最終戦に静かに燃える ジュビロ磐田 鈴木海音
2023年8月12日。
ジュビロ磐田は、今季を占うであろう大一番に臨みました。
相手は、首位 FC町田ゼルビア。
アウェイゲームでしたが、町田GIONスタジアムには大勢のジュビロサポーターが集結し、スタンドをサックスブルーに染め上げました。
2位の磐田は町田に勝ち点6差をつけられており、絶対に負けられない戦いでした。
両軍スコアレスが続きましたが、前半も終盤に差し掛かった42分。
磐田ボックス内で胸でボールを受けた藤尾翔太選手は、鈴木海音とリカルドグラッサの間を強引に突破。
後のインタビューで藤尾翔太選手は、
と言わしめたこのプレー。
対応した鈴木海音は藤尾翔太選手の身体を抱え込むような形で倒してしまいました。
この日現地のメインスタンドで観戦していた私も思わず声が。
案の定レフェリーは笛を吹き、鈴木海音にイエローカードを提示。
町田に痛恨のPKを与えてしまいました。
更に54分には、今度はリカルドグラッサが、ドリブルでボックス内に入った藤尾翔太選手を倒したとしてこの試合2本目のPKを献上。
磐田は大事な首位決戦を2本のPKで失点し、0-2で敗れるというなんとも悔しい結果に終わりました。
試合終了後のインタビューでそう答えた鈴木海音。終盤戦に向けてリベンジを誓っていたに違いありません。
しかし、町田戦後、鈴木海音は伊藤槙人にスタメンを奪われ、ホーム最終戦となった水戸ホーリーホック戦までリーグ戦に出場することはありませんでした。
鈴木海音が町田戦以降にリーグ戦の出場機会を失った理由は判りません。
しかし、町田戦直後のアウェイ甲府戦からスタメンの座を奪われたことから、その結果が少なからず影響を与えた可能性があります。
町田戦後、鈴木海音はU-22日本代表に選出され、二度チームから離れました。
【9月3日~9月13日:バーレーン遠征】
【10月8日~10月19日:米国遠征】
どちらの遠征でも得点を決めるなど大きな活躍を見せました。
磐田が昇格争いを繰り広げる中、鈴木海音は来季のパリ五輪代表を見据え、世界と戦い、結果を出してきました。
しかし、遠征を終え、磐田に戻ってもリーグ戦メンバーに入ることはありませんでした。やはり葛藤があったようで、静岡新聞運動部の取材によれば、
U-22代表と昇格争いの磐田を行き来しつつ、両方でポジションを勝ちとることの難しさを感じていたようです。
2023年10月29日。
一般公開で行われたヤマハスタジアムでの藤枝NYFCとの練習試合。そこにはキャプテンマークを巻いてピッチを駆ける鈴木海音の姿がありました。
この時点で残りのリーグ戦は、ホーム水戸戦とアウェイ栃木戦の2試合を残すのみ。
状態は決して悪くないはず。
後はチャンスを掴み取ることができるか?
2023年11月4日。
ホーム最終戦の水戸戦は、5-0で磐田が快勝。
一方で、ライバルの伊藤槙人が累積警告のため最終節アウェイ栃木戦は出場停止となりました。
鈴木海音にとっては、思わぬ形で回ってきた出場のチャンス。
しかも相手は昨年育成型期限付き移籍で多くの試合に出場して経験を積ませてくれた古巣栃木SC。
鈴木海音にとって運命的はシチュエーションです。
更に、栃木SCの時崎悠監督が今季をもって退任することが発表されました。
私が言うのも変な話かもしれませんが、時崎監督には本当に感謝しているんです。鈴木海音が成長したのは、2022年に栃木の主力として多くの試合に出場させてくれたことが大きいと思います。
下表は2022年栃木SCの出場時間TOP5です。川田修平選手はGKなので、鈴木海音はフィールドプレーヤーとしてチームで2位の出場時間。
いかに栃木SCで活躍してきたかが判ります。
時崎監督は、磐田戦は栃木でのラストゲーム。
最終戦は、ジュビロ磐田、栃木SC両チームにとって、それぞれの想いが交錯する試合になります。
鈴木海音は強く語ります。
J2に降格し、2回の選手補強を禁じられたジュビロ磐田。
この史上最大の危機にレンタルバックして帰還した鈴木海音。
本当に感謝です。
開幕スタメンを逃し、終盤戦も出場期間を逃した2023年は不本意だったかもしれません。
しかし、最後の最後に回ってきた大舞台。
若きストッパーがクリーンシートを果たして勝利を掴み、栃木の地でJ1昇格を決めることを心から願ってます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ジュビロ磐田と鈴木海音のファン・サポーターに歓喜が訪れることを願って
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