歓怒(かんど)

神戸からの風、どこまで吹いていくのだろう。 歓怒の文字は「歓喜」「怒り」「喜怒哀楽」を…

歓怒(かんど)

神戸からの風、どこまで吹いていくのだろう。 歓怒の文字は「歓喜」「怒り」「喜怒哀楽」を示し、「かんど」は漢字では「神戸」とも書ける。「感動」とも書ける。よろしくお願いします。

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記事一覧

江戸の川柳九篇⑤ 勘当をとうとう母はしそこない 柄井川柳の誹風柳多留

 親子の関係も、川柳ではよく詠まれる。一人では生きていけない人間にとって、親子が人間関係の基本となる。  江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「…

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江戸の町に千手観音登場、奇想天外な絵本作品~大悲の千禄本

 「大悲千禄本」芝全交作、北尾政演画(1785刊)  千手観音は、千の手を持って人々を救うといわれる。その尊い仏が、不景気のために手を貸し出すという奇想天外、荒唐無…

江戸の川柳九篇④ 親のすね今を盛りとかじるなり 柄井川柳の誹風柳多留

 親子の関係も川柳ではよく詠まれる。夫婦は離婚できても、親子の縁は切るに切れない。  江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹…

学校教育のめざすもの

 学校は行かなければならない。そう思っている子どもは多い。行かなければならないと思うからこそ、不登校になったら悩んでしまう。  では、学校とはなんだろう。  江…

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江戸の川柳九篇③ あいつらは長生きをして食べまする 柄井川柳の誹風柳多留

 嫁と姑の関係は、大家族の昔は定番だった。だから、そんな川柳も創られた。  江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5回の…

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なんじゃもんじゃ

 なんじゃもんじゃってなんじゃもんじゃ。  noteでなんじゃもんじゃの記事を立て続けに見て、テレビのローカルニュースにもなんじゃもんじゃが出ていた。  なんじゃもん…

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江戸の川柳九篇② 放れ馬大手を広げては逃げる 柄井川柳の誹風柳多留

 馬や牛が日常にいた江戸の町の風景。人と大きな動物が一緒に暮らしていた。  江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5回の…

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鉄人28号を見て~横山光輝とその作品

 神戸の新長田には、高さ18mの鉄人28号のモニュメントがある。  そこにはこう書かれている。  横山光輝(1934~2004)は、神戸市立太田中学の出身。  太田中学は阪神…

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江戸の川柳九篇① 女客亭主愛想に二人抱き 柄井川柳の誹風柳多留

 夫婦を詠んだ川柳は、江戸時代にも多くあった。江戸時代の川柳を古川柳という。  江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5…

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桐一葉、その前に紫の花

桐一葉日当たりながら落ちにけり  高浜虚子  秋の陽をあびながら大きな桐の葉が風に乗り落ちてくるなあ。  季語は「桐一葉」で、季節は秋。  「けり」という切れ字を…

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ネコとニワトリとオオカミとヒツジと

 イソップの昔話にこんな話がある。   猫と雄鶏  ネコがニワトリをつかまえた。このまま食べるのではなく、何か理由をつけて食べてやろうと思ってこう言った。 「おま…

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有馬温泉炭酸泉、シュワ~とできる

 日本最古の湯の一つといわれる有馬温泉は神戸市にある。  有馬温泉は、神話の時代から知られており、「摂津国風土記」には、有馬温泉は「塩の湯」と書かれている。塩分…

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ロマンスグレーの男と恋するライオン

 ロマンスグレー(romance gray)は和製英語で、白髪交じりの頭をいう。若白髪で悩んでいた、ソニー創業者の盛田昭夫(1921~1999)がアメリカにいるとき、「それはロマンチ…

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白いレンゲが咲いていた

 昔はレンゲ畑がたくさんあった。  田んぼ一面が赤く染まっており、寝っころがることもできた。  レンゲは田んぼの肥料として植えられていたのだが、化学肥料が増え、レ…

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江戸生艶気樺焼③ 江戸後期文壇の代表作完結

 黄表紙の代表作といわれる山東京伝(1761~1816)作画「江戸生艶気樺焼」(1785刊)上中下3巻の下巻、最終回。  艶二郎は、浮気な男は親から勘当されるものだと思って、…

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野原のイチゴ観察日記

 家のそばの草の中に一株のいちごが生えていた。畑などまったくない草の中に生えていた。  田舎者の私は、野菜の葉を見たら、だいたい名前がわかる。ゴボウの葉や、里芋…

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江戸の川柳九篇⑤ 勘当をとうとう母はしそこない 柄井川柳の誹風柳多留

