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【映画】2023年観た映画を勝手にレビューしてみた。

2023年、たくさんの映画が公開され、それに関連する話題があったと思います!

バーベンハイマーが日本で炎上したり(個人的には日米の文化の違いがあって面白い)、大好きな宮崎駿監督の最後(?)の作品「君たちはどう生きるか」が公開されたり。色々な話題があったように思います。

ということで、自分が観た映画をランク付けしながら感想を綴りたいと思います!

それでは、レッツゴー 【ネタバレ注意です】


1. オッペンハイマー Oppenheimer

オッペンハイマー 映画ポスター

みなさん、観ましたか?オッペンハイマー。

クリストファー・ノーラン監督、「原爆の父」と呼ばれる理論物理学者ロバート・オッペンハイマーを描いた伝記的映画です。言わずもがな、超豪華キャストで、上映時間は3時間越えの超大作でした。

アメリカでは、全く正反対の世界観な「バービー」と同日公開されたことをミーム(Meme)化し、「#バーベンハイマー」で大盛り上がりしました。一方、日本では批判の声も殺到し、「#NoBarbenheimer」の抗議の声も目にしました。

私は両方見ましたが、バービーは正直微妙だと思いました。

オッペンハイマーは、最初に映画館で観た時のインパクトがすごかったのと、物語が複雑かつ英語も難しいところが多く、見逃した場面や内容も多そうでしたので、2回観ました。

結論:私的に2023年で一番最高の映画でした!

自分的に良かったポイント

  • いわゆる戦争や善悪を描いた映画ではなく、あくまでもオッペンハイマーの物語であること。常に彼の目線から描かれる物語であること。

  • キリアン・マーフィーとエミリー・ブラント、ロバート・ダウニー・ジュニアにマット・デイモンの演技力。とにかくキャスト各々の演技力が素晴らしかった。

  • 映像がスリリングでかつリアリズムがあって、3時間の大作であるにも関わらず常に引き込まれた

私は、基本的に善悪を明白にない映画が好きです。

基本的に、物事には何事にも裏表があって、完全なる善悪はないと信じている人なので。

アメリカ定番ヒーローものとか、マーベルとか結構苦手意識があります😅
その中でも特に政治的なトピックで善悪つけようとしてくる映画、かなり苦手です。最近のアメリカ映画ありがち。

だからこそ、あくまでも、核でもなく戦争でもなくオッペンハイマー本人のストーリーを描いたこの作品はかなり心に残りました。

その中でも心に残ったシーンがこちら:

オッペンハイマーのスピーチのシーン

原爆を日本に落とした直後、盛大な拍手に迎えられ、スピーチをするオッペンハイマー

一番良い写真が見つからなかったのですが、とにかくこのオッペンハイマーのスピーチのシーンが凄くて印象的でした。

オッペンハイマーが開発した原爆が日本の広島と長崎に落とされ、日本はついに降伏した後のこのシーン。

アメリカ国旗を手にした観客が拍手しオッペンハイマーを向かい入れ、壇上に立ったオッペンハイマーのスピーチを待つ観客が床を足でドンドンと鳴らし始めます。

その映画館内に鳴り響く低重音で私は心臓がバクバクしてきます。

そして、壇上に立つオッペンハイマー。歓喜に満ち溢れる観客がオッペンハイマーのスピーチを待って、静まります。

少し躊躇うような、無表情のような、誇り高いような、オッペンハイマーが話し出します。その彼のスピーチの最中、場面がほんの数秒、繰り返し途切れていき、映画館が真空のような空間に何度かなるんです。

そして、爆音。原爆が日本に落ちたのだと伝わります。

それでもスピーチを続けます。観客は拍手喝采です。
そして、途切れ途切れに、皮膚が溶け落ちた女の姿と溶けた人間の影がスクリーンに映し出されます。

このシーン、私は本当に涙が出そうになりました。今、日本に原爆が落ちたんだという恐怖と、人間が溶けて消えてしまうほどの原爆の恐ろしさが爆音に重なって、涙が出そうになりました。

