かんやん

こんにちは。スキマ時間に読める掌編小説やエッセイを書いていけたらな、と思っております。…

かんやん

こんにちは。スキマ時間に読める掌編小説やエッセイを書いていけたらな、と思っております。ここでは、基本サクッと読めるものを目指します。よろしくお願いします。

マガジン

  • ココロとカラダと

    中高年の自己流健康志向エッセイ。体が資本だ。

  • 日々の泡沫

    ささやかな日常の雑感、備忘録

  • 連載もの

    他のマガジンからもれた、何回かに渡る比較的長い文章を集めました。

  • 短編集

    掌編というには少し長めの作品集。

  • 山行

    山の記録

最近の記事

地獄の女鍼灸師

 週に一度、夜勤明けの午前中に鍼灸院に通うことになった。   駅前の雑居ビルの5F、エレベーターから降りると玄関と受付があり、そこから先はカーテンで仕切られたスペースにそれぞれ簡易ベッドが一台ずつ、ズボンを脱いで用意されたベージュのスウェットパンツに履き替える。上半身は裸だから、いつも上の着替えまで用意されてる理由は不明である。  ベッドにうつ伏せに横たわり、クロワッサン型の枕の凹部に顔を凸部(鼻)を合わせる。  担当の田中先生は、マスクで顔を隠した年齢不詳の女性である

    • 東洋医学・代替医療・民間療法

       自分は根っからの文系人間だが、母は理系だし、父親にいたっては数学者である。  父親が教え子に手を出して孕ませ(今だったら大問題だろう)、堕して学業を続けるという話も出たらしいが、まあ中退して籍を入れるということで穏便に済んだらしい。そんなわけで、自分は娑婆苦の充ち満ちた世界へと生まれた。それにしても、こんな話、よく子どもに聞かせられるな、と呆れたものだ。未来の可能性は無限だなんて陳腐なことを言うつもりはないが、妊娠のせきで学問による自己実現をフイにしてはいけない、学業は終

      • 上野博物館「法然と極楽浄土」展へ。そういえば、GW中は、大体こんな風に横になってました。

        • 元気出せよ、生きてりゃいいことあるって……ペッパー。

        地獄の女鍼灸師

        マガジン

        • ココロとカラダと
          5本
        • 日々の泡沫
          16本
        • 連載もの
          24本
        • 短編集
          12本
        • 山行
          5本
        • 文学人生相談所
          6本

        記事

          頭痛・肩凝り・睡眠不足

          「しばらくウォーキングをおやめなされ」  あるとき、ある人にそう言われた。  それは歩くことこそが最良の健康法であると信じていた自分にとって、全否定にも等しかった。  人には人それぞれの健康法があり、長年の経験に基づいて、誰もが健康に一家言を持っているのではないか。だからそれを否定されても、簡単に受け入れられないのではないだろうか。  自分にとっての健康法は、実は歩くことだけではない。腕立て伏せで体幹を鍛えることにより、フレイル(虚弱・脆弱)やサルコペニア(筋力低下)を

          頭痛・肩凝り・睡眠不足

          ジョギングの危険とウォーキングの進化論的適応性

           何年か前までは軽くジョギングする習慣があったが、真夏の夜勤明けに走っていて脱水症状が現れて以来断念した。もう無理はしない。車でジムへ行ってマシンで走ったりするのは、矛盾していると思っていたものだけれど、その考えは改めた。しかし、ジョギングに健康効果はあるのか。  アメリカにランニングを広めたジム・フィックスという方をご存知だろうか。このジョギングの伝道師は、まさにジョギング中に心臓発作で亡くなったのである。享年52歳。「激しい運動に従事する人は長生きできる」これが、彼の信

          ジョギングの危険とウォーキングの進化論的適応性

          歩くことの自分史

           ずっと歩いてきた、比喩的な話ではなくて、いやもちろん、比喩的な意味でもこの冴えない人生をあっちへふらふらこちっちへふらふらと歩んで来たのだろうけれど。  今から数十万年前にアフリカ大陸の奥地、ボツワナかどこかで誕生した解剖学的現生人類は、数万年前にアラビア半島を経由して、三つのルート(①ヒマラヤの北を通ってシベリアへ。さらにアメリカ大陸へ②ヒマラヤの南を通って東南アジアからオーストラリアへ③ユーラシア大陸西部へ)で世界へ散らばったらしい。  いや、そういう壮大な話ではな

          歩くことの自分史

          【エッセイ】健康曼荼羅

           いつも自分の体調を気にかけているわけではないけれど、体調不良に陥ると、何が良くないのかと考える。もう若くはないのだから、なかなか快食・快眠・快便とはいかない。それどころか、肩・腰・目・胃腸・そして心……いつもどこかが故障しているような。だから、自ずと体調を気にかけることになる。いや、わかってる、深酒のせいだ、それと睡眠不足、さらには仕事のストレス……あとは、食べすぎかな、それに運動不足?  若い頃は不健康そのものの生活を若さでカバーできたのに、今は単純にそれができなくなっ

