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Buen Camino 2022 あなたも巡礼に出かけてみませんか? ㊱

 (36)エピソード
①嫌な思い出
 昨日、宿に戻ると、一つの「事件」が待っていた。
私がベッドに置いていた北アルプスで買ったTシャツが紛失したのだ。大したものではないが、ないとそれなりに困る。カバンなども全部調べたが、Tシャツは見つからなかった。さて、こういう場合には、二つの方法がある。
海外旅行にはこういうことはつきものなので、仕方がないと諦めるという対処の仕方と、ややこしいが、敢えてそれに向かい合うことで、そこから新たな経験を得ることができるという方法がある。そこで、後者でやって見た。

  部屋は掃除が入り、シーツ交換がされていたので、その際に洗濯物に紛れ込んだのではないかと考えた。そこで、その旨を受付の職員に話し、探してもらった。しかし、翌日になっても見つからなかった。外出先から宿に戻ると、私の部屋の掃除を担当した女性がいて、部屋を見たいと言うので、彼女と一緒に入ったら、すぐに彼女は枕の下に私のシャツを見つけた。そこまで確認しなかった私も迂闊であったが、彼女には思い当たる節があったのであろう。

 これで問題は解決したのだが、受付にいた若い女性は「お前は、日本人か」「スシを食べさせろ」と要求した。勿論、そんな要求は無視したが、この旅で唯一、不愉快な思い出となった。これも異文化体験であるが、さて、皆さんなら、どちらの方法を選択したであろうか。

②フラメンコ
 フラメンコを見たいと思い、ネットで検索したら、何と宿から5分ほどのところで、タラントスTARANTOSというグループが興行していた。少し早めに行って列に並んだ。時間は1時間弱で、料金も安く、旅行者にはちょうど良い長さであった。楽器はギター一本で、他に手拍子でリズムをとる男性テノールが節をつけ、そして女性が踊る。これだけの構成である。踊り手は強い音のタップを踏んで音を鳴らす。タップダンスはここに起源があるのではないだろうか。
 差別を受け、安住する場所を持たずに流浪の生活を送ったジプシー(ロマ)の物悲しく怒りを秘めた音楽と踊りで、心弾むというのとは違う。日本に何か共通するものがあるかと考えながら見たが、思い当らなかった。(18,911歩+α)

③カヤックの一幕(9/21)
 バルセロナでの最後は、カヤックで地中海を楽しんだ。9時過ぎに宿のすぐ近くに集合し、バスに2時間ぐらい揺られて海に到着した。簡単な食事の後、海岸に移動して、2人1組になり、短い講習の後、海に漕ぎ出した。結構波立っていて、しぶきが顔にかかる。岩がある別の海岸でしばらく過ごし、再び同じルートを戻った。

ソロ(1人艇)を頼んだがないとのことであった。皆さん、経験者のようで、カップルが多かった。自分が一番の高齢だっただろう。同じ組になった相方の女性には会話の相手もできず、申し訳なかった。全身を海に浸して泳ぐのは久しぶりで、地中海は塩辛かった。しかし、風があって寒いので、泳いだ後は身体を乾かすのに努めた。
 問題はここからであった。私はずっと気になっていたのだが、どうやって着替えるのだろうか?
 来る時は予め水着を着ているので、上着を脱ぐだけで良かったが、さすがに濡れた水着は着替えない訳にはいかない。しかし、海岸には更衣ができそうな場所は見当たらない。近くにホテルがあるので、そこに移動してシャワーと着替えをするのかと思って、案内を待っていたが、その動きはなかった。他の人たちはどうするのだろうか?

カヤック風景

 何てことはない。皆さん、目の前にあるトイレで着替え始めたのだ。二人連れはバスタオルを上手に使って着替えていた。大らかな風景だ。こういうものかと諦めて、私も明かりがない真っ暗なトイレで着替えた。
 もう一つはシャワーの問題である。これは時間が経過すると理解ができた。つまり、湿度が低く乾燥しているので、潮解現象が起こらないのだ。時間が経っても、日本のように肌がベトベトしない。これは驚きであった。日本の「常識」が全く役に立たないのだ。シャワーを浴びてすっきりしたいとは思うが、我慢できないほどではなかった。
 ただ、カヤックの体験としては物足りなかった。言葉がわからず孤立していたということもあるが、上記のことに加えて、2019年にカナダでユーコン川を300km以上も下っており、どうしても、それと比較するためだろう。

 宿に戻ってシャワーを浴び、それから夕食と土産物を買いに出かけた。何を買うかは既に決めていた。オリーブオイルである。こちらでは家庭用の大きなものが店には置いてあり、持って帰ることができる小さなサイズを探すのに苦労したが、市場で見つけることができた。そして、スペイン最後の夕食もそこで済ませた。海鮮料理があったので見ていたら、呼び込みが日本語のメニューがあるという。中国語が出てくるのでは、と思っていたら、本当に日本語があった。ムール貝など数種類の貝とイカ、エビなどを網で焼いたものと、海鮮サラダであった。これまででは一番豪華な夕食となったが、美味しかった。

バルセロナの市場
日本語のメニュー
海鮮の焼き物
果物の陳列風景

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