泉聲悠韻

隠居の徒然に、中国古典(漢詩・小説・思想・歴史)、中国語、北京、香港、比較文化、映画、…

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隠居の徒然に、中国古典(漢詩・小説・思想・歴史)、中国語、北京、香港、比較文化、映画、中島みゆきなど、あれこれ雑多な記事を綴っています。

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泉聲悠韻
8か月前
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アシスタントの〇太郎です。代筆してくれることがあります。
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『捜神記』「狄希」~千日酔う酒

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南朝宋・劉義慶撰『世説新語』は、後漢末から東晋までの名士たちの逸話を集めた文言小説集です。 その中から、希代の呑兵衛劉伶のエピソードを読みます。 劉伶は、三国時…

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『捜神記』「王道平」~生き返った花嫁

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。 その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「王道平」の話を読みます。 志怪小説の中には、…

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『捜神記』「北斗と南斗」~寿命を司る星

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。 その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「北斗と南斗」の話を読みます。 「北斗と南斗」…

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魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。 今回は、やや時代が下って、隋の侯白が撰した『旌異記』に収められている「孫敬徳」の話を読みます。 …

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『捜神記』「周式」~死亡予定者名簿

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。 その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「周式」の話を読みます。 「周式」~死亡予定者…

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『捜神記』「黒衣の客」~幽霊はいないと言われた幽霊

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。 その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「黒衣の客」の話を読みます。 「黒衣の客」~幽…

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『捜神記』「宋定伯」~マヌケな幽霊

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。 その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「宋定伯」の話を読みます。 「宋定伯」~マヌケ…

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『聊斎志異』を読む~蜂の妖精「蓮花公主」と「緑衣女」

清・蒲松齢 (1640~1715)の怪異小説集『聊斎志異』には、狐妖・花妖をはじめ、さまざまな異類譚が含まれています。その中で、蜂妖を扱った作品として、「蓮花公主」と「…

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『聊斎志異』を読む~牡丹の精「葛巾」と「香玉」

『聊斎志異』の花妖譚清・蒲松齢(1640~1715)の怪異小説集『聊斎志異』には、異類に関わる話が数多く含まれています。人間の男と異類の女との恋愛婚姻を扱うもので、花…

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中島みゆきの「歌会」を観た中国人ファンのつぶやき

先日、中島みゆきのコンサート「歌会」に行ってきました。 開演前のロビーでは、中国語がちらほら聞こえてきました。 さきほど「微博」を開いたら、同じコンサートに行っ…

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『捜神記』「干将莫邪」~名剣の仇討ち

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。 その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「干将莫邪」の話を読みます。 「干将莫邪」~名…

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中国古典インターネット講義【第18回】怪異小説~「六朝志怪」「唐代伝奇」『聊斎志異』

「小説」とは?中国の古典小説は、「文言小説」と「白話小説」に大別されます。 「文言小説」とは、文語体(いわゆる漢文の文体)で書かれた小説です。 短編で、主に怪異…

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泉聲悠韻
3週間前
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「頑張って」の文化

「頑張って」の文化

 「みなさん、どうか頑張らないでください」

 まだ現役だった或る年、卒業生諸君に向かって、この言葉を贈ったことがある。

 「頑張る」は、頑なに突っ張ることだ、無理をするのは人間本来の生き方ではない云々、と老荘思想の講釈みたいな話をした覚えがある。

 案の定、横にいた熱血漢の同僚の顰蹙を買ってしまった。

 まあ、それはいいとして、恥ずかしながら、この時わたしは大きな勘違いをしていた。

 「

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アシスタントの〇太郎です。代筆してくれることがあります。
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『捜神記』「狄希」~千日酔う酒

