今日のアウトテイク#170「自治体こそインディー・コワーキングをやるべき」(2024-05-06)
<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
※勢い、長文になってしまった。
#今日のBGM
#今日のコトバ
#自治体こそインディー・コワーキングをやるべき
地方創生臨時交付金を活用して自治体が設置したテレワーク施設が大して利用されず、中には閉鎖される事例が相次いでいることが分かった、と話題になってる。
これではダメだ、ということが判っただけでもよかったんじゃないかと思う。それよりここから何を学び、その経験をこのあと、どう活かすかが大事。
地方にばらまかれる交付金に飛びついた挙げ句のありがちな話だが、一言で言えば、そもそも「誰の、何のために施設を開くか」をよく考えてなかった、ということだろう。
このことについては、以前にも「地方のコワーキングあるある」と書いた。
繰り返しになるが、ちょっと引用すると、
いつも言うけどハコだけ作ったってヒトは来ない。ハコはヒトを呼ばない。イスもヒトを呼ばない。結局、ヒトを呼ぶのはヒト。それと、そのヒトが起こすコト。
ヒトのひとつは利用者。利用者の中に面白いヒト、進んでるヒト、とんがってるヒト、ちょっとおかしいヒト、がいて、必ずしもパソコンをパチパチする人たちとは限らない、ということを最初にわきまえておくべきだが、ここがスルーされるケースが多い。つまり、対象が判っていない。
それはざっくり、こういうテーマを持っている人たち。
そして、彼らにはそれぞれ大なり小なり、果たしたい目的や解決したい課題がある。彼らが混ざると化学反応を起こして、いろんなカツドウが起こる。コワーキングはこのカツドウを引き起こす装置であり、仲間を得てコトを起こすインフラだ。
ヒトのもうひとつはそういうコワーキングを健全に運営する側の人材。利用者をサポートする、いわゆるコワーキングマネージャー。あー、コミュニティマネージャーではない。コワーキングマネージャー。何が違うかはこれを読まれたし。
これは、はっきり言ってそこそこの能力が求められる。ただ、受付でWi-Fiのパスワードを教えればいいわけではない。利用者のさまざまなニーズとウォンツに適切に対処しサポートできるスキルとセンスとホスピタリティが必要だ。ただし、正しく学んで経験を積めばこれらは身につけられる。
Yahoo!ニュースのコメントを見ると、施設や設備(ハード)のことをとやかく言う人が多いが、この「ヒト」(ソフト)について意見する人がほとんどいない。しかし、肝心なのはヒトとコトだ。
ヒトを呼び込む、集めるためにどんなことをやってきたのかは、記事では判らないが、そこに工夫が必要だったのかもしれない。いずれにしても、ヒトとコトを想定していなかったのがうまくいかなかった最大の原因ではないだろうか。
コメントで気づいたのでついでに言っとくと、東京の例を出してきて設備がどーのという意見が目に付くが、そもそも東京と比べること自体がナンセンス。人口とか地域性とか似たような条件の他の地方のまちでうまくいっている例を出してきて言うならまだしも、黙ってても人が来る東京のことを言われてもなんの説得力もない。
それと、「私は自宅のほうが居心地いいから使わない」という人は、だったらわざわざコメントする必要もなかろうに、どういう神経してるのかちょっと心配になる。
ところで、(就業規則のことを言うところを見ると)大半のコメンターが会社員のようだが、で、そこが地方自治体が見誤る点だが、ローカルコワーキングでは、なにも会社員に限らない、もちろんフリーランサーばかりでもない、さっきの曼荼羅図のように、ものづくりする人も、育児中のママさん、パパさんも、リタイヤした年配者も、大高中小学生も、飲食に関わる人も、農家のお母さんも、ヨガを教える人も、理学療法士も、釣り船の船長も利用しに来る。←これ全部、コワーキングツアーで目撃した事実。
都会のコワーキングしか使ったことがない人は知らないだろうが、そういうバラバラのニーズをワンストップで受け止めているのが、ローカルコワーキング。
だから、こういう人たちと話す機会をまず持つことが大事なのだ。
ぼくのところにも、コワーキング開業・運営のご相談がある。また、そういう方のためのオンライン講座も開講している(次期の「コワーキングマネージャー養成講座」は6月開講)。
そこでどなたにも必ず提案しているのは、場所を決めるのは最後でいいから、どこか会場を借りて、まずイベントでポップアップのコワーキングを開催して、そこに人を集めてヒアリングする、ということ。
「なんで、今日、このポップアップ・コワーキングに来たのか?」
この問いに対して、実にさまざまな、予想もしていなかった回答がある。彼らは彼らの目的達成や課題解決のための方法を求めて、何か手立てがあるんじゃないかと考えて、期待してコワーキングに来る。こういう声を聞いていく中で、この町に必要なコワーキングとは何かが判ってくる。このプロセスが、後々のコワーキング運営にとても重要なインサイトをもたらす。
当初、自分の考えていたものとは全然違うコワーキングになったとしても、それが地域に必要なコワーキングある限り、維持継続できる。当たり前の話。そこをすっ飛ばして「ハコがあればいいんじゃないの」とやってしまうからコケる。
コワーキングはそれぞれに集まってくる人によって構築されるコミュニティだから、見た目は似ていても、この世にひとつとして同じものはない。それぞれがそれぞれの構成員を持ち、違うカルチャーを持って、そこにある。
だから、まずヒトと話すこと、そしてそこで起こるコトに対して、利用者も運営者も相互に補完し合える、助け合える仲間となること、それがローカルコワーキングを健全で、地域に価値を生み出すスキームとして運営するための必要条件となる。
そうすることで、ローカルコワーキングはまちづくりのための役目を果たすことになる。自治体は、いや、自治体こそ、このことを理解すべき。
そのためには、「ハコ作ったから、さあ使え」ではなくて、そのうんとうんと先の計画の段階から地域住民と話し合って、というか、巻き込んで、どういうヒトがいて、地域にどういうニーズがあるかをヒアリングすべき。もうこの段階から「官民協働」のカタチを作っておく。
そして、地域の人々のカツドウの拠点としてコワーキングスペースを開設し、利用者のさまざまな活動をサポートし、地域に価値をもたらすことを目指す。
それを言い換えると、インディー・コワーキング。
インディー・コワーキングについてウェブメディア「allwork.space」がこう書いている。
さらに、インディー・コワーキングの提唱者であるCat Johnson氏はこう言ってる。
ただの作業場ではない、ローカルにとってはとても重要な拠点なのだ。ぼくが生活圏内のコワーキングの有用性を繰り返し言うのもこれが理由。
そこまで考えが至らなかった自治体は、もし出直すのなら、発想を変えよう。まず話し合って、それから「わたしたちの町をこういう町にしましょう」と提案する。そこにコワーキングの役割をはめ込む。
最初っからコミュニティを巻き込んで計画に参画させること。仲間になること。行政サービスなどというまやかしの言葉は捨てて、住民と一緒になってまちを作っていく。その一つの拠点としてコワーキングを開く。
自治体こそ、利用者、住民といっしょになってインディー・コワーキングをやるべき。そう提案しておきます。
判んなかったら、何でも訊いてくだされ。もし、参考になる地方のコワーキングを訪ねて話を聞きたいということなら、セットします。
ということで、今日はこのへんで。
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