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逍遥游

JY
美術家、物理学博士

逍遥游

JYは≪豹≫が好きだと言う。
≪美しさと危険の匂い、官能性と気品という両極の魅力を一身に宿す豹に惹かれる≫と。

実際JYは≪豹≫を描きそのリアリティーに触れる私達にとって作品を観るという行為自体が非常にスリリングな経験となる。

JYは豹をどこから観ているのか?

JYという作家の眼差しを通して≪豹≫を目撃するという事はそのままJYの内的世界への参入となる。
かくして私たち鑑賞者は目の前の作品を通してかつて踏み入れたことのない世界へといざなわれることになる。
今まで知っていたはずの≪豹≫が全く違った様相を呈する。
私は今まで≪豹≫を見ていたのか?

JYの内的世界との遭遇はそのまま私自身との遭遇となる。

JYは言う。
≪野生の目でみれば、何かに気が付く≫と。
野生の目とは何だろう?
≪描くのは人間の本能であり、本能は神の意思である≫と。
神の意思である本能とは何だろう?

JYはこうも言う。
≪ありのままの無限の宇宙の中で心が遊ぶことはアーティストの
夢である≫
≪自然の一部としての自分と大自然の造化が一体となり、こだわりや
障害物のようなものがなく、余裕と楽しみ、精神の自由と幸福を
味わえるのである≫と。

≪豹≫をモチーフにして描いた作品のタイトルが≪逍遥游≫
JYは≪豹≫を描くことで老荘思想の祖である荘子の≪逍遥游≫の世界観を示唆してい
る。

荒野に凛として立つ≪豹≫の背後に大きな月が描かれた作品がある。
JYはこの月を「出口」だと言う。
「出口」とは何だろう?
何処から何処への「出口」なのだろう?

JYが創作を通して示唆する世界は実に明確だ。
それ故、JYの描く作品は私たちを神の意思へといざなう。
神に愛されたアーティストは神の国への水先案内人となるのである。

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