『捜神記』「狄希」~千日酔う酒

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「狄希」の話を読みます。

この話は、晋・張華『博物志』にも載っていて、「一酔千日」という四字句にもなって、広く知られている話です。

一種の「蘇生譚」ですが、本当に死んだわけではないので、厳密に言えば、蘇生の部類には入りません。

千日酔える酒を飲んで死んだと勘違いされた酒豪、という

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『世説新語』「阮籍」~狂態に秘めた真意

『世説新語』「阮籍」~狂態に秘めた真意

南朝宋・劉義慶撰『世説新語』は、後漢末から東晋までの名士たちの逸話を集めた文言小説集です。

その中から、魏の阮籍のエピソードを読みます。

阮籍、字は嗣宗。魏に仕えて歩兵校尉となり、世に阮歩兵と呼ばれます。
俗世を避けて「清談」(老荘の哲理を語る高遠な談論)に明け暮れたという「竹林の七賢」の筆頭に数えられる人物です。

阮籍には、数々の狂態を物語るエピソードが残されています。どれも常軌を逸した放

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『世説新語』「劉怜」~李白より始末が悪い呑兵衛

『世説新語』「劉怜」~李白より始末が悪い呑兵衛

南朝宋・劉義慶撰『世説新語』は、後漢末から東晋までの名士たちの逸話を集めた文言小説集です。

その中から、希代の呑兵衛劉伶のエピソードを読みます。

劉伶は、三国時代の魏から西晋にかけての文人です。
世を避けて「清談」(老荘の哲理を語る高遠な談論)に明け暮れたとされる「竹林の七賢」の一人に数えられています。

酒の功徳を称える讃歌『酒徳頌』を著しています。

『世説新語』「任誕」篇に、劉伶の酒にま

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『捜神記』「王道平」~生き返った花嫁

『捜神記』「王道平」~生き返った花嫁

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「王道平」の話を読みます。

志怪小説の中には、死者が生き返る話がとても多く見られます。

蘇生が起きるのは一種の奇跡ですが、古代中国人が考えた奇跡のメカニズムは、「天人感応」でした。

「王道平」の話の末尾に、

とあるように、天が人の「精誠」(純粋な真心、至情)に感じて、その人に代

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『捜神記』「北斗と南斗」~寿命を司る星

『捜神記』「北斗と南斗」~寿命を司る星

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「北斗と南斗」の話を読みます。

「北斗と南斗」~寿命を司る星中国古代の民間信仰では、人間の寿命はあらかじめ定められていて、それが文書に記されているとされていました。

寿命に関する信仰には、2つの系統があります。

1つは、「泰山信仰」に基づくものです。

泰山に冥府(冥土の役所)が

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『旌異記』「孫敬徳」~身代わり観音

『旌異記』「孫敬徳」~身代わり観音

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
今回は、やや時代が下って、隋の侯白が撰した『旌異記』に収められている「孫敬徳」の話を読みます。

元魏は、北方異民族の王朝、拓跋魏のことです。鮮卑族の拓跋氏によって建てられ、後に氏を元と改めたので元魏と言います。当時、北朝の国々では、仏教が広く信奉されていました。