そして現実に戻るオッペンハイマー。自分が作り上げた原爆が人類にどんな影響を及ぼしたのか、自分がもはや崩壊と死の神のような力を持ってしまったことを理解するのです。

でも、もう戻れない。

このシーンが悍ましくて、とても印象に残ったシーンでした。

2. 君たちはどう生きるか


君たちはどう生きるか ポスター

さて、オッペンハイマーとは一転しまして。

私はジブリファンかつ宮崎駿監督ファンなので、楽しみにしていた作品でした。ただ、マーケティングが全くされなかった今作品。どんな物語になるのかも全くわからないまま、鑑賞しました。

一言でレビューするとすれば:ハウルや千と千尋ほどのインパクトほどはないけれど、宮崎駿監督の世界観を大切にした、エッセイ・ポエム的な作品でした。

ハウルや千と千尋みたいな、王道アニメや分かりやすい面白さはないんですけど、宮崎駿監督の「自分は言いたいこと言ったから、ここから先は観客が自由に解釈してね」っていう雰囲気を個人的に感じました。そういう楽しみ方ができる映画だと思います。だから、どちらかというとエッセイ・ポエム。

ちなみに英語タイトルは"Boy and the Heron"「少年と青サギ」で、出てくるメインキャラクターそのまんまのタイトルです。”Frozen"が「アナと雪の女王」と和訳された感じに似てますよね。アナと雪の女王は、アナとエルサの姉妹の物語で、君たちはどう生きるかは、主人公の少年眞人と青サギの友情の物語。

なので、題名ほど説教くさくはなく、実際は宮崎駿監督本人のフィクション的自伝・エッセイのような映画に感じられました。

物語序盤、主人公の眞人が病院で入院している母親を火災で亡くしますが、基本ジブリの母親って病弱なことが多い気がします。そんなところが、宮崎駿監督本人の結核を患っていた母親と重なるところがあるのかな、と。

正直、映画始まって、30分ちょいは個人的に長くて少ししんどかったです。石田衣良さんのポッドキャストでもおっしゃってたんですけど、最初はちょっとテンポが遅くて、若干不安になりました。笑。でも面白いです。ジブリ好きならお勧めです。

自分的に良かったポイント

  • 青サギの上品でミステリアスな鳥の姿から小汚いおっさんに変わるインパクト。あと青サギ役の菅田将暉がとっても良かったです。あのちょっとガラガラした特徴的な声が良いですね!

  • セキセイインコ。なんかちょっと気持ち悪いような、可愛いような、人間のような。なんとも言えないキャラクターで、ここにたくさんの解釈の余地があるような気がして、良いですね。

  • ちょっと気が狂った下の世界の創造者の大伯父。おそらく、この人物はまんま宮崎駿本人ですよね。笑。でも、他の雑誌では、宮崎駿監督本人はインコ大王を自分に重ねたともおっしゃったらしく、実際のモデルは誰なのかはあわかりません。

あの綺麗な青サギからこんなオッチャンになるインパクト

今こうして、自分が好きなポイントを書き並べてみましたが、ジブリの魅力はやっぱりキャラクターにあると思います。世界観はもちろんですが、やっぱりキャラクターに個性があって、それぞれ強さと弱さがある。あと、基本的に女性が強いのも魅力です。

特に印象に残ったシーンは、インコが下の世界から元の世界に戻り、大量の糞を落としていくシーンでした。

下の世界から戻ってきた眞人を走って迎えにいく父と、容赦無く糞を吹っかけていくインコたち。

下の世界では、人間のように忙しく働いていましたが、現実の世界に戻った途端、普通のインコに戻るんですよね。そして尋常なほどに勢いよく糞を落としていく様子が衝撃的でしたね。

