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感情の流しかた

誰かのための努力はするな、自分のために努力しろ。自分の私利私欲のために動くな、他人のために働け_____

ここ数日、何のために頑張っているのか分からなくなる瞬間が多い。

職場で。新人さんが辞めてしまう。
ずっと一緒に働く仲間だと思って、ここが大変だけどこう乗り切ろう、技術やコツを1から10まで教える。良い人だから続いてほしいと願って接する。しかし辞めてしまう。その人と笑い合った時間が急に失われてしまう。その期間が長ければ長いほど心は痛くなる。辞めたいと思ってしまった人に対して自分が出来ることは少ない。職場仲間からただの他人になってしまう。そんな瞬間がすごく虚しい。


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二月から介護福祉士の受験資格取得のための実務者研修に通いはじめた。クラスの人とは、皆それぞれ違う環境だけれども同じ悩みや共通の話題を持っていたり話していて楽しい。
ホスピスの病棟に勤めてる人がいた。
「先月は1ヶ月に20人の人が去りました。人が死ぬことに慣れるのならば、楽な仕事です。18床ベッドがあります。早い人は着いて2時間で亡くなります。回転率が早い月は早いです」

自分の職場では未だに亡くなった人がいない。
わたしはたぶんそのホスピスで働く人のように次へ次へ気持ちを消化できないであろう。

辞める人が言っていた。
理不尽なことは許せないんです、と。
生きていれば理不尽なことに山のように遭遇する。でも、他人では許せることも自分では許せなかったり、自分が軽く考えることに対して相手は重く考えていたり、その対処法はさまざまだ。


感情がうまく消化できない日が続く。
写真仲間とよく話す。諦めた方がいいことについて。頭ではよく分かるよ、駄目だったら次に行けばいいんだよ。理不尽なことは流せばいいんだよ、辞めたら次が入るんだよ、死んだら次が入るんだよ___
だけど、そこにある感情が上手く消化できないんだよ。

教科書に短期記憶と長期記憶の記述がある。
昔読んだ本に、感情は感情と認識する前に処理しろと書いてあったことを思い出す。
短期記憶には、その前に感覚記憶があるという。1〜2秒しか残らない短い情報。
一生残る記憶には感情が複雑に絡んでるんだろうな。わたしたちは死ぬまでにどんな記憶を持っていけるのだろう。

写真は記憶の何を撮っている?
1〜2秒しか残らない短い情報のようなものにわたしたちはレンズを向け、そしてシャッターを切る。それは永遠に残るものだろうか。


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諦められないことを写そう。
形に残ったら、人はそこに名前を付けて次に行ける。モヤモヤした気持ちを人に話そう。
誰も否定はしないから。諦めても終わりは来ないけど、そもそも諦められるのだったら、諦めという言葉は生まれていない。

今日もそうやって一日が終わる。
嫌味を言われたり、好きな人からLINEの返信が来なかったり。そんな一日を水に流せるようにわたしは色んな記憶を呼び覚ましながら、外の景色に目を向けてそれを形にする。


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