孫敬徳が唱えたとされるのは「高王観世音経」という経文です。中国で成立

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『捜神記』「周式」~死亡予定者名簿

『捜神記』「周式」~死亡予定者名簿

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「周式」の話を読みます。

「周式」~死亡予定者名簿周式が舟に乗せてやった役人は、前回投稿した「黒衣の客」の話に出てきた役人と同様、冥土から派遣された「冥吏」です。

これらの話は、中国古代の泰山信仰に基づいています。

泰山(山東省)に冥府(冥土の役所)があり、そこの長官である泰山府

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『捜神記』「黒衣の客」~幽霊はいないと言われた幽霊

『捜神記』「黒衣の客」~幽霊はいないと言われた幽霊

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「黒衣の客」の話を読みます。

「黒衣の客」~幽霊はいないと言われた幽霊「黒衣の客」は、実は幽霊でした。
冥土の役所から派遣され、寿命の尽きた人を召し取りに来る幽霊です。

この種の幽霊は「冥吏」と呼ばれる冥界の小役人です。
冥吏に連行される瞬間、それが人間の「死」とされていました。

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『捜神記』「宋定伯」~マヌケな幽霊

『捜神記』「宋定伯」~マヌケな幽霊

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「宋定伯」の話を読みます。

「宋定伯」~マヌケな幽霊この「宋定伯」の話は、高校の漢文教材に採録されることもあり、日本でもよく知られています。

原文の「鬼」は「オニ」ではなく「キ」と読みます。「人」(生きている人間)に相対するもの、つまり死んだ人、幽霊のことです。

中国の幽霊は、地

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『聊斎志異』を読む~蜂の妖精「蓮花公主」と「緑衣女」

『聊斎志異』を読む~蜂の妖精「蓮花公主」と「緑衣女」


清・蒲松齢 (1640~1715)の怪異小説集『聊斎志異』には、狐妖・花妖をはじめ、さまざまな異類譚が含まれています。その中で、蜂妖を扱った作品として、「蓮花公主」と「緑衣女」の2篇があります。

蜂について蜂と儒家思想

『詩経』小雅「小宛」に、蜂の一種で「蜾蠃」(ジガバチ)が登場します。

とあるように、蜾蠃は、螟蛉(クワムシ。苗を食う害虫)の幼虫を背負って巣に運び入れ、それを自分の子として

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『聊斎志異』を読む~牡丹の精「葛巾」と「香玉」

『聊斎志異』を読む~牡丹の精「葛巾」と「香玉」


『聊斎志異』の花妖譚清・蒲松齢(1640~1715)の怪異小説集『聊斎志異』には、異類に関わる話が数多く含まれています。人間の男と異類の女との恋愛婚姻を扱うもので、花妖譚もその中に含まれます。

『聊斎志異』の花妖譚には、菊の精を描いた「黄英」、牡丹の精を描いた「葛巾」と「香玉」の計3篇があります。

全巻で500篇に近い作品総数の中での3篇という数は、異類の中で最も多い狐の故事が80余篇を数え

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中島みゆきの「歌会」を観た中国人ファンのつぶやき

中島みゆきの「歌会」を観た中国人ファンのつぶやき

先日、中島みゆきのコンサート「歌会」に行ってきました。

開演前のロビーでは、中国語がちらほら聞こえてきました。

さきほど「微博」を開いたら、同じコンサートに行ったらしい中国人ファンの投稿を見つけました。

半世紀近く、ずっと中国の古典文学を学んできました。
いつからか覚えていませんが、中島みゆきのファンです。

なので、中華圏の人たちが、中島みゆきの歌に感動したり、中島みゆきを「神」と崇めたり

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『捜神記』「干将莫邪」~名剣の仇討ち

『捜神記』「干将莫邪」~名剣の仇討ち

魏晋南北朝時代、「六朝志怪」と呼ばれる怪異小説が盛行しました。
その中から、東晋・干宝撰『捜神記』に収められている「干将莫邪」の話を読みます。

「干将莫邪」~名剣の仇討ち干将莫邪の物語は、「名剣物語」であり、「復讐物語」であり、「義侠物語」でもあります。また、親の仇討ちは「孝」の実践と見なされるので、「孝子物語」という要素も持ち合わせています。

中国の皇帝や王侯は、死後も栄華が続くことを願い、

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中国古典インターネット講義【第18回】怪異小説~「六朝志怪」「唐代伝奇」『聊斎志異』

中国古典インターネット講義【第18回】怪異小説~「六朝志怪」「唐代伝奇」『聊斎志異』


「小説」とは?中国の古典小説は、「文言小説」と「白話小説」に大別されます。

「文言小説」とは、文語体(いわゆる漢文の文体)で書かれた小説です。
短編で、主に怪異を扱うもので、「六朝志怪」「唐代伝奇」『聊斎志異』などがこれに当たります。

「白話小説」とは、口語体(話し言葉)に近い文章で書かれた小説です。
長編で、テーマはさまざまで、『三国志演義』『西遊記』『紅楼夢』などがこれに当たります。

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