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ペンシルヴァニア大学「ポジティブ心理学」コース@Courseraで学んだことメモ

昨年、イェール大学「心理学入門」を受講した。

今年1〜2月に、今度はペンシルヴァニア大学の「ポジティブ心理学Specialization」として開講されているコースを受講した。2科目、それぞれ4週間ずつ。

Positive Psychology: Martin E. P. Seligman’s Visionary Science
Positive Psychology: Applications and Interventions

このnoteでは、ポジティブ心理学や上記Courseraコースに興味がある人向けに、講義内容をさらっと紹介します。

自分的学び (main takeaways - as of Mar 2021)

・ポジティブ心理学は、人生のポジティブな側面を伸ばしていく方法を科学的に研究する学問。
・ポジティブ心理学介入は、人生のポジティブな側面に意味付けをして深めていくプロセス。

講義メモから抜粋

ポジティブ心理学はMartin E. P. Seligman博士らが1990年代頃から提唱し発展させた領域。
・伝統的心理学は、ネガティブな面を治療すること・矯正することに焦点を当てていた。ポジティブ心理学は人生のポジティブな面を研究し、どうやってWell-beingを実現して維持していくかに焦点を当てる。幸せな状態やウェルビーイングを実現し維持していくことを、flourishingと表現している。
・ウェルビーイング≒満ち足りた状態。PERMAモデルで定義 (Positive emotions, Engagement, Relationship, Meaning, Achievement)
・ウェルビーイング≒満ち足りた状態を実現し持続していくための手法を「ポジティブ心理学介入」(Positive intervention)と呼ぶ。
・講義では、ポジティブ介入の実例として、大規模に行われた教育プロジェクトや、各種アセスメントツールやフレームワークが紹介された。実際にツールを使用して、その内容を活用したワークや相互評価式課題もあり。
・ポジティブ心理学の学際応用。例:伝統的ジャーナリズム:ネガティブな感情、トラウマ、犠牲者に焦点を当てる。ポジティブジャーナリズム:楽観性、レジリエンス、グリット(やり抜く力)に焦点を当てる。問題を糾弾するだけではなく、未来の問題解決に向けて方向性や指針、どうやってこの世界をよくしていくかを問う。

ポジティブ心理学介入の実例は、この辺りもよくまとまっている。

講義で紹介された教育プログラム例
オーストラリア・アデレード州全域で行われたresillence training
米軍で行われたComprehensive Family & Fitness (CSF2)
講義で紹介されたアセスメントツール
・VIAストレングス・テスト (自分や周囲の強みを知り、それを生かす)
・Hope scale
・他にもたくさん!ペンシルバニア大ウェブサイトで無料公開されている。
講義で紹介されたフレームワーク、セオリー
・3 blessing exercise (毎晩、3つその日のよかったことを書き出すことで幸福度向上)
Emotional Intelligence (感情を適切に使用する。感情を知覚する、感情を使って思考を深める、理解を深める、管理する)
・Savoring (ポジティブな感情を観察し味わう。世界を愛でる、過去をポジティブに反芻する)
・ライフ・ゴールを設定する意義
Hope theory (「希望」とは、明確な目標、それに向かっていくための精神的なやる気、それに向かうための方策、の3つで決まる)
・WOOP(目標(wish)に到達することで得られるもの(outcome)、阻害要因になるもの(obstacle)を想定して、対策(plan)をする)
・フロー(チクセントミハイのフロー理論、「ゾーン」「無我の境地」ともいう)

受講を通して考えたこと

スポーツ科学の領域で「メンタルタフネス 」という分野がある。いかにしてベストな状態を実現・持続させ、パフォーマンスを高めていくかを研究している領域だ。メンタルタフネス関連の書籍を読み返していると、困難な状況に耐え抜くためのレジリエンス、目標に到達するまでの障害を克服するためのセオリー探求など、ポジティブ心理学と重なる部分が大きいことに気がつく。

今回受講した講義でも、ポジティブ心理学が他分野に及ぼした影響として、ジャーナリズムや社会学研究の紹介があった。ざっくり2000年前後に流行しており時代的にも重複しているので、メンタルタフネスもそのような分野横断のひとつといえるのかもしれない。 

受講したコースは、「ポジティブ心理学」専門科目5つあるうちのはじめ2つ。毎朝30分くらい「ポジティブ心理学」講義を受講して、課題の書き物をあれこれやってると、なんとなく前向きな気分になってよいので、これからも細々と続けるつもり。

Resources/参考文献メモ

自分が気になるものを順不同に。コースウェブサイトにもまとまっている。

・Martin Seligman "Authentic Happiness"
・Barbara Fredrickson "Positivity"
・Todd Kashdan and Robert Biswas-Diener "The Upside of Your Dark Side"
・Chris Peterson and Marty Seligman "Character Strengths and Virtues"
・Angela Duckworth "Grit: The Power and Passion of Perseverance"
・Mihaly Csikszentmihalyi "Flow"
・Susan David "Emotional Agility"
・Sonja Lyubomirsky "The How of Happiness"
・C. R. Snyder "The Psychology of Hope: You can get there from here"Gabriele Oettingen "Rethinking Positive Thinking: Inside the new science of motivation"

The Eudaimonic Turn: Well-Being in Literary Studies (textbook)
On Human Flourishing: A Poetry Anthology (edited book)
・Pawelski, J. O. (2016). Defining the “positive” in positive psychology. Part I. A descriptive analysis. Journal of Positive Psychology, 11. doi:10.1080/17439760.2015.1137627James O. Pawelski (2016) Defining the ‘positive’ in positive psychology: Part II. A normative analysis. Journal of Positive Psychology, 11. Pages 357-365 http://dx.doi.org/10.1080/17439760.2015.1137628
・Susan Nolen-Hoeksema "Women Who Think Too Much: How to Break Free of Overthinking and Reclaim Your Life"
・Suzann Pileggi Pawelski and James O Pawelski Happy Together: Using the Science of Positive Psychology to Build Love That Lasts


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