた。親の顔より見慣れたその顔が、人ならざる緩やかな狂気を纏っていたからだ。

 初の全国ツアー "はるどなり"が中止の憂き目に遭ってから早3年。
 あの秋の夜から一ヶ月と少し。
 干天に雨を恋うかの如く待ち望み続けた全国ツアー、その最終幕。嗚呼、上がってしまうのか…………!


この男は…?




"完璧"で"究極"の  景  凪  ! ! !


 こいつぁ誰もが目を奪われるのもやむなし!
 目の覚める様なイントロに合わせ、湧き立つ"拍手"が統率の取れた一つの"クラップ"へと変じてゆく──
 須田景凪がその声で俺らを わ か ら せ る ! 「ラブシック」のエントリーだーーーッ!!!

 スリリングなメロディ、叩き付けられる好戦的な歌声、激しく明滅する妖艶な薔薇色。
「ラブシック」という曲が赤い驟雨となってフロアをずたずたに引き裂き、呼吸さえままならぬ昂ぶりの果てへと俺達を投げ捨て去った。
 誰にどう思われてもいい、眉を顰められる狂気すら此処では是とされる。獣めいた根源的な欲求も、苦痛も、不安も、この歌の前では全てが享楽。嘲笑うかの如く、須田景凪は愛しくも白々しい日常を十二分に咀嚼し、味わい、そして吐き捨てた。" わ か る か し ら "──平時は温厚な須田の中で煮滾る赤黒い血、そのギャップに背徳的な優美と官能を感じずにはいられない。なにゆえあなたはそれほどまでに魅力的なのか? その格好良さは底なしか? おじさん、わからされちゃったカナ⁉️😭🙏💕

 開幕から魂持ってかれた。「ラブシック」は近年稀に見るハイパー・クリティカル・オレ・ヒット・ソング。音源だけでも最高アンド最高なのに、現場では更なる爛れようでもうおじさんシラフでいられない。これは冠婚葬祭の定番ですね。俺が出棺される時は「ラブシック」流すわ。

 何がやばいって「わかるかしら」の破壊力がやばいよね。音源ではこちらをせせら笑う様な、謂わばメスガキ景凪お嬢様(30)概念強めのちょっと小悪魔的な趣なんだけど、ライブではバチクソにガチギレてる八王子愚連隊なんだよね。
 しかも回を追うごとに凶暴性増してんの。ファイナルの「わかるかしら」に関しては、遥々大阪来た甲斐あったな~! と心底思う会心のブチギレようでしたよ。清楚な須田も、この曲演ってる時だけは酒と金と薬と女と暴力に溺れていたに違いない。解釈違いやめろ。

 道徳の血の香りがする。
 強烈な幕開けとなった"Ghost Pops"に次なる贄を捧げるは「パメラ」

 ラブシからのパメって、血で血を洗うスタンスか? よいですね。パメる際のお約束と化した超正義・アボガド6御大によるハイセンスMVと極彩色のライトに彩られ、フロアは一層華やかで凄惨なアトモスフィアに染まった。

「ラブシック」や後述の「バグアウト」にも言える事なんだけど、須田バルーンのダーク曲の良さって"ブチギレてるのに絶対汚い言葉使わない"という点にあると思う。
 辛うじて理性の均衡を保っているあの危うさね。「偽物な貴方によく似合う」「希望や理想ってお戯れを あくびが止まらないわ」等、あえて小さな毒針で相手の良心をじわじわ突き刺すからこそ、安易な暴言を吐くよりも遥かに濃厚な""毒""が知らぬ間に全身を侵すのだと改めて思ったね。お須田のお景凪様はぶぶ漬け作りが大変ご堪能であらせられますわ~~!

 もっと血が見てェ!(物騒)と思った矢先、ステージを満たしたのは毒とはおよそ無縁な瑞々しい光。そして軽快な三拍子。

「須田景凪です。今日をメ~チャメチャ楽しみにしていました。一緒に、良い日にしていきましょう(イケボ)」

 瞳孔が開ききった虚無顔で挨拶した須田は、先程とは打って変わって涼やかな音をその身で奏でる。「落花流水」──ここで一気に浄化を図る荒業、炸裂ゥ!!!

 温度差で風邪ひく。彼氏にしたくない須田バルーン曲トップツーからの彼氏にしたい須田バルーン曲第五位「落花流水」は、聴いてる耳の奥まで透き通ってしまいそうなほどそれはそれは爽やかだったよ。
 しかしだからと言って盛り下がるワケもなく。前二曲から引き継いだパッションはそのままに、疾走感溢れるサウンドが軽快なクラップとダンスをフロア中に巻き起こしていた。
 
青や緑を基調としたライトから一転、サビで放射線状に広がる紫色の光線が何とも鮮やかで印象的。俺達はめくるめく季節を駆け抜け、須田という男をひたむきに追いかけているのだ──憧れのきらめきと切なさを思い知る、そんな一幕であった。

 と、ここまでは前回ワンマン"Ghost Pop"と全く同じセトリ。
 わたくしは一級須田景凪ソムリエゆえに、前回のセトリを覚えていたので今後の展開は大方予想出来ていた。

「あ~"いびつな心"で優等生コンボ繋げて、"Howdy"で闇をひとつまみ。で、"バグアウト"と"幼藍"でシメるいつものアレっすよね?」
「別に良いけどせっかくポップスって銘打ってるならポップと差別化図ってほしかったかな~~?」
「何かこれまでのあらすじ毎回なぞってる風になってんじゃん。忍殺じゃないんだからセトリくらい変化をってアイエエエ!?」
「「「
"花に風"!? 」」」
"花に風"ナンデ!?」
「コワイ!」
「ゴボボーッ!」

 ここにきてまさかこの曲……!?