私は、このシーンを皆さんがどう解釈したのかがとっても気になります!
ちなみに、海外のRedditでは、このシーンのインコをTwitter住民だと言う人がいて、笑いました。どういうことかというと、英語のスラングでshitという下品な言葉があります。直訳で「クソをする」という意味なんですが、嘘を言う、ひどいことを言うという間接な意味もあります。だから、Twitter住民が好き勝手映画を悪評したりひどいことをことを「くそをする」にかけてるんですね。笑。
クレバーな考えだと思います。

余談ですが、石田衣良さんの「大人の放課後ラジオ」というポットキャストが好きで聞いているんですが、石田衣良さんの映画の解説が面白かったです。気になる人は、ぜひフルバージョンでも聞いてほしいです。

3. 終わらない週末 Leave the World Behind


終わらない週末ポスター

12月8日より、ネットフリックスで配信された映画です。

たまたま見つけて、面白そうだなぁと思い、割と軽い気持ちで見始めました。オバマ元大統領夫妻がプロデュースしたという事実が物語に良いリアリティを出していて良かったです。

タイトルから察するかもですが、アポカリプス(世界の終末)がテーマです。(今気づきましたが、日本語のタイトルは週末と終末でかけてるのかもですね〜)

この映画、結構賛否両論あるみたいですが、SFやスリラーが好きな方ならお勧めです。(私はSF・スリラー大好きで、この映画はハマりました)

Airbnbを借りたアマンダ(ジュリア・ロバーツ)とその夫のクレイ(イーサン・ホーク)と
Airbnbのホストのジョージ(マハーシャラ・アリ)とその娘のルース(マイハラ)

演技もCinematographyも若干違和感が残るような、独特で、最後までずっと不穏な雰囲気が続きます。上の写真のような、平面的にこの2つの家族を対象させたシーンがいくつか出てくるんですけど、コントラストを利かせた画面の構図であったり、キャラクターが印象的でした。

お調子者の夫クレイと、神経質な妻アマンダ。
洗練された雰囲気のジョージと、若干生意気な雰囲気で疑り深いルース。

出てくるモチーフ(鹿や船、黒人の家族vs白人の家族)など、シンボリズムが多そうなので、細かく見ても楽しめそうな映画です。時間があればもう一回見たいなぁと思います。

大量のテスラが道に詰まる

あと、サイバーテロの結果、大量のテスラがハッキングによる自動操縦で道を詰まらせるという事件が映画の中で起こります。これって実際可能なのかちょっと気になったんですけど、調べてみるとイーロン・ムスクがテスラはハッキングされうるリスクがあるという発言してるんですよね。怖!

ちなみに、賛否両論の理由は主に結構消化不良なエンディングです。それが想像力を掻き立てるような良さもあるんですが、確かに、もうちょっと知りたかったなぁなんて思ったりします。

自分的に良かったポイント

  • 想像力を掻き立てられるリアルなアポカリプス映画。ゾンビやウイルスではなく、サイバーテロがテーマのこの作品。オバマ元大統領夫妻もプロデュースにかかわってるとのことで、さらに現実味が増します。

  • シンボリズムが多くて、解釈の余地が多いところ。なんで鹿が大量に表れるのか、夫婦なのに真反対な性格のキャラクターたち、フレンズは何を象徴しているのか…。説明不足なところが賛否両論を招いていますが、私はそんなところにミステリーを感じて面白いなぁと思います。

4. ゴジラ マイナス・ワン

ゴジラマイナスワン

ここしばらく邦画は全く観てこなかったのですが、アメリカでのゴジラ-1.0のレビューがめちゃくちゃ良くて、気になって観てきました。ちなみにですが、初めてゴジラの映画を観ました!これを少し年上の日本人の方に言ったらびっくりされました。私の世代で、特に女性だとゴジラって正直なじみがあんまりなかったり。

映画のところどころで、矛盾(ゴジラが海上で垂直に立ってるところとか、浜辺美波ちゃんがゴジラにぶっ飛ばされるんだけど、死んだと思わせて死なないところ)とか、ちょっとオーバーなセリフや演技が結構あるので、私は若干戸惑うポイントは多々ありました。

