安全かつ効率的にインディーゲームを作りながら生きていくためのフローチャート
はじめに
前に以下のツイートをしたのですが、いつもより多くの反応がいただけました。
なので、インディーゲーム開発者のフローチャート的な物をちょっと書いてみるかと手を出してみた所、かなり簡略化して作ったつもりだったのに思ってたより複雑に見えるようになってしまったのと、色々な解説が必要そうだったため、記事にしてまとめてみました。
あと「そもそもお前誰やねん」という方は以下の記事が参考になるかもしれません。
ちなみにフローチャートはWhimsicalというWebサービスを使って作りました。
本題のフローチャート
今回のフローチャートのゴールは、自分が目指している「お金に困らず好きなだけインディーゲームを作れる」という状態にしてみました。
つまり、お金と時間に余裕を持った状態になる事がゴールになるのですが、これは必ずしも「自分で作ったゲームの収入で暮らす」という事を言ってるわけではないです。
例えば「一生食うに困らない程稼げた」は給料でも宝くじでも相続でもOKみたいイメージです。
また、タイトルの安全とは金銭的なリスクをとり過ぎないという意味で(なのでありがちな「いきなり学校をやめて独立」「借金をして独立」みたいな選択肢はない)、効率的とはインディーゲームを作る時間やお金を稼ぐ時間、自身の能力を向上する時間等、人生における時間の配分がバランス良くするというイメージです。
では本題のフローチャートです。
似た分岐が多いので複雑に見えますが、安全かつ効率的という意味で大事なポイントはたった2つ。
「新卒カードを大事にする」と「就職する事にも独立する事にもこだわらない」です。
次項から各項目ついての解説をしていくのですがその前に一つ前置きを。
まず大前提として僕はインディーゲームという名称に凄いこだわってるわけではないので、
「インディーゲームという名称には明確な定義がないので、誰がどう使っても良い」
と思ってる派なのですが、タイトルとして使う以上定義が曖昧だとややこしいので、この記事(僕の中とかではなく)で使う「インディーゲーム」の定義を列挙しておきます。
個人または少人数(2~5人ぐらい?)で作るゲーム
人を雇う事はNG (話がややこしくなるので)
就職してる会社内で作る社内インディー的なのはNG
外部からお金等の支援を受けるのはOK
ちなみになんでわざわざインディーゲームという名称を使うかというと、ただの「ゲーム」だと「企業で出世して好きなゲームを作る」みたいなルートもあるので分岐が多過ぎて大変だからです。
実家等から一生食うに困らない程の援助または相続が見込める
ゴールが「お金に困らず好きなだけ」なので、この時点でもちろん即ゴールです。
まぁこんな人は稀も稀だと思うので単なるネタ枠なのですが、1点だけ注意が必要なのが「実家等からある程度(何年かは生活に困らない等)の援助または相続が見込める」場合に就職をしないという選択肢を選ばない方が良いよという事です。(理由は後述します)
卒業まで好きなゲームを作る
好きなゲームとは文字通りに「自分が作りたいゲームを作る」という意味なので「面白いゲームが作りたい」「お金を稼ぎたい」「実況してもらいたい」「有名になりたい」という具合に目的は何であっても複数あっても途中で変わっても問題ないと思います。
ただ、目的を明確にし、複数ある場合は優先順位も決めておくと手段がブレないのでオススメです。
また、「未完成の傑作より完成した駄作」とも言われるようにゲームを完成させリリースしなければ始まらないし、次にも繋がらないので、いきなり大作は作るというのもオススメ出来ません。
休学してさらに好きなゲームを作る
「学生時代にそれなりに稼げるようにはなったが、このまま独立しても良いものか?」みたいになった時はとりあえず休学するのが個人的には良いかと思います。
なぜならもし独立した後に「それなりに稼げる」という状態が終わってしまって就職する事になった場合、基本的には新卒として就職が出来ないためです。(第二新卒になる?)
