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職場の先輩の話。
食べることが大好きで、いつもニコニコ
大柄で、気は小さくて、優しい先輩。
好きな四字熟語は「大盛無料」だそうです。
わかる。わかります。
お腹が空いていなくても、つい大盛にしてしまう。
居酒屋の「とりあえずビールで」と同義。
とりあえず大盛で!

ある日、そんな先輩が急に
「大食いチャレンジ」をしに行こう!
と言い出しました。
…昨日、大食い番組やってたからな。
そんな素直さが微笑ましい。
(なぜか上から目線)

2人は、目的の定食屋に到着。
目的のジャンボカツカレーを…
…あれ?先輩?
なんで悩んでいるのかな?

先輩の視線の先を覗きこむと。

 チャレンジメニュー‼️
 🍛ジャンボカツカレー2kg
 20分以内に全部食べればタダ‼️
 3,000円

おぉ…なかなかリスキーだな。
失敗したら1食3000円か。
その金額なら寿司が食えるな笑

2kgという量もなかなかに絶妙。
テレビで見れば簡単そうな量だけど、
実際には厳しいんだろうな。
でも絶対無理って気もしないな。
やってみないと分からないけど…
さぁ、どうする先輩?

(てか、いったい何しに来たんですか)
僕が心の中でツッコんでから1分。
先輩は覚悟を決めたらしく、
「これ2つになります!」
チャレンジメニューを指差しました。
店員さんに向けて、若干のドヤ顔。
(でも先輩、微妙に日本語間違ってましたよ)

待つこと約15分。
「お待たせしました。ジャンボカツカレーです」

ででーん!🍛
(思ったよりデカいな…💧)

僕は早速食べ始める。
もぐもぐ。
意外とうまい!
(大食いメニューはマズいという前提)
なるべく早く、満腹中枢が働かないうちに。
水もなるべく飲まないように。
もぐもぐ。もぐもぐ。
どうせなら完食したる!

対します先輩。
ごくごく。ごくごく。
いや、めっちゃ水飲むやん。
ばくばく。ばくばく。
いや、めっちゃカツ余るやん。
明らかに無策。
大丈夫かいな。

残り500gくらいになってくると、
さすがにお腹いっぱい。
もはや旨いかどうかは分からない。
だが、これは闘いだ。
負ける訳にはいかない。
好きなゲームのラスボス戦の音楽が頭を巡る。
くらえー!
いや、俺が喰らうんだけど!
もぐもぐもぐもぐっ!

よっしゃー!完食!やってやったー!
途中、もはや3000円要らないとか思ったけど!
なんとかなりましたー!( 厂ω )厂うぇーい

…おっと。
一人だけ喜ぶのも申し訳ない。
あと3分、先輩はどーかな…?

(なんか無理そう…)
先輩の皿も、残り200gほど?なのだけれど
スプーンがストライキを決行した模様。
なんか、ちょっと泣きそうだし。
てかカツ残り過ぎだし。

が、そこで先輩が僕の完食に気づく。
普段はリアクション激しめな先輩。
でも、ここはノーリアクション。
言葉を発する代わりとばかりに、
寝転がっていたスプーンを拾い上げる。

ぱく。  …ぱく。
めっちゃ遅い。少ない。
箸が進まないとはこのことか。
(スプーンですけれども)
いつもなら、たったの200g。
なのだけど、満腹後の200gはキツいよな…
(ほぼトンカツだし)

…ぱく。   …ぱく。
まるでほふく前進ですな…

あと1分。
先輩はそれでも頑張って食べ進め、
とうとう残り1口になった。
やるじゃん。よく頑張りました。
もはや口に押し込めばOK!

…なのですが。
あと30秒。

あと20秒。

あと10秒。
おいおい先輩?

先輩のスプーンが動かない。
あと一口なのに。
てか、なんか先輩、泣きそうになってるし。

「…無理。もう一口も入らない。絶対無理。」




終了でーす!

うわー…マジか。あと一口。
それ、なんとかならなかったのか先輩。

「ダメだ。どうしても、もう無理だった。」
苦しそうな先輩。
ハタから見れば一口を押し込むだけ だけど、
限界になると、あの一口はそんなに辛いのか。

いや先輩、頑張ったっす!
むしろそんな限界まで頑張るなんて、
根性パねぇっす!(ヤンキー風)

先輩は、負傷して戦場を離脱する兵士なんだ。
負けて逃げるのではない。
精一杯戦った勇者なんだ!
パチパチパチパチ👏

後輩として、
先輩の勇姿を讃えることにしました。

「あー苦しい!胃が気持ち悪い!」
いや先輩、よく頑張ったよ。
「あー!気持ち悪い!」
コップを持つ。
ごくごくごくごく。
飲み干す。
「ふー、スッキリした!」

いやチョット待て!
その水が飲めているなら、
最後の一口は入ったよね!?

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