 完全に盲点であった。「花に風」は皆大好き初音ミクのために書き下ろされたバルーン曲。"Ghost Pop"ではアンブッシュ的にセルフカバーver.を披露し、ヲタク達をバリ沸かせた事は記憶に新しい。
 が、それはアンコールでのサプライズ。謂わば裏ボス。それを四曲目に持ってきちゃったんだからこれは攻め過ぎってもんじゃないでっせ。狩人の夢でゴースの遺子と戦う様なもんよ。須田景凪、やっぱこの御仁はようやりよるなぁ……!!

 イカした渋いリフと共に、ステージの遠近に配置されたブラウン管がMVを映し出し、花を模した翡翠色のライトがくるくると舞う(東京では、積み上げた七台のブラウン管全体で一つの映像を作ってて小洒落てた)
 ギターを構えた須田はどこか投げやり、かつ憂愁に閉ざされた歌声で「花に風」に新たな色を足してゆく。儚げでいじらしいミクの歌声を踏襲しつつも、よりダウナーでロックな響き。ボソボソと不機嫌そうなCメロ→縋り付く様なラスサビ→溜め息交じりな「行こうぜ」の三連打は最早芸術だね。この繊細な感情表現はまさに人の声ならでは、セルフカバーのダシ汁を堪能出来ます。

 ラスト、MVとリンクするかの如く厳かに敬礼する須田景凪。超かっこいい。入籍。景凪からそっぽ向くなんて出来っこねンだわ。


 ここで短めのMCタイム。

東京→「えー改めまして須田景凪です。スタンディングなので足が疲れると思いますが、無理せず楽しみましょう(イケボ)」

仙台→「……柱で見えなくなってる人、いますか? もっと詰めた方が……大丈夫? 良かった……(イケボ)(←吐息混じり)(←国宝級)」

大阪→「この前は、せっかく来ていただいたのに中止になってしまって、本当にごめんね。今日はリベンジのつもりなので、熱くなっていきましょう(イケボ)」

 東京&仙台ではファンをさりげなく気遣うデキる漢イイ漢しかもセクシーな漢ぶりを見せ付け、大阪では謝罪と本公演にかける気合いを述べた須田氏。「ごめんね」と言った瞬間フロアが静まり返ってオーズOP流れかけたのはちょっと草生えかけたけども

 ちなみに東京では「ここにいる皆さんは東京都にお住まいなんですか?」と聞いていまして。ぐんまー! おおさかー! おきなわー! かながわー! かんさいー! などと、おそらく氏の予想を遥かに上回る声が四方八方から聞こえてきたため「ちょ、ちょっと待ってw もう一回言ってくれる?」と困惑する一幕がありました。結婚して♡コールすら「聞かなかった事にします(虚無顔)」などとムーディ勝山張りに受け流す塩田景凪がファンの勢いに圧倒される、割合貴重なシーンだったかもしれない。

 熱い空気から一転、冷ややかな気配が湿った蛇の如く這いずり寄って来た。

「Howdy」はまさしく地獄の具現の様な世界観。亡者の歯軋りめいたドアの音が鳴り響いた瞬間、破れたカーテンに滲み上がる赤紫色の奇怪な文様。須田自身にも沼色の歪んだボーダー状ライトが投影され、それが背景と相まって何とも毒々しい。
 地の底から響く重低音、一音一音怨みを込めて響かせるビート、耳障りな不協和音、唸る様に歪んだ歌声……この悪夢を生み出している張本人は、顔を伏せ、目を瞑り、口角だけを歪に吊り上げた笑い顔、ってこわすぎるわ。「Howdy」歌ってる時の須田氏マジおっかない。東京は最前だったから表情よく見えたんだけど、曲始まった瞬間ニタァ……と口だけで笑ってたもんで襟首に冷水注がれた気分になったよ。最高っすね。
 まさしく"Ghost"を体現した墜落的世界。ヲタクは子猫めいてぷるぷる震えるしかないのであった。


 続く楽曲は嫌味なパラパラ「バグアウト」、そして青いため息を吐く「幼藍」のやさぐれブラザーズ。

「バグアウト」は女殴ってそうでメッチャ良かった(誤解を招く表現)
 ポルカを意識したという軽快なリズムに合わせ、流れる様に相手への不満を並べ立てるさまは非常にシュールかつ痛快。歌声も険悪に尖り切っており、特に例の早口パートは"頬杖をつき神経質そうに貧乏ゆすりしてる図"がありありと浮かんでくる迫真のキレ味だった。

