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【イベントレポ】『あたりまえ』の恋愛が分からない私たちのしゃべり場

みなさんこんにちは~🪴
SOGI研メンバーのれいれいです。

先日10/30(月)、早稲田大学SDC・GSセンターさん主催のイベント「~Aロマンティック(and/or)Aセクシュアルかもしれない人へ~「あたりまえ」の恋愛が分からない私たちのしゃべり場」にオンラインで参加してきました!

僕はツイッターでこのイベントの情報をゲットしたのですが、夕方から開催でオンライン参加も可とのことだったので「時差的にもいける・・・!!」と確信し、すぐに申し込みました。

(実はスウェーデンでは10/29の午前2時にサマータイムが終了し、日本との時差が7時間から8時間に拡がっていたのです。申し込み時にはそこまで計算していなかったので焦った。)

このnoteでは、イベントに参加して抱いた感想やイベントの内容をちょこっとみなさんにシェアハピしたいと思います。


大人が一緒に考えることの重要性

イベント全体の流れとしては、

  1. グループでおしゃべりタイム①

  2. キャリアカウンセラーさんによるレクチャー

  3. グループでおしゃべりタイム②

という感じでした。僕はオンライン参加だったので、おしゃべりタイムの時は他のオンライン参加のみなさんとGSセンター職員の方とお話しました。

Aロマンティック(and/or)Aセクシュアルキャラクターが登場するおすすめの映画やドラマを紹介し合ったり、カミングアウトはどうしているか、どんなときに辛いと感じるか、それをどうやり過ごしているかなど、用意されたトピックにそって当事者のみなさんと話し合いました。

安心できる環境で当事者の方々とオープンにお話できる機会はなかなかないので、ドキドキソワソワしながらも存分におしゃべりを楽しみました。

しかし僕がこのおしゃべりタイムで最も感動したのは、意外にもGSセンター職員さんの存在です。

今回のイベントは「『あたりまえ』の恋愛が分からない私たちのしゃべり場」ということで、参加者の対象は「Aセクシュアル(and/or)Aロマンティック&かもしれない学生」とされていました。

しかし、GSセンター職員の方々はファシリテーターやサポート役として参加してくださっているので、中にはもちろん当事者の方もいれば当事者でない方もいらっしゃいます。

今回オンライン参加グループのファシリをしてくださった職員さんは、僕たちが話すモヤモヤエピソードをとても親身に聞いてくださって、自らの経験と重ね合わせながら理解しようと試みてくださいました。

そして「ラベル化することについてどう考えるか」という疑問がでた際には、「まだまだ勉強中だけど・・・」と言いながら森山至貴・能町みね子共著『慣れろ、おちょくれ、踏み外せ 性と身体をめぐるクィアな対話』を紹介してくださり、その本の一節を教えてくださいました。この一節が僕にとってすごく腑に落ちるものだったので、帰国したら真っ先に読もうと決めました。

僕はこの日まさに、本物のアライを見た・・・!!という気になりました。

これまで何度かアライを自称する(になりたいと願う)方々とお話する機会がありましたが、わかっている気になって無意識に傷つけてきたり、どこか他人事に考えていたりするような人にもしばしば出会いました(とくに何でもわかっていたい大人には多いと思う)。その度にアライってなんだろう・・・と考えていたのです。

しかし今回のように、一方的に諭すのではなく、一緒に考えてくれる大人がいることを実感できる体験はクィアにとってとても重要なことだと気づきました。

それもセンターの職員だからということだけを理由に適当に相槌をうって理解しているふりをするのではなく、普段から本を読んだり、学生の話をたくさん聞いて考えたり、アライになろうと日々活動されているんだろうなという様子がうかがえたので、本当に素敵な職員さんがいらっしゃるんだなと感心しました。(上から話しているように聞こえてしまったら申し訳ないですが、素直に感動したのです。)

ぜひこのnoteを通して感謝をお伝えしたいです!!本当にありがとうございました☺️読んでくれたらいいな・・・。

Aロマ(or/and)Aセクの未来を考える

おしゃべりタイムが終わった後は、キャリアカウンセラーさんがAロマ(and/or)Aセクの人々の多様なライフプランを紹介、説明してくださいました。

事実婚・内縁関係やパートナーシップ制度、友情結婚、週末婚などの恋愛結婚だけではないパートナーシップの形を、それぞれ恋愛感情の有無、性的関係の有無、同居・別居、法的婚姻関係の項目に分けて表に示し、Aロマ(and/or)Aセクがパートナーと生きる選択肢をたくさん見せてくださいました。

それぞれの関係について「シェアハウスする場合どうなるのか」、「専門のアプリや相談所はあるのか」、「この関係を選択する主な理由」など、とても詳細に説明してくださったので具体的に想像することができました。

中でもズッキーニの話まで触れられていたことには大変驚きました!
ズッキーニ・・・恋愛関係ではないが、親密で感情的な絆が存在する関係。通常の友情よりももっと深くて情熱的な関係。