日本は新卒での就職が強いので、せっかくの新卒カードを捨てるのはもったいないです。
とは言え、せっかく稼げる状態になったのに就職してしまうのもそれはそれでもったいないので、折衷案として休学するというイメージです。
仮に休学後に就職する事になっても、おそらく明確な目的を持って休学してるのでマイナスになる事はないと思いますし、休学中にもちゃんとゲームをリリースできていれば、むしろプラスになる可能性すらあります。
働きながら自分のゲーム開発(既に会社員の場合)
「会社員だけど自分のゲームが作りたい!」みたいな場合はここからスタートになります。
間違ってもインディーゲーム開発未経験の状態でいきなり独立するというのは避けましょう。
仮にゲーム会社でゲーム開発の経験があったとしても、インディーゲームでは勝手が全く違いますし、給料が貰えない何の保証もないゲーム開発で精神的にそもそも続くのかという事もあるので、とりあえず余暇を使って自分のゲームを作るのがオススメです。
働きながら自分のゲーム開発(これから就職する場合)
学生時代にゲームを作っていなかった、そんなに稼げなかったという場合はもちろん「学生時代にそれなり貯金は出来たが、このまま独立しても良いものか?」という場合にも、とりあえず就職する事をオススメします。
これは前述した新卒の就職が強いという話も有りますが、ゲーム会社に就職する事で得られる物が大きいという話でもあります。
やはりプロが周りにいる状態だと独学より圧倒的に効率良く学べますし、大手で研修がしっかりしている所ならさらに成長速度も早いはずです。
また自分が組織で働くという事にどれぐらい向いてるかも分かりますし、安定して収入を得られるという事の有り難みも分かるかと思います。
さらにその会社で(あんまり好きな言い方じゃないですが)人脈を作る事が出来るかもしれません。
場合によっては一緒にインディーゲームを作る人が見つかる可能性だってあります。
新卒就職先の選び方としてはゲーム会社が良いというのはもちろんですが、大手の方が研修が充実してる事が多いですし、中途に比べて入るのが楽という点でもオススメです。
あと副業OKの方が色々面倒がなくて良いかと思います。
独立してゲーム開発
「自分の作ったゲームある程度稼げるようになった」か「無収入でもある程度生活出来る状態」になったらやっと独立を考えるフェーズです。
ずっと会社員のままでももちろん問題はないのですが、インディーゲーム開発に専念する事で一気に自分のゲームの開発を進める事が出来ますし、専念という状態がどれだけ自分に向いているかも分かります。
(孤独や貯金が目減りする事に対する耐性は人それぞれなので)
さらに、独立を経験する事でお金を稼ぐ大変さ、安定して給料が入る嬉しさがより理解出来ると思いますし、同じ環境にずっといると視野が狭くなり成長が鈍化するというのもあるので、個人的には一度は雇われずにお金を稼ぐ経験をするのが良いと思っています。
また独立中にしっかりゲームをリリース出来ていれば、それがそのまま実績になるので再就職に困るという可能性も低いかと思います。
なお「無収入でもある程度生活出来る状態」は基本的には貯金が貯まった状態だと思いますが、クラウドファンディングや何らかの支援、実家の協力等何でも良いと思います。
ただし、独立に固執してどうにもならない状態になるのは本記事の趣旨に反する(安全ではない)ので、「○年以内に○万稼げなかった」とか「貯金が○万以下になった」みたいに再就職する条件をあらかじめ決めといた方が良いかと思います。
おわりに
これでフローチャートの解説は終わりですが、当然ながら人によって性格や状況、ゴールも違うので「誰にでも、いつでも正解」のやり方なんてものは存在しません。
また生存者バイアスや後知恵バイアスなんてものもあるので、兎に角大事なのは常に考え、行動し続けることだと思います。
ただ「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言うと言い過ぎかもしれませんが、他人の経験や考え方が参考になるというは間違いないので、色々な情報を得るのも大事だと思います。
ゲーム開発で全ての要素をオリジナルにすれば良いわけじゃないのと同じですね。
ようは本記事のフローチャートを鵜呑みにせず全拒否もせず、良さげな部分だけ使うみたいな感じです。
自分の考えたフローチャートを作ってみるのも良いかもしれません。
後はそもそもどうやって(売れる、面白い)ゲームを作ればいいのか、ゲームを作り続けられるようになるにはどうしたらいいかみたいな話もあるかと思いますが、それはまた別のお話……。
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