 一方、「バグアウト」と対になる「幼藍」は逆に"キレ味のなさ"が前面に押し出されており、っていうか超なっさけない。始終トホホ感が漂っており、哀れっぽい歌声にもぷらぷらした身体の動きにも自虐的なニュアンスが滲んでいた。「風見鶏共め 分からず屋」で聴衆をぐるっと指差した時は、心なしか、須田さんも哀しげな表情だったような。

 そんな「幼藍」ですが、間奏のラララ合唱がメ~ッチャ楽しかった。

 須田氏と言えば、その奥床しさゆえにあまり目立った煽りをしない事で有名。しかし今回は要所要所で手を叩いてクラップを誘導したり、ケチャ(「綺麗事」のBメロとかでファンがやるあれ)をしたり、ファンと共に最高の空間作り上げてやんぞという積極性が大いに発露していた。
 特に目立っていたのがシンガロング煽りで、件の「幼藍」や後述の数曲にて「歌えますか~?(イケボ)」とマイクをフロアに向けるシーンがしばしば。オラは汗臭い煽りの押し売りがでぇっきれぇだが、こういうファンに楽しんでもらおうとさりげなく手招くフローラルな煽りはでぇっすきなんでホイホイ歌ったし踊りまくった。月並みな表現だが一体感があったね。俺とお前と須田景凪、名は知らずとも心は繋がっている。

 続くMCでは、近況報告や昔語りをしてくれた須田氏(※大阪は完全に失念してしまった)

東京→「この夏が本当に無理で……ジムに行ったり行かなかったりしてるんだけど」
「この話、前にもしたかもしれないけど、パーソナルジムの時間が17時なのにこの間は17時30分に目が覚めて。インターホン覗くとマッチョがいて。そのくらい近い場所にジムがあるんです……(しんみり)」

仙台→「仙台に来るのは実は二度目で。昔、埼玉県でバンド活動をしていた頃、仙台でライブする事になって、一番下っ端の僕が運転を任せられたんです」
「こう……知ってるかな、ハイエースっていうめっちゃデカい車で。初めて運転する車だったし、仙台ってとにかく坂が多くて道路が複雑じゃない? それで、楽器とか、メンバーとか、ライブハウスの店長とか計七人を乗せて運転したのがめっちゃ緊張したし怖かったです(しんみり)」
「パワー系のバンドで、店長もパワー系だったので散々しばかれたのが思い出ですね、はい♨」


 相変わらず苦労してる~🌻
 というかジム通い継続中の事実に何より驚いた(通い始めたのはお正月明け)ANN0の題材にするほど自称"続かない"のに、ライブでの体力作りには極めて真摯な須田景凪よいですね。
 しかし、半年近くシバかれてる♂割に細腕繁盛記もかくやと思われる色白スレンダー姿のままなのが気になる所存。多分メンタルの鍛錬専門ジムなんだろう。メインは滝行と読経。大峯千日回峰行や八千枚大護摩供クラスの苦行ならば、ストイックな須田氏が根を上げるのも致し方なし。

「このツアーはアルバムを引っ提げたツアーなんですけど。せっかくのツアーだし、色んな事やってみたいし色んな曲やりたいよねって……」

 小首を傾げてフロアを見渡す須田氏。「皆さんも色んな曲聴きたいでしょ?」炭酸水の様に弾ける拍手を聴くと、鋭い眼を細めて莞爾と微笑んだ。んん? この流れはもしや……?

「この日のために、メドレー的なものを持ってきました!」


 この粋な計らいよ……!

 かねてより匂わせていた"新しい試み"。その正体はズバリ、 "Ghost Pops"スペシャルサビメドレー。フレッシュな最新曲から最近ご無沙汰のなつメロまでサクッと網羅する全須田ヲタ号泣必至企画でございます。

 先陣を切った「いびつな心」は気合十分に専用のリリックムービー付き。胡乱な未来を真っ直ぐ見据えている様な、曇りなき歌声が俺達のココ(左胸を叩く)に深く突き刺さる。
 もしもこの世に"正解"なるものがあるとするならば、それは純・須田景凪100パーセントの「いびつな心」以外に存在し得ないだろう。瑕瑾なき誠実な歌唱、しかと受け取ったり……

 と、思ったその刹那。鋭いリフがステージを切り裂いた!
「お?」「ん?」膿んだマイナーコードが聴く者の焦燥を煽る。周囲は疑問符の海だ。「あ?」「あっ」苛立ち始めたツインギターが聴き馴染みあるイントロを奏でた瞬間、フロアは先刻とは全く別の空間に変わっていた。「ワッ!」エフェクターが踏まれる!
「あ!」「あーっ!」「あ゛あ゛ーっ!」語彙力が! ちいかわ以下!!

「メーベル」!

