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少し長めのお話

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1600字以上の自作エッセイです。原稿用紙だと、4枚分以上の文章量にあたります。
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自由と不自由の狭間で

自由と不自由の狭間で

誰しも、一度くらいは「自由に生きたい」と思ったことがあるのではないだろうか。

自由に行きたい場所に行き、食べたいものを食べ、眠りたいときに眠る。
好きなところに暮らし、自分の好きな人と思い思いの時間を過ごす。

きっと、時間の使い方を自分自身でデザインできることが、「自由に生きる」ということなのだろう。

自分のやりたいことがやりたいタイミングでできるなんて、考えただけでちょっとワクワクしてくる

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21歳の僕から、21歳の僕へ

21歳の僕から、21歳の僕へ

まずは、誕生日おめでとう。

折角の誕生日だから(というのは理由にならないかもしれないけど)、今日は、僕自身に向けた文章を書くことにする。

まあ、noteという「パブリックなサイト」に投稿する性質上、「この文章はこれから誰かに読まれる」と考えながら書くわけだから、本当の意味で「僕自身に向けた文章」にはならないよね。読みやすいように、体裁を整えていくから。でも内容は、内容だけは、自分にしか分からな

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自宅の中の公共

自宅の中の公共

普段、自宅で勉強したり、何かの作業をしたりする時には、自室よりも共有スペースにいることの方が圧倒的に多い。

共有スペースとは、家族の誰もが好きなタイミング使える部屋のこと。

広さ10畳ほどの空間には、100冊以上の本が置かれた2mの背丈の本棚、テレビ台と大型テレビ、横になって寝られる大きさのソファ、雑多な物入れと化した扉付きの棚が、四方の壁に沿って配置されている。

部屋の中央に鎮座する脚の短

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空き地を巡る考察

空き地を巡る考察

自宅から30mほどの所に、空き地がある。

最寄りのコンビニに行く途中、最初に出くわす十字路の角にそれはある。月に2~3回のペースでそのコンビニを利用するので、往復を考えると毎月4~6回はその空き地の脇を通っていることになる。

テレビを観るときにリモコンを押さなければいけないのと同じように、「コンビニに行く」という目的を遂行するためには、この「空き地を通り過ぎる」ことを避けては通れないのだ。

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二人旅の断片 -1-

二人旅の断片 -1-

2024年5月5日。

こどもの日の今日、今年70歳を迎える祖母と二人で小旅行をした。

その旅の断片的な記録を、ここに残しておくことにする。

around 6:00 p.m.今、とある駅の待合室にいる。

市のメインステーションではあるものの、「田舎の駅」には違いないらしく、自分と祖母を除いては、もう一人しかいない。ゴールデンウィークの盛りだというのに、とてつもなく閑散としているのだ。

駅構

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あなたの価値とわたしの価値 -2-

あなたの価値とわたしの価値 -2-

今回も、前回に引き続き「人の価値」についての自分の考えを整理していくことにする。内容に目を通しながら、ぜひみなさん自身の考えと比較したり、自分なりの考えを構築したりしていただけたらと思う。

「人の価値」について考えることは、人たる「自分の価値」について考えることに他ならない。このnoteが、みなさんが「みなさん自身の価値」と向き合い、それに気づくきっかけになることを切に願っている。

▼前回書い

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倒立を試みたあとの宇宙 -2-

倒立を試みたあとの宇宙 -2-

前回、下のエッセイを書いた。

要約すると、こんな内容だ。

倒立を試みたあとの宇宙

自分で書いておきながら自分で書いたとは思えない言葉を、まるで国語の時間、誰かの書いた詩や俳句を批評するように、分析してみることにする。

言葉の意味を推察する冒頭のパートを整理しよう。

倒立は、地面に手をついて、体を地面と垂直になるように支える行為だ。足が上に来て、頭が下に来るから、普通に立っている時と比べる

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「なぜ」と問うこと

「なぜ」と問うこと

時々、初対面の人と「1on1」をすることがある。

「1on1」が何かというと、「1対1で誰かと話をすること」だ。話す中身や場所や時間は、そのときどきで変わってくる。

僕の場合、「1on1」の相手はSNSでつながった同世代(高校生から大学生くらい)が多い。相手と自分の住んでいる地域が違うことがほとんどで、基本的にはオンラインで話をすることになる。「直接顔を合わせなくてよい」ということもあって、早

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終わらない争い

終わらない争い

「中東地域の紛争・戦争」に関する授業を受けたのは、12月の暮れのことだ。パレスチナ地域の歴史。これまでに起こった戦争。和平への歩み寄りと頓挫。講義を聴きながら、あのニュースのことを思い出さずにはいられなかった。

2023年10月7日。パレスチナの解放を訴える武装組織「ハマス」が、イスラエルに対して大規模な攻撃を開始した。

このニュースは瞬く間に世界に広まり、連日、新聞やテレビなどのメディアで取

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よりよい選択のために

よりよい選択のために

小学校高学年から中学校にかけて、僕は「ポケットモンスターシリーズ」のゲームに熱中していた。

最初にプレイしたのは、確か「ホワイト2」だったと思う。そこから、「Y」「オメガルビー」「ムーン」と、新作が出るたびに買ってはプレイした。最新作をプレイする傍らで、ホワイト2以前に発売された「ハートゴールド」「ダイヤモンド」「ブラック」で遊び、「ポケモン不思議のダンジョン」や「ポケモンスクランブル」といった

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あなたの夢はなんですか?

あなたの夢はなんですか?

タイトルにあるような問いを、「将来の夢」の4文字を、小学校入学から高校卒業までの12年の間に何度見たことか分からない。

進級のタイミングで書く自己紹介カード。
卒業のタイミングで書く文集。
進路を考える授業のワークシート。

きっと多くの人が、学校教育の様々な場面で「将来の夢」を問われてきたことだろう。

僕もご多分に漏れず、様々なところで「将来の夢」を尋ねられていたのだが、自信を持って自分の夢

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再会

再会

10月中旬の日曜日。
正午を回った頃、InstagramのDMにメッセージが届いた。

相手は、幼稚園・小学校の同級生だった。彼女とは、小学校までは仲が良かったものの、別々の中学校に通い始めてからは、疎遠になっていた。といっても完全に縁が切れたわけではなく、ごくたまにSNSでやり取りを交わす仲である。

彼女は、僕の在籍する大学の学校祭にたまたま友達と遊びに来て、僕のことを思い出したらしい。ちょっ

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“Have to”の旅、“Want”の旅

“Have to”の旅、“Want”の旅

学校で過ごす時間の大半は、授業の時間である。小学校、中学校、高校、大学と進学していっても、基本的にそれは変わらない。授業が学校生活の多くを占めるはずなのに、学校での記憶を辿った時、どういうわけかそれ以外のことが思い出されやしないだろうか。

修学旅行や文化祭などの学校行事。
好きな場所や気に入っていた空間。
友達や先生や好きな人と話す時間。
打ち込んだ部活動。毎日の通学路。

僕自身は、特段嫌いな

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日常の「幸せ」探し

日常の「幸せ」探し

友達との何気ない会話って、案外覚えていないものだ。

話している間はすごく楽しくて、すごく面白くて、すごく共感できるのに、少し経ってから振り返ってみると、内容をはっきりと思い出せないことが多い。

霧がかかった先にぼんやりと見える建物の明かりのように、ちょっと濁った川にうごめく魚の影のように、確かにそこに「ある」のに、その全容は掴めない。

対象を捉えようとすればするほど、前を覆う霧や濁りが濃くな

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