江戸の川柳九篇⑤ 勘当をとうとう母はしそこない 柄井川柳の誹風柳多留

 親子の関係も、川柳ではよく詠まれる。一人では生きていけない人間にとって、親子が人間関係の基本となる。
 江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5回の最終回。
 読みやすい表記にし、次に、記載番号と原本の表記、そして七七の前句をつける。自己流の意訳と、七七のコメントをつけているものもある。

勘当をとふとふ母はしそこない
607 勘当をとふとふ母

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江戸の町に千手観音登場、奇想天外な絵本作品~大悲の千禄本

江戸の町に千手観音登場、奇想天外な絵本作品~大悲の千禄本

 「大悲千禄本」芝全交作、北尾政演画(1785刊)
 千手観音は、千の手を持って人々を救うといわれる。その尊い仏が、不景気のために手を貸し出すという奇想天外、荒唐無稽な物語の現代語訳。
 円安不景気な現代の話ではなく、江戸時代の、絵と文が一体となった大人の絵本である黄表紙の作品。作者は、芝全交(1750~1793)。当時の代表的な黄表紙作家である。
 挿絵は売り出し中の浮世絵師、北尾政演。後の大作

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江戸の川柳九篇④ 親のすね今を盛りとかじるなり 柄井川柳の誹風柳多留

江戸の川柳九篇④ 親のすね今を盛りとかじるなり 柄井川柳の誹風柳多留

 親子の関係も川柳ではよく詠まれる。夫婦は離婚できても、親子の縁は切るに切れない。
 江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5回の④。
 読みやすい表記にし、次に、記載番号と原本の表記、そして七七の前句をつける。自己流の意訳と、七七のコメントをつけているものもある。

親のすね今を盛りとかじるなり
549 おやのすね今をさかりとかぢる也  前句不

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学校教育のめざすもの

学校教育のめざすもの

 学校は行かなければならない。そう思っている子どもは多い。行かなければならないと思うからこそ、不登校になったら悩んでしまう。
 では、学校とはなんだろう。

 江戸時代の学校はどうだったか。江戸幕府は、昌平坂学問所をつくり、各藩は藩校をつくった。これらは武士のための学校といえる。今でいう高校、大学のようなものだろう。
 町人は、寺子屋で学んだ。こちらは学校というより、小規模塾のようなものだろう。

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江戸の川柳九篇③ あいつらは長生きをして食べまする 柄井川柳の誹風柳多留

江戸の川柳九篇③ あいつらは長生きをして食べまする 柄井川柳の誹風柳多留

 嫁と姑の関係は、大家族の昔は定番だった。だから、そんな川柳も創られた。
 江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5回の③。
 読みやすい表記にし、次に、記載番号と原本の表記、そして七七の前句をつける。自己流の意訳と、七七のコメントをつけているものもある。

あいつらは長生きをして食べまする
507 あいつらは長生きをしてたべまする  わけのよい

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なんじゃもんじゃ

なんじゃもんじゃ

 なんじゃもんじゃってなんじゃもんじゃ。
 noteでなんじゃもんじゃの記事を立て続けに見て、テレビのローカルニュースにもなんじゃもんじゃが出ていた。
 なんじゃもんじゃは植物の木の名前で、「この木はなんじゃ?」と尋ねたことからついた名らしい。「この木はなんじゃ」「なんちゅうもん(もの)じゃ」と尋ねたのだろう。
 本当の名は、モクセイ科の落葉高木「ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ)」。

 あっ、この花、

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江戸の川柳九篇② 放れ馬大手を広げては逃げる 柄井川柳の誹風柳多留

江戸の川柳九篇② 放れ馬大手を広げては逃げる 柄井川柳の誹風柳多留

 馬や牛が日常にいた江戸の町の風景。人と大きな動物が一緒に暮らしていた。
 江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5回の②。
 読みやすい表記にし、次に、記載番号と原本の表記、そして七七の前句をつける。自己流の意訳と、七七のコメントをつけているものもある。

放れ馬大手を広げては逃げる
427 はなれ馬大手をひろげては逃る  本の事なり本の事なり

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鉄人28号を見て~横山光輝とその作品

鉄人28号を見て~横山光輝とその作品

 神戸の新長田には、高さ18mの鉄人28号のモニュメントがある。
 そこにはこう書かれている。

 横山光輝(1934~2004)は、神戸市立太田中学の出身。
 太田中学は阪神淡路大震災の時に大きな被害をうけ、生徒の学生服も多くなくなったので、確か寄付されたジーンズをはいて卒業式をしたのだっけ。そんな中学の卒業生である横山の鉄人が、震災復興のシンボルとなっている。

 「鉄人28号」は、1956年

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江戸の川柳九篇① 女客亭主愛想に二人抱き 柄井川柳の誹風柳多留