 ラテンとジャズが入り混じった独特のリズムに、身も心も躍る!
 激しくヘドバンしながらギターを掻き鳴らす須田の姿は赤く、まるで、肥え太った太陽が腐り落ちる瞬間の西日を浴びたかの様だった。或いはトマトの果汁を頭から被ったか。その果実もきっと腐っている。ゆえに、濃密な味わいだ。
 サビでは示し合わせたかの様に客と須田の声が重なり、ラストは肌の上に震動を感じるほどの大合唱となった。これがハチャメチャに爽快! 誰が強制したわけでもないのに、自然な流れでフロア全体が歌うさまは一種神がかり的ですらあった。大阪って合唱文化あったりするのかな? ねをとぽすでも合唱凄かったもんな。
 粗削りで無作法で、しかし一向に色褪せない鮮烈な切っ先を持つ「メーベル」。古豪の真髄をまざまざと見せ付けられた。流石っすね。

 メドレーは「Alba」「mock」「Dolly」の順に繋がる(※大阪にて)大盤振る舞い過ぎて逆にこわ~~! 「Alba」は"Billow"や "昼想夜夢"で歌ってたけど「Dolly」選手は三年前の"晩翠"以来か? 「mock」選手は……四年前!? 

 この流れも良かったね~~。「mock」は須田にドボンした最初期にドハマリした曲なんで、不意打ちでMV付きで演ってくれた時は本当に嬉しかった。実際生で聴いてどうだったかって? 腕が砕けたよ。
「Dolly」は、やはり始まる前のしっとりとしたキーボードソロ&お約束シンガロングが印象的。「Alba」と「mock」でホカホカにあったまった情緒を記憶の奥底へと仕舞い込む様な切ない調べ、からの飛躍する大サビの二連コンボな! 全員で声を合わせる"とぅーらうらー"もやっとこ経験出来たし、何つーの? 初めて村の祭りで神輿担いだ感あったな。

 メドレーのシメは王道「パレイドリア」。き た わ ね 。
 もうこれはハズレないっしょ~実際ハズレなかった。ステージに立つ全員があのイントロに合わせて身を躍動させた瞬間、肉が裂けようと構わぬ勢いで打ち鳴らされる大音声のクラップ。岩を砕く様なその音は、両手を高く掲げて群衆に火を点ける須田の姿が一瞬攫われてしまうほど尋常でないものだった。須田、サポメン、客、そして多分袖にいたスタッフ連。皆のミトコンドリアがあの場で燃え盛ってたね。

 ドリアの何が燃えるって、キャストがマジのマジにノッリノリで演奏してくれるのがほんと~にアツいよね!
 清楚を雲の上に投げ捨てた主役は目を剥き、恐ろしく精悍な形相で芯の通った歌声を響かせる。まるで前線に降り立った兵士。実際その演奏も戦めいたもので、稲妻の如くアルペジオを光らせ、疾駆するBPM205に喰らい付くさまは「パレイドリア」と銃撃戦を繰り広げているかの様だった。あの時、須田が構えていたのはエレキではなく確実に89式小銃だったな。

 そして、今回のサポメンMVPは何と言ってもBa.奥田一馬御大ですね。
 現場ドリアお約束・ロングアレンジされた間奏部分で激烈なヘドバンもといボディバンをぶちかましつつ、弦が焼き切れるのではと驚嘆するばかりのピッキングを観衆に魅せ付けたのがヤバかった。かずまボーイズ&かずまガールズ殺到不可避。天晴なパフォーマンスでした。

 ラスト、メンバー全員が視線で盃を交わしつつ、爆音で締め上げてみせたスペシャルメドレー。最高過ぎた~!


「あは……難しい曲ばかりだったね~♨️」

 一転して子供の様に表情を綻ばせる須田氏。カワイイ星のカワイイ星人か? 俺が帝なら褒美として地球の土地を授けてたね。
 ちなみにこのメドレー、開催場所によって微妙に構成が異なってたらしく(コシヒカリの味かな?)東京では「メーベル」in 「Alba」out、仙台では「メーベル」&「Alba」in「mock」outな内容でした。欲張りセットな大阪は曰く「本当はもっとコンパクトだったんだけど、好評につき長めにしました」との事。詫びメドレーなんやな。

 饗宴はまだまだ続く。「veil」「雲を恋う」「ノマド」の三曲をノンストップで披露した後は、切ないキーボードソロと共にお待ちかねのマスターピース「終夜」がドロップ。

 湿度高めロック二曲から、違和感なくバラードゾーンへ持っていくのが秀逸ですね。「veil」はアッパーながら痛ましいほどに繊細な情感で。「雲を恋う」は降りしきる雨を模した水玉模様をカーテンに投影し、憂いを帯びつつも優しく話しかける様に。「ノマド」は「花に風」と同じくブラウン管にMVを映し、秘めたる熱情を少しずつ昂らせる様に。
 曲の世界観に寄り添った美しい演出と、須田景凪の多彩な声帯表現に魅せられる。そして、彼が作り出す抒情的世界は「終夜」で完成した。

 闇に包まれたステージで、モチヅキ氏とキーボードだけが硝子色の光に照らされている。紡がれるは透き通る様に無垢な音色。無色透明のしらべは我々の耳を撫ぜ、心に触れ、そして消えた。一瞬の無音。

