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リンスインシャンプーとキシキシ。

部屋を片付けていたら、旅行用のミニボトルセットが出てきました。

状況が落ち着いたらと捨てずにいましたが、
いつになることやらなので、使ってしまう事に。

ビニールポーチの中には、ボディソープ、
洗顔フォーム、そしてリンスインシャンプー。

そのリンスインシャンプーを見て、ギランバレーで
入院していた時のことを思い出しました。

リハビリ病院に転院になり、定期的に
病院での入浴予定が入るようになりました。

転院時の必要な物の中に、入浴セットが
新たに加わり、嬉しくなりました。

そして迎えた、初めての入浴日。
車イスで浴室まで連れて行ってもらい、
看護師さんが私の着替えとお風呂セットを持って移動。
シャワーなのですが、嬉しかった。

髪の毛も身体もモコモコした泡で覆われて。
久しぶりの感覚でした。

さっぱりしたのもですが、生活の当たり前が
一つ戻ってきた気がして。

リンスインシャンプーで、ちょっと髪の毛は
キシキシしてたけど、関係ない。

ちょっとだけ、自分が回復したんだ!となりました。
嬉しくて、誇らしくて、シャンプーの香りが懐かしくて。

そして朝のリハビリ確認の中に、入浴時間が
たまに入るのにも慣れた頃。

入浴介護の看護師さんに聞かれました。

「なんでかんちゃんは、リンスインシャンプーなの?」
「あ、いや、洗ってもらう時に楽かなって」

自分で出来る様になったら楽だしなんて
簡単に考えてたんだよね。こんなに出来ないと思わなくて。
位に思っていたら、看護師さんからの次の一言にびっくり。

「そんなの気にしなくていいから!
    今度までにシャンプーとリンス別々の持ってきてもらって!」

え??と困惑する私に、看護師さんは続けて言いました。

「女性なんだから、髪の毛気になるでしょ?
    かんちゃん、髪の毛キレイだし、もったいないよ」

何だかとっても嬉しかった。
病気で、お手入れどころか、お風呂だって人任せなのに。
人間としてみてくれているだけじゃなく、そんな配慮も
してもらえるんだなって思いました。

結局、退院までに使い切れないほどの量の買い置きがあったので
特に変える事はありませんでしたが、自宅へ外泊リハビリを
するようになり、シャンプーとリンスで洗ってもらう時、
看護師さんの言葉を思い返すようになりました。

そういえば、急性期病院でも母が私に
「こんなに(顔の)肌が荒れちゃって・・」と言い、
その翌日、化粧水と乳液を持ってきて、
「毎日塗ってあげるからね。きっと元に戻るから」と言ってたな。

きっと元に、には色々な意味がこもっていた気もしますが
そんなこと考える余裕もなかったのに、周りのその思いが
本当に嬉しかったです。

リンスインシャンプーのミニボトルを見て、
その看護師さんの顔と声を思い出しました。
毎朝、元気に挨拶をしてくれた看護師さん。

丁寧に体中洗ってくれて、痛くない様に
身体を拭く時の身体の角度とかにも気遣ってくれました。

そういう方々の想いのおかげで、今があるんだなと。
へこたれそうになるけど、もう少しやって見ます。

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