江戸の川柳九篇① 女客亭主愛想に二人抱き 柄井川柳の誹風柳多留

 夫婦を詠んだ川柳は、江戸時代にも多くあった。江戸時代の川柳を古川柳という。
 江戸時代に柄井川柳(1718~1790)が選んだ川柳を集めた「誹風柳多留九篇」の紹介、全5回の①。
 題材(七七の前句)にあわせて五七五の川柳を創り、それを一般人が応募したものが古川柳だった。
 読みやすい表記にし、次に、記載番号と原本の表記、そして七七の前句をつける。自己流の意訳と、七七のコメントをつけているものもあ

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桐一葉、その前に紫の花

桐一葉、その前に紫の花

桐一葉日当たりながら落ちにけり  高浜虚子

 秋の陽をあびながら大きな桐の葉が風に乗り落ちてくるなあ。
 季語は「桐一葉」で、季節は秋。
 「けり」という切れ字を使って感動を表す。

 桐の木は、昔は家によく植えてあった。女の子が生まれると、桐の木を植え、結婚の嫁入り道具に桐の箪笥を作って持って行かせると、うそかほんとか言われることもあった。それぐらいどこの家にも桐の木があった。
 花札で、桐の

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ネコとニワトリとオオカミとヒツジと

ネコとニワトリとオオカミとヒツジと

 イソップの昔話にこんな話がある。

  猫と雄鶏
 ネコがニワトリをつかまえた。このまま食べるのではなく、何か理由をつけて食べてやろうと思ってこう言った。
「おまえはまだ暗いうちからコケコッコーと騒いで眠りを妨げるから、人間にとって迷惑だ」
 ニワトリが答えた。
「人間が仕事に遅れず行くために起こしてあげているんです。人間の役に立っているのですよ」
「おまえは小屋の中で、姉や妹、それに母親にまで

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有馬温泉炭酸泉、シュワ~とできる

有馬温泉炭酸泉、シュワ~とできる

 日本最古の湯の一つといわれる有馬温泉は神戸市にある。

 有馬温泉は、神話の時代から知られており、「摂津国風土記」には、有馬温泉は「塩の湯」と書かれている。塩分を含んだ湯として知られていた。
 近世になると、豊臣秀吉が愛したことで知られている。秀吉は、山奥の有馬に9回も訪問しているそうだ。

 有馬温泉の名物として、炭酸せんべいがある。炭酸せんべいは、いろいろな店で作られている。ほとんどが丸いカ

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ロマンスグレーの男と恋するライオン

ロマンスグレーの男と恋するライオン

 ロマンスグレー(romance gray)は和製英語で、白髪交じりの頭をいう。若白髪で悩んでいた、ソニー創業者の盛田昭夫(1921~1999)がアメリカにいるとき、「それはロマンチックグレー(romantic gray)といっておしゃれなんだよ」と言われ、うれしくなって日本ではロマンスグレーという言葉でそのことを話し、それを聞いて「ロマンスグレー」という小説が書かれたり、映画の宣伝文句に使われた

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白いレンゲが咲いていた

白いレンゲが咲いていた

 昔はレンゲ畑がたくさんあった。
 田んぼ一面が赤く染まっており、寝っころがることもできた。
 レンゲは田んぼの肥料として植えられていたのだが、化学肥料が増え、レンゲ畑も減ってきた。

 レンゲ畑の中に、1株か2株、白いレンゲが咲いている。
 突然変異で白くなるのだろうが、どの畑でもその割合で咲いていた。
 白い花を探すのが楽しみだったなあ。
 でも今は、レンゲ畑そのものがない。

 あっ、レンゲ

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江戸生艶気樺焼③ 江戸後期文壇の代表作完結

江戸生艶気樺焼③ 江戸後期文壇の代表作完結

 黄表紙の代表作といわれる山東京伝(1761~1816)作画「江戸生艶気樺焼」(1785刊)上中下3巻の下巻、最終回。
 艶二郎は、浮気な男は親から勘当されるものだと思って、勘当を望む。



下巻
十七

 艶二郎は、望み通り勘当を受けたけれども、母から必要な金はいくらでも送ってくるので困ることはないけれど、なんぞ浮気な商売をしてみたく、色男のする商売は、夏の扇用の紙を売る、地紙売りだろうと、

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野原のイチゴ観察日記

野原のイチゴ観察日記

 家のそばの草の中に一株のいちごが生えていた。畑などまったくない草の中に生えていた。
 田舎者の私は、野菜の葉を見たら、だいたい名前がわかる。ゴボウの葉や、里芋の葉、ジャガイモの葉など、わからない人が多いのを逆に不思議に思う。
 で、いちごの苗を見つけた。どうやってそこに生えていたのかはわからない。誰かが苗を植えたのかも知れないし、いちごの種から芽が出たのかも知れない。

 私は昔、いちごの種を植

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