それから、パートナーシップに加えさまざまな子供の迎え方孤独のとらえ方(『ロンリネス』と『ソリチュード』のちがい)にまで内容は拡がりました。

僕が一番興味を抱いたのは共同生活の形です。共同生活とはいっても一軒家に複数人で住むルームシェアだけではなく、シェアハウスやソーシャルアパートメントなど、どれだけの範囲で部屋を共有し、どんな距離感で人と生活したいのかに合わせてさまざまな形があるということは初めて知りました。

最後に、実際にあったAロマ(and/or)Aセクの方のライフプラン例をいくつか紹介してくださいました。詳細には触れられませんが、僕が想像していなかったセクシュアリティの方とパートナーシップを結ばれたものがあったり、セルフパートナーシップを築く人、動物や植物と一緒に生きる人など、本当にたくさんの選択肢があるんだなと学ぶことができました。

レクチャーを受けたあとは、またおしゃべりタイムに突入。今までライフプランについて話すことを恐れてきたのと、一気にたくさんの知らなかった情報が入ってきたのとで内心少し混乱していました。

しかしレクチャーの内容に基づいてもう一度話してみると、将来パートナーと暮らしていきたいか、子供を迎えたいか、共同生活はしてみたいか、それもどのようにというところまでいくとみんなそれぞれ異なる考えをもっていて、一気にAロマ(and/or)Aセクのグラデーションが浮かび上がったように思えました。

当事者が集まってモヤモヤや不安をシェアできる会であるだけでなく、ここまでしっかりAロマ(or/and)Aセクの将来を考えさせてくれる、その可能性選択肢を拡げてくれるイベントというのは経験したことがなかったので、さすがGSセンターさんだなあと感動しっぱなしの2時間でした。

GSセンタースタッフのみなさん、素敵なイベントをありがとうございました。この貴重な経験を今後のSOGI研イベント企画にも活かしていきたいですね。

ため息をつく程度の余談

今回のイベントで未来の可能性が拡がったという話をしたところですが、正直まだまだ自分の将来について考えるのはこわいです。

それも、僕はとくにパートナーがほしいとは思わないし、誰かと一緒に同じ部屋に住むなんて絶対に無理・・・!!(気になること多すぎてストレスえぐそう。寮のキッチンをシェアしているだけで毎日発狂しています。)

とはいえ特別自分が好きというわけでもなく、自分ひとりで生きていく将来に価値も見出せないので、どうしたもんだか・・・。生に対する執着があまりないのかな?

でもスウェーデンでの寮生活を送る中で、友達との距離感はかなり気に入っています。カールスタードの寮は何棟かあり、集合住宅みたいに集まっていて、ちょっと旅行の計画を立てよう、夜一緒に映画観ようというときに友人と部屋を行き来したり、何人かと食材をもちよってたまに一緒に料理をしたり、寮のすぐ裏のバス停で待ち合わせてお出かけしたり。もちろん一日中ひとりで過ごすこともあります。

こうやっていろんな経験をもとに、一番自分が心地よく暮らせる生活の形を見つけていけるのはとても良いことですよね。

そしてなるべく将来のことを考えないようにしている僕ですが、つい最近、生活のなかで将来を無意識に考えている瞬間があることに気づきました。

それは、共同の洗濯ルームを予約するときです。

洗濯ルームの予約掲示板

タオルや下着類のローテーションを考えて、2日後、3日後の使用したい時間帯を、写真のように鍵をかけて予約します。この時僕はまぎれもなく2日後、3日後の自分の行動を、生活を、将来の自分に約束します(朝7時に予約した時はたまに寝過ごすこともありますが)。

僕は割と、この小さな未来に鍵をかける瞬間が好きです。

何十年先の未来を考えられなくても、2日後の洗濯、1週間後の食事会、1か月後の旅行先と、少しずつ先の楽しみな予定を計画することで、生き延びていけるのかな~なんて考えたりしています。みんなはどんなふうに自分の将来を意識しているのかな。

そして、僕がこうして自分のセクシュアリティに関するアイデアをオープンに書けるようになったのは、間違いなくスウェーデンでの経験に起因しています。

日本でアセクシュアルやノンバイナリーという言葉をだしても、その概念自体知らない人がほとんどで、言葉の説明からしないといけないという負担がありますよね。

だからその分、この人には知ってほしいなと思える特別な人にだけ、またはひどい扱いをされてよっぽど苦しい状況でないと言う気にはならないし、その度に今からカミングアウトするんだというストレスが重く心にのしかかります。そして後者の場合言ったあとはだいたい嫌な暗い気持ちになります。

でもスウェーデンでは、僕のこれまでの経験上みんな当然のように言葉を知っていたので、何気ない会話の流れでサラッと言っても「そうなんだ〜」という感じで受けとめてもらえます。(代名詞の配慮も時々間違うことはあるけどしてくれる!)

また僕の場合ここでは英語で話す分、自分の第一言語の日本語で話すよりワンクッションある感じがして、このようなトピックに関してはとても話しやすいです。

日本に帰るとどうなるだろうか・・・という不安はありますが、今は存分にスウェーデンでのクィアな生活を楽しもうと思います。わっはっは。

ここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、ありがとうございます🥟また改めてスウェーデンでの生活をnoteで紹介できればなと思います(気が向いたらね)。

それではまた!

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