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狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

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連載中。投稿した歴史小説「狩野岑信 元禄二刀流絵巻」をまとめたマガジンです。
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記事一覧

【第40章・笹子峠の矢立杉】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第四十章  笹子峠の矢立杉 「駒木、そこの茶店で一休みしていこう」  狩野吉之助は、笹子…

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【第39章・大月宿のかまいたち】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十九章  大月宿のかまいたち  川越藩江戸家老・穴山重蔵の命を受け、同藩の甲斐潜入部…

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【第38章・甲州街道関野宿】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十八章  甲州街道関野宿  狩野吉之助が、相棒の島田竜之進、用人・間部詮房らと共に甲…

仁獅寺永雪
10日前
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【第37章・はぐれ新陰流】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十七章  はぐれ新陰流  元禄十二年(一六九九年)四月上旬、浜屋敷の庭園を散り桜が覆…

仁獅寺永雪
2週間前

【第36章・武田の隠し金山】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十六章  武田の隠し金山  間部が居住まいを正す。無表情を一段レベルアップさせ、変な…

仁獅寺永雪
2週間前
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【第35章・竜之進遭難】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十五章  竜之進遭難  年が明け元禄十二年(一六九九年)、小正月も終わった睦月半ばの…

仁獅寺永雪
3週間前

【第34章・うごめく者】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十四章  うごめく者  犬神憑きを退治した甲府藩御前様の行列が動き出した。赤穂藩奥方様の行列もそれに続く。その光景を見る二人の男がいた。彼等は通りに面した商店の暖簾の陰に身を隠している。 「くそ、忌々しい。儂の出番を取りおって」と吐き捨てた初老の方は、小太りで茶人風の格好。 「笠間侯、こうなっては仕方ありません。裏口から引き上げましょう。さ、お早く」と言ったのは、背の高い、いかにも物騒な雰囲気をまとった侍。  そして、とっぷりと日の暮れた五つ(ほぼ午後八時)過ぎ。駒

【第33章・犬神退治】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十三章  犬神退治  元禄十一年(一六九八年)も十一月となった。勅額火事から二ヶ月、…

仁獅寺永雪
1か月前
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【第32章・飛び火】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十二章  飛び火  勅額火事から十日後、浜屋敷の御成書院。 「詮房、此度も駄目か。戦…

仁獅寺永雪
1か月前
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【第31章・上野出陣始末】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十一章  上野出陣始末 「美作、帯刀、すぐに出陣だ。目指すは上野寛永寺! 詮房、そな…

仁獅寺永雪
1か月前
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【第30章・勅額火事】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第三十章  勅額火事  御前様・近衛熙子の言う通り、治にいて乱を忘れず、の心構えは大事だ…

仁獅寺永雪
1か月前
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【第29章・隨川岑信の誕生】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第二十九章  隨川岑信の誕生 「これなんてよく描けてると思うけどなぁ。売れますよ、十分」…

仁獅寺永雪
1か月前
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【第28章・御前様の注文】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第二十八章  御前様の注文 「詮房、どうしても駄目か。勿体ないのう。ほれ、これなど、よく…

仁獅寺永雪
1か月前
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【第27章・駒込の妖怪】狩野岑信 元禄二刀流絵巻(歴史小説)

第二十七章  駒込の妖怪  元禄十年(一六九七年)師走二日の夕刻、甲府藩主従は、三河島御狩場から浜屋敷に帰還した。吉之助と竜之進が間部の御用部屋で待機していると、藩主夫妻への報告を済ませた間部が戻ってきた。 「間部様。山中さんの容態は?」 「ええ。右肩に矢を受けて重傷ですが、命に別状はありません」 「それはよかった。あの時、近習頭が、殿の肩に付いた枯葉を払おうと手を伸ばさなければ、大変なことに・・・」 「幸運でした。殿にお怪我でもあれば、我ら揃って、これです」と言うと、