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マクチャンドラマへの招待状

韓国ドラマの山脈のひとつに〈マクチャンドラマ〉というのがあります。
簡単に言えば「あり得ない展開」が連続するドラマです。たいていは、何の力もない市井の女性が主人公で、とんでもない出来事に巻き込まれ、その復讐を成し遂げるまでの物語です。

だいたいマクチャンドラマというのは、いかにもセットという室内場面にロケ撮影みたいな感じで、パッと見はホームドラマのような画面です。しかも最初の頃は普通のホームドラマっぽい場面もあり、「ちょっと変かも」と思いつつも、それほど過激な場面はありません。しかしそれは、その後に起こることの伏線、人物設定紹介に過ぎません。だいたいの基本設定が説明し終わると、ヒロインの「復讐してやる!」の号令とともに、復讐する側・される側の大攻防戦がスタートします。

…が、マクチャンドラマには《定番》とも言える設定や展開があります。
詳しくは、今後の各作品ごとの感想で述べていきますので、ここではとりあえずキーワードを列挙しておきましょう。

出世の秘密/記憶喪失/欲のためなら手段を選ばない敵役(女性)/長年行方不明の血縁者/医学考証的に怪しい難病/極悪人の会長/誰かが必ず入院する/入院患者を拉致/監視カメラはたいてい故障中/死者が生き返る/交差点が出てきたら事故が起こると思え/偶然の鉢合わせ/盗み聞き/馬鹿っぽい妹/役に立たない見張り/DNA鑑定のすり替え/長すぎる独り言/政治家・検察は買収されてるし、警察は無能/等々…

僕はマクチャンドラマを説明するときに、
「殺人や謀略が渦巻く渡鬼」
と表現しています。
藤岡琢也の父親が「すぐに始末しろ」とか殺人命令を出したら面白いですよね?(笑)
さらに言えば、かつての大映ドラマを思い出す人もいるのではないでしょうか。
そう、山口百恵の〈赤いシリーズ〉や『少女に何が起こったか』『スチュワーデス物語』のような作品群です。かつてのヨン様ブームの頃から「韓国のドラマ制作者は大映ドラマを見てるのでは?」という指摘がありましたが、直接の影響の有無はともかく、マクチャンドラマが大映ドラマの正統な後継作品であるとは言えると思います。

そんなマクチャンというジャンルを最初に教えてくれたのが、かの問題作『ペントハウス』です。
特に前情報もなく、いきなりCSで観たときは度肝を抜かれました(笑)
いきなり超絶バブリーな100階建てのスーパータワーマンションの上の階から女子高生が落ちてきますからね。単なる上流階級ドラマかと思ったら、いきなり殺人事件(笑) Blu-rayの予告動画に「容疑者だらけの殺人事件」というテロップが出るんですが、簡単に言えばそういう物語です。
マクチャンはネタバレしすぎると面白さが半減しますから詳しくは言えませんが、それはもうメチャクチャな展開の連続です(笑) 最近、第1シーズンがNetflixに入ったので、ようやく気軽に観られるようになりました。

『ペントハウス』を観た後は、ネットで「マクチャンドラマ お勧め」を検索して、今でも次々と観まくっています。
『二番目の夫』『復讐の花束をあなたに』『左利きの妻』『台風の新婦』とか。どれも100話以上あるかなりなボリュームなんですが、中毒性が高く、毎晩、寝落ちしそうな限界まで観たりしてます。

各作品の感想はいずれまた書くとして、今回はとりあえず〈マクチャンドラマ〉の基本中の基本についてお話ししました。

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