 それが合図であったかの様に、澄んだブレスが闇を震わせた。

 瞬間、夜空が眼前いっぱいに広がった。
 蒼い鋼の空はどこまでも広く深く、真冬の清らかな空気に磨かれ凛と澄んでいる。一面に広がるは凍った星々。たおやかなきらめきを湛え、縹渺たる響きに身を任せながら夜と共に移ろいゆく──私はそんな景色を垣間見た。
 須田景凪の歌はまさしく"絶景"であった。深くもたげた華奢な身いっぱいに空気を込め、振り絞る様に音を紡ぎ出す一連の流れ。その音は、鼓膜でなく皮膚を伝い落ちて全身に浸透する細かい粒子だ。声の一つ一つに呼吸が宿り、音楽の原風景を繊細に投影する。私は、いや。あの場にいた全ての人間が息をするのも忘れて、ただただ聴き入っていた。

 生まれ持った身一つで、人をここまで感動させられるのか。

 歌が終わり、あたたかな拍手が会場を満たす。ステージが明るくなっても、フロントに置かれたランプだけは金色の光を灯したままだった。まるで明けの明星だ。
 人生でたった一度きりの歌声を惜しむ様に、いつまでも光は灯されていた。


 さて。ライブもいよいよ終盤に突入。
「終夜」という虎の子を披露し、手札は限られてきた筈。ここからラストまでどう楽しませてくれるのか……
 と、思ったその時。須田の口から""あの曲""の予感が飛び出した!

「ここからアツいゾーンに入っていくので、知ってる曲があったら……てか、皆、知ってるかな?」
「おそらく皆さんが知っている曲を演るので、一緒に歌ってくれたら嬉しいです」

 え、ええっ~~!? け、景凪くん! このセトリで、まだアツいゾーンに入ってなかったのかいっ!!?
 驚愕するヲタをよそに、憂う様にギターを爪弾いた須田はある一つの歌、もとい、愛を謳う。

「さよならは あなたから言った」
「それなのに 頬を濡らしてしまうの」
「そうやって昨日のことも 消してしまうなら」
「もう いいよ」

 ────笑って。


シャルルが! キタァーーーーー!!!!


 大正義、王者の風格、王道を超えた王道!
「終夜」の密やかな余韻が伏線だった様に、一気に沸き立つフロア。もはや、沸騰する湯の中で泳いでいる様な感覚だ。
 一瞬で摂氏12000℃に達したフロアの昂奮は殆ど病的で、誰もが熱烈な歓待で以て四方八方から降り注ぐ愛を浴びていた。縦横無尽に壁面を駆け回る花のモチーフ、黄昏と夜の色に高速で切り替わるステージライトすら躍っているかの様。過剰に煽らずとも自然に身が躍り出し、誰もが思うままに音楽を謳歌している。す、すごい……これこそが須田景凪のライブ……! 祭りやんけ……!

 昂奮しつつも私はとある違和感を覚えた。そう、聴衆も歌っているのである。
 
コロナ禍では胸の奥で歌っていた声なき「シャルル」。しかし鉛色の時代は終わりを迎え、今、我々は己が声帯を震わせ確かに愛を謳っている。須田景凪と共に! 嗚呼^~~超絶めでたきことよ^~~~!!!

 真面目さ故か、当初は「嫌 嫌」「否 否」だけを歌っていた聴衆。しかし、間奏にて「皆さんの歌声、大きく聴こえています! ありがとうね✨」という声を聴きヒートアップ。ラスサビは須田と俺らの声が重なり、会場を揺るがさんばかりの大合唱と相成った──
「シャルル」は愛情の終わりを描いた曲だという。しかし、あの空間に相応しいのはむしろ愛情の始まりだったように思う。音楽への愛、開催地への愛、サポメンや多くのスタッフへの愛。そして、何より何よりアーティスト・須田景凪への愛がそこにはあった。ぼかぁもうね、胸が湯豆腐みたいにじぃんとあったまったんだよね。少し泣いてしまったよ~(推しのライブを観た須田並みの感想)

 だがしかし! 感動はここで終わらない!!

 間髪入れずに「一番明るい曲をやります!」と宣言するや否や、須田はスタンドマイクに手をかける。マイクに命を吹き込む様に、柔らかに、軽やかに響き渡る水色の歌声──!

「眩しくて 眩しくて 僕は目を逸らしてしまう」──ストリングスがきらびやかにフロアを駆け抜けた瞬間、廻る翡翠色の逆光を背に両手を大きく広げる須田。その顔には満面の笑みが咲き誇っていた。しゅ、宗教画……! いやウィトルウィウス的人体図や……!

#彼氏にしたい須田曲ナンバーワン #国宝級イケメン #国民的彼氏

 名曲「メロウ」の多幸感は圧倒的であった。回転する翡翠の光が万華鏡の様にステージを飾り、ブラウン管には青い炎が宿る。須田の歌はこれ以上ないほど鮮明に響き渡り、全身で以て声を疾駆させるその姿は、生き急ぐ若人の瑞々しくいっそ物哀しいまでの愚直さを呈しているかの様だった。"Ghost"の名を冠しているとは思えぬ溢れんばかりの生命力。俺達は今! 春の真っ只中だ! 感 無 量 で す !

