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映画・アニメ・漫画、小説等のコンテンツ論評

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KANOENOの【映画、アニメ、漫画、小説等、物語があるコンテンツ】に関連したよもやま話をまとめたマガジン。
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記事一覧

「哀れなるものたち」は、時代とヒトに敏感でいたいなら今見るべき作品

「哀れなるものたち」は、時代とヒトに敏感でいたいなら今見るべき作品


「哀れなるものたち(原題:Poor Things)」が公開されたので、時間を作って見てきたのだけれど、とても良かったので推します。

というか同じ時代に生きている人で、時代と人に敏感でいたいなら、これは絶対に見たほうがいいと思える作品です。

作品概要作品概要としては、2023年のイギリス・アイルランド・アメリカ合作のシュールSFロマンティック・コメディ。監督はヨルゴス・ランティモス、出演はエマ

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映画オッペンハイマーに見る日本人の存在の軽さと、ノーラン的映画構成の話〜映画の感想

映画オッペンハイマーに見る日本人の存在の軽さと、ノーラン的映画構成の話〜映画の感想

オッペンハイマーを見た。

この映画については見終わったあとで、三つに分けて感想を述べる必要があると思った。

1つ目は、伝記映画/歴史教養映画としての素晴らしさについて
2つ目は、その中での日本人の扱われ方のしんどさ
3つ目は、ノーラン作品の構造や構成について

伝記映画としての素晴らしさまず映画を見て思ったのは伝記映画/歴史教養映画としての、素晴らしさ、丁寧さについてですね。

最低限の歴史勉

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日本人は映画オッペンハイマーの何に苛ついているのか?

日本人は映画オッペンハイマーの何に苛ついているのか?

クリストファー・ノーラン監督のオッペンハイマーという映画について、以前感想を書かせていただいたんですが、その後も、なんだかモヤ付きがおさまらないというか、同映画を素直に称賛できない苛立ちみたいなものがずっとつきまとっていました。

※前回論評↓。

なんでだろー?って思っていたんですけど、ふと答えに思い至ったので、日本人がなぜあのオッペンハイマーという映画について、モヤ付き、苛立っているのかについ

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葬送のフリーレンはフェルンとシュタルクの玄孫を子守したっていい

葬送のフリーレンはフェルンとシュタルクの玄孫を子守したっていい

葬送のフリーレンが良作なのは言うまでもない話ですが、僕は個人的に気になっている事があるのです。

同物語が、その設定によって、たぶん「そうなる」であろうと予想される場面が、ちょっと気になっているんですよね。

フリーレンが目撃するものフリーレンはエルフなので、人間やその他の劇中の種族とはタイムスケールが違うんだけれど、厭世的な生活から世の表舞台に出てきたことで、彼女は自分よりも命の短い人間たちの生

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東京リベンジャーズの東京卍會はヤンキー史にどの程度即していたのか振り返る

東京リベンジャーズの東京卍會はヤンキー史にどの程度即していたのか振り返る

数年前に終了した東京リベンジャーズですが、あの作品は前時代的なヤンキー文化をリバイバルさせたという点において、密かに影響力の強かった作品だったと思っています。

あの作品が出たことで、世間ではそこそこ高齢な層しかみかけなくなっていたヤンキー&暴走族文化が若年層にまで再度カルチャーとして波及していたのは、良し悪しを抜きにすれば興味深い現象でした。

なんとなく気になっていたことで、気になるのが、では

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「君たちはどう生きるか」は聖書と言ったジブリのヤバさと、そこから考えたい大切なこと

「君たちはどう生きるか」は聖書と言ったジブリのヤバさと、そこから考えたい大切なこと

君たちがどう生きるかがアカデミー賞を受賞しました。

とても喜ばしいことですね。

で、受賞に際してプロデューサーの鈴木敏夫さんが「君たちはどう生きるかという作品には、聖書的側面があるから、欧米のほうが受けると思っていた」みたいな事を言っていました。

フツーに聞くと「そういうものか」と聞き逃してしまいますが、これってよく考えると、かなりヤバい事を言っているのです。

今回は、鈴木敏夫Pの発言のヤ

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