詩〈過去作〉何本矢を放っても

高校時代の遺作Vol.4


   

何本矢を放っても


あなたのようにはなれないと

わたしにはわかっているのです

それなのにがんばれだなんて

なんて無責任なのでしょう

あなたのように

わたしは優しくなどないし

経験豊富なわけでもない

それでもあなたに追い付かんとばかり

必死に走っています

あなたは全くひるまず進みますが

わたしにとっては茨の道でした

脚々に棘がつき刺さり

ところどころに血が滲みます

これでもまだたりないのでしょう

一体どれほどの血を流したら

あなたと同じ土俵に立てますか

あなたの平然ぶった顔が嫌いです

まるでわたしが愚か者のよう


わざと脚をかけて転倒させてやりました

一時の爽快感が満ちました

傷つき倒れているあいつを見て

ああ あいつも人間だったんだな

なんて 今更 気づきました






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