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技術的側面のある課題を解決するスキル


第1 はじめに

 発明が特許になるための要件の一つに進歩性があります。進歩性があるかどうかの判断には色々なモノサシがあります。そんなモノサシの一つが「課題解決アプローチ」なのですが、これは工夫次第で技術的課題の解決に役立つんじゃないかと思いました。これ一つで課題が何でもサクサク解決できるとは思えませんが考え付いたアイデアが特許になる可能性はアップするんじゃないかと思っています。
 したがいまして、このエッセイは特に技術的側面のある課題を解決するスキルを身につけたい方に読んでいただきたいものとなります。

第2 課題解決アプローチとは何か

 課題解決アプローチというのは、次のステップで進歩性があるかどうかを判断していく手順のことです。
A.進歩性を判断したい発明がどんな課題を解決しようとしているのかを見極める
B.進歩性を判断したい発明に最も近い既存の発明をピックアップ
C.「A」で見極めた課題を達成するために「B」でピックアップした発明を改良するとすればどういう改良をするか考える
D.進歩性を判断したい発明と「C」で考えた改良とを比較して、後者の改良から見て前者が自明の範疇に入るのならば前者は進歩性なし、前者が自明の範疇に入らないのならば前者は進歩性あり

第3 課題解決アプローチを技術的課題の解決に利用するには

1.課題解決アプローチの改変

 課題解決アプローチを技術的課題の解決に利用する場合には、進歩性判断の対象になる発明がありません。したがってまずそれを前提にして課題解決アプローチを改変することになります。
A’.課題を特定する
B’.「A’」で特定した課題に最も近い課題を解決する既存の発明をピックアップ
C’.「A’」で特定した課題を達成するために「B’」でピックアップした発明を改良するとすればどういう改良をするか考える
D’.「C’」で改良法が見つかれば課題解決、改良法が見つからなければ課題未解決

2.改変した課題解決アプローチの懸案事項

 この方法で課題を解決しようとする場合、最初のハードルは課題の特定だと思います。私の実務経験から見て、これは案外分析力を要します。
 分析力をアップさせるにはどうすれば良いかについては稿を改めたいと思いますが、「コストの高低を課題としてはならない」とは言えます。コストの高低が問題になっているときは、たいていの場合においてさらに細かな分析が必要です。作業時間が長い、材料に制約がある、消耗品が多すぎる、その他の諸々の課題が裏に隠れているのです。
 課題をうまく特定できたとして、次のハードルは上述の「D’」で改良法が見つからない場合です。これについては2つの対策を提案したいと思います。
 一つ目は「B’」のやり直しです。別の発明をピックアップするとすんなり改良法が見つかることはあると思います。
 二つ目はTrizの発明原理の中から使えるものを探すことです。次に紹介する書籍などは発明原理をわかり易く紹介しているので参考になさると良いでしょう。

トリーズ(TRIZ)の発明原理40 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考支援ツール トリーズ(TRIZ)の発明原理40 | 高木芳徳 | ビジネススキル | Kindleストア | Amazon

第4 まとめ

 技術的側面のある課題を解決するための方法論として課題解決アプローチの改変を紹介させていただきました。お役に立てましたら幸いです。

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