 そしてCメロに入った瞬間! すかさずフロアへマイクを向ける須田! この瞬間を待っていたッ!

「もーっと行けますか~?」

らァらーらららーらららァァァアアアアアア!!!!


「 もーっと声出してみましょう~」

ラァア~ラーラララーラララァァァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!


「ありがとう~♨」

 ヤ マ ハ 音 楽 教 室 の バ イ ブ ス で 客 煽 る の 解 釈 一 致 過 ぎ る 。

 ひとしきり煽った後は、お手本とばかりに自身も合唱に参加する須田。
 ステージから聴く客の合唱は、きっと拙い歌だったと思う。けれど本っ当に嬉しそうにフロアを見渡して、最後は一緒に声を重ねてくれた須田があり得んほど尊くて尊過ぎた。少し号泣してしまったよ~(推しのライブを観たヲタ並みの感想)
 何だろうね。須田さんって基本虚無顔で誰にも媚びないから、不意に漏れる笑顔が心の底から咲いた嘘偽りない無敵の笑顔なのよ。多分あれが青い温度の正体。須田の笑顔の前ではセブンスターもセボンスターになれるんだよね。


 ああ^~眩しくて眩しくて凝視してしまう^~などと「メロウ」の余韻に浸るキモヲタ。  
 いや、浸れなかった。浸るヒマなどなかった。新緑めいた翡翠が一転、強烈な"赤"に染め上げられたからだ。

「もっと熱くなれますか!? 熱くなりましょう……!!」

 ギターを構えた須田が叫ぶ。轟く歓声。不敵に笑む須田。激しいビートが1秒にも満たぬブレイクを挟んだ直後──耳に飛び込むギターリフ!




「レド」と「綺麗事」が来たぞッ!!!


 こ の コ ン ビ は ヤ バ 過 ぎ る ! "未来への漠然とした不安を抱えていた頃"の激アツ枠と、"誰にどう思われても己の好きなものを信じ続けると決意した現在(イマ)"の激アツ枠を並べるって、エモいどころの騒ぎじゃねえだろこれ。数年の時を経て過去と現在が繋がり、須田景凪の正統なる進化が花開く! ヲタクは卒倒、須田は熱唱、フロアの熱気は渦巻き上昇! 最高の時間だぁーーッ!

 圧巻。まさしく、圧巻の一言に尽きる。
 ドラムとベースの怒涛の打撃は身体の芯まで重く突き刺さり、キーボードが放つ電子音は脳天を貫き、ギターは猛獣めいた獰猛さで以て我々の五感を食い荒らした。聴衆は容赦なく蹂躙され、見果てぬ高みへ魂ごと連れ去られてゆく。その切ないほどの激しさが夢の様に快い。
 我々は応えるかの如くクラップで空気を揺るがした。鳴らす者がいなければ耳は潤わず、聴く者がいなければ声と手は浮かばれない。「ふたりで哂い合おうぜ」──目に映る全てが真善美一体となり、終焉へ向けて駆け抜ける。この夜が更なる熱を帯びる。

 もはや、どんな言葉を宛がっても相応しくない。
 この感動はあの場にいなければ決して伝わらない。

 ラスト、眩い光を背にサポートメンバーと向き合って楽器を奏でる須田。その目が見据えるのは亡霊の様な過去でも、ましてや漠然とした未来でもない。たった一度きりの"今"なのだ。これね、神話の一幕。



「はあ。流石に疲れたね♨️」
皆さんは疲れてない? お水飲まなくて大丈夫? じゃぁ、僕は飲みますね♨」

 汗を拭い、晴れやかに笑みながら水分補給する須田氏。んほぉ^~このギャップたまんねえ^~~。ステージでは迫力ヤバいのに喋るとまったりしてるとか、人をころす気なのかな。あとほいほいペットボトル手にしたヲタク達些か調教され過ぎかな。 私か? がぶがぶ飲んだで。


 ここで少し長めのMCタイム。
 三年越しに初の全国ツアーを開催した須田が語るのは、かつて味わった苦悩と自分の人生観。そして、アルバム『Ghost Pop』に込めた想い。

「このツアーは自分が初めて回る全国ツアーなんですけど……本当は三年前にやろうとしていたもので。コロナウイルスで初日の2、3日前に突然中止になってしまって、スタッフの皆で色々考えたけれど、結局全ての公演がなくなって」
「誰が悪いわけじゃないけど、自分の中で、あの時から心にぽっかりと穴が空いた様な感覚があったんです」

「自分は、価値観として昔から何か賞を貰ったりだとか、誰かに褒められたりだとか、嬉しい事があってもどこか他人事の様な気がしていて。勿論嬉しいし有り難いんだけど、それが自分のものになる感じがしなくて」
「ずっとそんな……何かを失くした様な、虚ろな感覚のまま生きてきたんです。それはもう変わる事がないし、これからも、そんな気持ちを抱えて生きていくんだろうなという確信がある」

