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「また今度」

今「明け方の若者たち」を読んでいる。
自分の経験を重ねて、誰も彼もこんなことを少なからず経験しているんだと、恥ずかしくなって体が痒くなるが面白くて読むのをやめられない。

「明け方の若者たち」のテーマのひとつに「別れ」が存在する。

お互い連絡を取り合わなくなった自分の友達や知り合いの事を思い出して、文字に書き起こしたくなった。

話は少しズレるが私が中学生の頃はスマホを持っている人たちなんてごく僅かしかいなかった。
持ってる人達は一軍というか、一軍って言葉はあんまり使いたくはないんだけどそういう集団だった。

私は持ちたいとは別段思わず中学生活を謳歌していたが、高校受験のあと両親にiPhone5を買ってもらった。いらないよと強がっていたものの嬉しかった。

同じように受験後にスマホを手に入れた部活で仲の良かった子達とLINEを交換して、毎日やり取りをした。
余談だがその中の3人とは、いまだに帰省した際にご飯を食べたり旅行に行ったりしている。もう10年くらいの付き合いになる。

その3人とは別に1人、部活で仲の良かった子がいた。3人とその子は特別仲がいいわけではなく所謂別グループのようなものだった。
私は当時アニメや漫画などにどっぷりハマっており、その子(以下Aとする)は私よりもずっと物知りで色んな作品や音楽を教えてくれた。漫画の貸し借りもしたし、手紙のやり取りもした気がする。

1年生の時は同じクラスだったが、2年に上がる時クラス替えがあって、担任やクラスメイトとうまく行かなかったAは別室登校(保健室登校みたいなもの)になった。
Aのことを好きだったしまたアニメの話がしたいからとよくAがいる教室に足を運んだ。

「永田には友達他にもいるんだから、そっちに行ったら?」と突き放されたけど
「別に義務的に来てるわけじゃないし、Aと話すのが楽しいから来てるんだけど」と脳内お花畑の私はたまにAの教室にいったりいかなかったりといつも通り過ごしていた。
中学の卒業式の日にAとライン交換をした。

高校は別々になってしまったけど、アニメの放送後は感想を言い合ったり、県内の高校が集まる行事があれば会って少し話をしたりした。
行事も自由な時間が限られてるから「じゃ、またね」と言って別れを告げた。

それから突然ぱったりと、連絡が来なくなった。
私も高校生活に慣れる為毎日忙しくしていて、高校入学前のように四六時中スマホの画像にかじりついてはいられなくなった。

まあいつかは会えるかなと思っていたら、LINEのアカウントが「un known」になっていて
いつの間にかアカウントが消えていた。
アカウントが作られたら、追加してくれるかなと思っていたら日々が過ぎていった。

20歳になる頃、成人式のために県外の大学に出ていた私は帰省していた。
ふとAのことを思い出して、そういえば電話帳にも登録してたなと電話帳から探して連絡を取ってみた。

なんて話すかとか何も考えずに電話かけちゃったなーとか考えていたら、「この番号は現在使われておりません。」とAの声ではない無機質な女の人の声で告げられた。

その後大きな書店のわりかし近くにAの家があったのを思い出して、漫画を買いに行くついでに見に行ってみた。
たまに行っていた見覚えのあるアパートの表札からは彼女の苗字は消えていて、空白になっていた。誰も住んでいない。

スマホの情報がなくなって、住んでるところも分からなくなって、連絡の取りようがないことを初めて経験した。

高校一年生のあの日が、私と彼女の最後の日になった。
これから会えることがあるかも知れないけど、今どこにいるか分からないし物騒なことを言うと生きてるのかも分からない。

私が失恋した時、社会人のくせに毎週私と遊んでくれた大学の先輩も
ネットで仲良くなったジャニーズのオタク友達も
元アルバイト先のパワハラの末に酒に呑まれてどんどんやつれて、いなくなってしまった社員さんも
高校の時に飽きるくらい笑い合ってたくさん遊んだ友達も

みんな最後に「じゃあまたね」って言ったっきり
会わなくなる。

ハイ、これで最後です!
っていう予感がなんとなくしていて、でも最後じゃないかもしれないという淡い期待をしながらフェードアウトしていく。

だんだん連絡するのが億劫になってしまう。

悲しいけどそういうものなのかもしれない。

今いる友達を大事にしたいよなと思った。

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