そんなマイナスポイントはありつつも、ストーリーのテンポが良くて、娯楽作品として観るには最高だと思いました。お友達と行くと、結構盛り上がれる映画だと思います。

あと、VFXが素晴らしいですね。映画館はちょっと小さめだったんですけど、映像が綺麗だし迫力あるしで結構感動しました。日本のSFとかアクションものって、どうしてもアメリカの大予算の映画に比べるとどうしてもしょぼくなってしまう印象が勝手にあったのですが、全くそんなことなかったです。ゴジラがめちゃくちゃリアルだし、カッコいい!銀座の街を破壊して、電車を咥えるシーンも迫力があって、良かった!

ちなみにこの映画も、石田衣良さんが自身のポッドキャストで解説してて、面白かったです。おすすめ!

自分的に良かったポイント

  • 想像以上に格好良いゴジラ。初めて特撮ものの映画を鑑賞しましたが、ゴジラって実はスタイリッシュなんだなと感じました。背中のゴツゴツとした隆起に、重量感がある見た目がカッコいい。あと、フィクションぽさやプラスチックのフィギュア感がないというか、割とリアルなデザインなんですよね。マイナスワンのゴジラは体長がおよそ50mくらいなので、実は小ぶりなサイズ。だけど、それが生き物としての生々しさを出していてよかったです。あと、VFX素晴らしい。デジタルでできたとは思えないかっこよさでした。

5. ザ・スーパーマリオブラザース ザ・ムービー


ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

正直、全く期待しないで観たけど、かなり楽しんだ映画です。

グラフィックも良かったし、ゲームのオリジナルに忠実に、ストーリーも変にひねらずにわかりやすいところすごく良かった!子供から大人まで楽しめます。あと、音楽はめちゃめちゃ良かったですね〜。特に、最初に流れるラップの曲と、クッパのピーチ姫を想って歌う曲が良い!

あと、ピーチ姫はおそらく今の時代に合わせて強いリーダーの女性ではあるものの、その押し付け感がないのがすごく良いと思いました。

ちなみに私は子供の頃DSでNewスーパーマリオブラザーズを、弟と取り合いながら、解説書も読みながら遊んだ記憶があって、その記憶が蘇る感じがなんか良かったですね。マリカーもだし、スーパープリンセスピーチとかも遊んだなぁ。この映画を観た数ヶ月後は、ユニバーサルスタジオへ行きました。笑。ニンテンドーワールドへ行きたくて。完全に感化されました!

この最近の任天堂のゲームハードウェア・ソフトウェアからIPビジネスへの移行の様子もさすがだなぁと思ったりしてます。

自分的に良かったポイント

  • シンプルに楽しい王道ストーリと小ネタの多さ。友達や家族と、「あのシーンってあのゲームだよね」なんて、顔を見合わせたり、こそこそおしゃべりしながら観る映画は最高に楽しいです。あと、音楽もよいです。ミュージカルではないですが、音楽に乗りながら鑑賞できる映画って楽しいですよね。

おまけ 舞台『千と千尋の神隠し』


千と千尋の神隠し

アメリカでは、毎年ジブリの映画を月替わりで2〜3日ほど上映してるのですが、2023年の5月はたまたま千と千尋の神隠しの舞台を上映していました。そして、それが本当に良かったのです…!

私は、上白石萌音ちゃん主演の公演バージョンを見ました。ほんっとうに千尋そのものでしたね。実写版では、あの映画の魔法にかかるような特別な世界観が失われてしまうのではという不安は一気に吹っ飛びました。

ぜひ実際に劇場でも生の舞台を鑑賞してみたいです。

さいごに

長くなりましたが、2023年の気に入った映画の振り返りは以上になります~。

みなさんのおすすめ映画教えていただけるとうれしいです!


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