見出し画像

日本が変化している!

 日本の今年7月の経常黒字は過去最大の2兆7717億円だそうだ。日本全体としては儲かっている。日本は豊かな国と言えるかも知れない。

7月の経常黒字、過去最大の2兆7717億円 貿易収支改善 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

 一方その内訳を見てみると、貿易収支は682億円の黒字に過ぎない。ちなみに5月は1兆1867億円の赤字だったそうだ。

 私は中学校で「日本は加工によって利益を得ている加工貿易の国」と教わった。しかしこの結果によれば加工貿易ではほぼ利益が出ていないことになる。ではどうして経常黒字が巨額になったのか?

 答えはどうやら海外子会社からの配当金と海外の債券利子の受け取りとにあるらしい。これらを反映する第1次所得収支は3兆5781億円。つまり、もはや日本は加工貿易の国ではなく投資で儲ける国なのだ。ちなみに訪日観光による儲けを反映した値である旅行収支は3368億円の黒字。

 加工貿易の国ではなく投資で儲ける国だということは、次のことを示唆する。日本経済を支えているのが投資の収益であり「ものづくり」は日本経済を支えていないということだ。私はものづくりに直接携わっている訳ではないが、ものづくりがあって成り立つのが私の仕事だ。それはつまり私の仕事も日本経済を支えていないことを意味する。何ということだ。

 ここで「ものづくりが日本経済を支えていない」と述べているのは貿易収支で儲かっていないことと概ねイコールである。中国との人件費の差は昔ほどではなく業種によっては日本の方が人件費が安いと聞く。それにも関わらず貿易収支で儲かっていないのは、日本で生産される製品が高く売れていないか日本で生産される製品があまり売れていないかのいずれかであることを意味する。なぜそんなことになっているのか。

 日本で生産される製品が高く売れていないか日本で生産される製品があまり売れていない、それは日本のものづくりのレベルが下がっていることを意味する。日本から海外の人件費の安い国への技術移転が必要以上に進めばそういうことにはなるだろう。そう考えると今日の貿易収支はなるべくしてなった結果に過ぎない。忸怩たる思いである。

 今のままでは日本のものづくりのレベルが今後も下がり続けることになる。一方で投資収益だの債券利子だのが今後も入ることになるだろう。日本が変化している状況にどう対応するのか、日本人ひとりひとりの考えが問われている。

#ニュースからの学び

この記事が参加している募集

#仕事について話そう

109,949件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?