「『Ghost Pop』は、俺の事しか書いてないなと思うくらい自分の価値観や生き方を詰め込んだアルバムで。発売から数ヶ月経って、改めて聴いて、やっと自分の中で咀嚼出来た部分がありました。そして、『Ghost Pop』はこのツアーをもってようやく完成します」
「曲に込めた感情はもしかしたら……あなたにもリンクすると思っていて。今から歌う曲もそうなんですけど」
「今日はいつか霞んでしまうかもしれないけど、あなたがアルバムを聴いて、この景色を思い出してくれたら嬉しいです。……綺麗事になってしまうけど、」

「あなたの人生の一部になれたら、嬉しいです」


 リスカピアノの音色が降りる。同時に、仄暗い薔薇色がカーテンに渦を描いた。

 クライマックスが、来る。



俺の"ダーリン"!!!!!!


【人生の一部ってか、人生そのものなんだなぁ よはく】

 今年バズり散らかした極上の"病み"のエントリーに、しんみりした空気が再び発火する。このバチクソ泣けるMCからの「ダーリン」はまずい。つーかこれが俺達にリンクする曲だって!!? 須田氏おれらの事よく存じ上げてんじゃないの~~!

 もうこれは何も言うこたぁないね。超カッコ良かった~!↑ 薔薇色と蒼褪めた光の中で、輪郭すら朧げにふらふらと彷徨う須田氏(す……須田がステージを練り歩いてる!)「私じゃ 駄目ですか」と呟く様に歌う姿は、まさしく幽鬼染みていて、一瞬彼が人間である事を忘れそうになった。そんくらい現実離れしたオーラがあったんだ。
 が、サビで一転。抑圧した感情の堰が切れ、衝動的に想いを叫ぶさまは目が眩むほど生々しいものだった。「全部 あなたにあげる」と病的なまでに一途な愛を歌ったかと思えば、「お気持ちはたんと愛で頂戴」と見返りを求める。相反する二つの感情が解像度高く、亡霊とも生者ともつかぬ狭間の温度で歌い上げられる。

 それはまさに『Ghost Pop』のテーマの一つである"矛盾"を孕んでいた。そしてその矛盾はすなわち誰もが抱く違和感──曖昧で、理不尽で、正解も不正解もない日々の狂気に通じている。あ! これ、須田の言う"日常に寄り添う音楽"だ!
 舌を巻いた。一人の人間の分霊箱とでも言うべき『Ghost Pop』は、その実、普遍的な感情を描いた等身大の作品だったのだ。どれだけの変化を遂げたとて輪廻転生の如く回帰する場所は同じ、"我々の日常に寄り添う音楽"。その事実を心から嬉しく思った。

 割れんばかりの喝采で満たされた空間の中央で、須田はフロアを見渡し、深々と頭を下げる。
 再び前を向いたその顔には、見た事がないほどの喜びが溢れ出ていた。ここちよく、やわらかに。生まれ変わったのだな。私はそう思った。

 拍手は鳴り止まず、"日常に寄り添う音楽"も絶えない。

 あの夜、須田景凪は世界で最も美しい絶景の頂点へと到達した。



 アンコールでは、内閣がグッズを身に着けまたぞろ登場~。

 サポメン衆は黒のTシャツを、須田氏は白のTシャツを着用。東京は開催が残暑厳しい時候であったため、半袖のサポメン衆はまだしも須田氏は長袖だもんで「アンコールありがとうございま~す♨ 嬉しいねぇ……(しんみり)」「暑いねこれ~♨」と良いながら袖を捲っていた。ふーん? 可愛いじゃん。

 須田さんは厚いべべの重ね着を好みがちだから、こういう薄手のTシャツ一枚はかなり珍しかったっすね。白地がたまご肌の透明感を引き立ててるし、ポップな柄とユニコーンカラーのパンツの組み合わせもGOOD。実際、目撃したヲタク達は「可愛いー!」「似合ってるよー!」「いいよいいよー!」としきりに叫んでいた。野太い声で。グラドルの撮影会かな?


 そんな、些かキュートに装いを新たにした内閣がお送りするは「猫被り」「雨とペトラ」「はるどなり」「美談」の四本。キュートってかヒート。アンコールなのにこんだけ詰め込んじゃってええんか。須田氏最後までチョコたっぷりっすね。

 四曲ともメッチャ良かったんだけど、中でも白眉はやっぱこれ→詫びとペトラ「雨とペトラ」! 
「猫被り」終了後、「最近あまりやってなかった曲」と告げて演ってくれた時は死ぬほどたまげた。つーか死んだ。東京&仙台では猫→どなり→美のしっとりEcだったから意表を突かれたね。雨ペトが入る事で大人しめなラスト近辺にピリ辛なフックがかかり、結果として満腹感あるセトリに昇華したと思う。昼想夜夢でペトってたから「あんまやってなかった」ってのは大嘘だけどな!