          【エッセイ】健康曼荼羅

          【短編】何も起こらない退屈極まりない田舎の話

           山小屋で一泊して下山し、麓の登山口まで戻るともう昼過ぎで、次のバスまで1時間以上あった。  さて、どうするか。このままここでのんびり待つか、それとも歩くか。1時間あれば駅に着く。しかし、それは疲労困憊した自分には、ウンザリするような選択肢だった。かと言って、バスを待ちながらベンチでスマホをいじっているのも面白くない。腹が減ってきた。ザックの底には半ば潰れかけた非常用のチョコとカロリーメイトが残っていたけれど、こういうものは山では美味いが下界ではなんとなく食指が動かない。

          【短編】何も起こらない退屈極まりない田舎の話

          【エッセイ】駅前の本屋が閉店したと思ったら、新規開店していた件

           年末に駅前の行きつけの書店を訪れたところ、立て札が出ていた。  あー、地元で40年以上も営業してきたこの本屋さんもとうとう閉業か、時の流れだなあ。ずいぶんと寂しくなる。大型店ではなかったけれど、文学、歴史、人文科学の新刊が充実していて、とても品揃えの良い書店だったのに。……面白そうな本を見つけては、タイトルを暗記して図書館で借りたりしたものだ。あ、いや、でもそれは高額な新刊の場合で、文庫や新書、ブルーバックスは必ずここで購入しましたよ、都心の大型書店ではなく。 「文学の

          【エッセイ】駅前の本屋が閉店したと思ったら、新規開店していた件

          【短編】山から下りるとき 後編

           バスを待つ間、鄙びた温泉宿で汗を流す。源泉かけ流し、ぬるぬる滑る板の間に硫黄の香りが立ち込め、縁の低く狭い浴槽の湯は明かり取りのガラスから射す日差しに緑瑪瑙の色に輝いている。先客は痩身の中年の男性一人のみ。登山客ではなく、ひがな一日湯浴みしているような秘湯好きと見えた。  バスが来るのは二時後、カバーを外した読みさしの文庫本でも読んでのんびりすることにする。紙はたちまち湯気でふやけた。  19世紀ロシアの小説だが、古代ローマ帝国を舞台に、世俗に生きる人が人生の最後に改心

          【短編】山から下りるとき 後編

          【短編】山から下りるとき 前編

           山から下りるとき、それがどんな山であっても似たようなある種の感覚に捉えられる。  日本アルプスの縦走であっても、日帰りのピストンであっても、岩登りでも、雪山でも、あるいは郊外の低山であっても、最後のピークを越え素晴らしい見晴らしも消えて、延々とつくづく単調な下山道が永遠につづくようで心底うんざりし、ようやく下界が近づくにつれ、山旅の終わりの実感が押し寄せてくる。先ず決まって音から、車やバイクのエンジン音や人々のざわめきが立ち昇ってくると、次に葉叢の合間から民家の色とりどり

          【短編】山から下りるとき 前編

          「はく製は絶滅したニホンオオカミか」 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240227/k10014372671000.html ニュースになってるけど、ヤマイヌって、ニホンオオカミの別称ではなかったか? それにしても不自然な剥製。

          「はく製は絶滅したニホンオオカミか」 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240227/k10014372671000.html ニュースになってるけど、ヤマイヌって、ニホンオオカミの別称ではなかったか? それにしても不自然な剥製。

          【山行】大菩薩嶺 久しぶりの雪山

           二月の連休に大菩薩嶺に登ってきました。一泊二日の小屋泊まり。東京に雪が降れば、奥秩父あたりは大雪だろう……と。  中里介山大先生の『大菩薩峠』は、読んだことないし、映画も観たことがないっす。  そういえば(とは言っても、生まれる前)、大菩薩事件というのがあった。60年代後半、この辺りの山小屋に潜伏して、テロの訓練をしていた赤軍派が一斉検挙されたのである。たしか若松孝二監督の映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』は、ここで撮影していなかったかな。  話は逸れるけど、

          【山行】大菩薩嶺 久しぶりの雪山

          【山行】雲取山 歩いて、休んで、また歩く

           正月に雲取山へ行ってきました。東京の西(最)果て一泊二日の小屋泊まりです。  久しぶりの雲取山、というか山。体力の衰えが著しい。  けど、二日間で43.1㎞、69,804歩、612階分登りました。  鍛え直します。 (了)

          【山行】雲取山 歩いて、休んで、また歩く

          またまた降ってきました。

          またまた降ってきました。