 あと忘れちゃいけない「はるどなり」ね! 
 本来なら三年前、初全国ツアーの主役に据えられる筈だった「はるどなり」。「凄く思い入れのある曲」「その時歌えなかった大切な曲を歌います」という言葉から始まった歌唱は、グレートーンの光景が徐々に色付くかの如く、豊かな情感を帯びた素晴らしいものでした。季節の狭間で薄桃色の風を待つ蕾を歌に溶いたら「はるどなり」になるんだろうね。

 振り返るとこの曲も「冬でも春でもない」「あたたかくて冷たい」「生を描きながら死の気配もする」という良い感じの矛盾孕んでんのね。須田氏は三年前から目覚ましく進歩したけど、根本的な部分はずっと同じなんだなぁと改めて。

 そんでこのアンコール。東京のMCと大阪のメンバー紹介がやたら面白くてですね、

東京→「何度も言うけれど、三年前に出来なかったツアーが今日から始まります。……ツアー行き慣れてる人いる?」シーン……
「シカトしないでよ(しんみり) もう一度聞くね? 行き慣れてる人いますか?」シーン……
「……やめよっかこの話(しんみり)」

大阪→「ここでメンバー紹介を、させてください~♨」
「Gt.タケさん~、Key.モチヅキヤスノリ~、Dr.シュン~、Ba.かずま~」

「ボーカルー!」「ボーカルは!?」「ボーカル!」
「んー?」「んー、んー?」
「……健康です(迫真)」「健康ですよ?(迫真)」「健康だよねえ(迫真)」


 須田さん……オーズOP、流そうぜ!




ーーーー

 景凪と一生一緒エンゲージリングくれ!


 セトリ、歌唱、演出、演奏。全てが一分の隙もなく、しかし極めて自由に鳴り響いていたライブ。
 印象に残った部分は多々あるものの、やっぱ須田さんがメチャメチャ楽しそうだったのが印象的だな~。"Ghost Pops"、タイトルからして不穏ですし闇曲凶暴曲多いし演出も不気味寄りだったんだけど、なんでか終わった後の気持ちは晴れやかで快いものだったんですよね。それこそ、何か別の素敵な存在に生まれ変わった様な。

 それは須田さんが一番にあの夜を楽しんでいて、私達にも楽しんでもらおうと懸命に邁進していたからでしょう。描かれる感情は†ダーク†中心なのに、不思議とポジティブな気分になる。パワーが満ちる。『Ghost Pop』は普遍的な感情が云々と書いたが、ネガい感情を肯定する事で、逆説的に不完全で曖昧な自分を認めているのかもしれんな。「大丈夫☆キミはひとりじゃない☆」って明らかな欺瞞言われるより、「誰もお前を愛さない(だから好きに生きろ)」と潔くdisられる方が救いになる事もあるよね。

 そんでね~今回もすだすだの気配りが爆発してて尊かったんだよ~。
 仙台の「柱で見えなくなってる方いますか?(イケボ)」もそうなんだけど、MC入るたんび「前も後ろも見えてますよ」「二階席の奥の方まではっきり見えてますからね」とハズキルーペみたいな事言いつつ手を振ったり、メンバー紹介の時「このツアーを行うにあたって、表からは見えないかもしれないけど、本当に沢山のスタッフさんが動いてくださってます。皆さんにも拍手をお願いします!」と言っててね。菩薩かよ。あの場にいる誰一人として取り残したくないんだろうなぁと、須田さんのあたたかさに触れられましたね。

 あたたかいと言えば、MC中に一瞬謎の間があって「うふふ✨」と全員が同じタイミングで笑い合ったり、須田氏が不思議そうに小首傾げた姿が𝐒𝐔𝐏𝐄𝐑 𝐂𝐔𝐓𝐄過ぎてフロアがぱぁーっと微笑む場面とかあったな。園遊会かな? 合唱もそうだけど、互いの心が繋がり合った様なほっこりシーンがちらほらあって、おいどんはそれも嬉しかった。

 ツアーファイナルのラスト、聴衆へ深い感謝の言葉を告げた須田氏。
 名残り惜しげに、いや、何か言いたげに逡巡する素振りを見せた。が、結局「ありがとうございました」とだけ言って深く頭を下げ、そのままステージから姿を消してしまった。最後に何を言おうとしていたのだろう。きっと彼にも分からない。


 三年越しのリベンジ&一ヶ月ぶりの名誉挽回を見事果たし、最後まで全力で駆け抜けた"Ghost Pops"。
 アーティストとしての矜持を感じる大変に激アツなツアーでした。まさに完璧で究極の須田景凪。お疲れさまでした!!!



1月13日 急に思い出したので追記:
 仙台公演にて。どっかのタイミングのMCで「今日は名古屋に来れて本当に良かったです♨」と壊滅的な失言をしてしまい、ファンから突っ込まれて恥ずかしそうに顔を手で隠すハプニングがあった。
「あぁ~……暫く引き摺るわ⤵」「俺って本当にだめなやつだね⤵」
 などと散々落ち込み、その後のMCではやたら仙台というワードを強調。「もう 絶 対 間違えないよ」

 やっぱ景凪のMCとAnything Goes! はズッ友なんだよね。


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