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「一人飲み」から学ぶ

ひとりのみっていいな。

はじめは不安で勇気がいるけれど、行ったらなぐさめてくれて、さみしさやつらいこと、悩んでいることをまぎらせてくれて、こころをやわらげくれて、にっこりさせてくれる。お店を出るときには、「また来てね!」とそっと寄り添いながら、背中を押してくれて、時に実際にバシッと背中を叩いて気合いを入れてくれたりもして(笑)、また行きたいな、もうちょっとがんばってみようかな、と思わせてくれる。

「一人飲み(ひとりのみ)」と聞くと、ひとりという言葉の強さゆえか、おひとりさまを好み、おひとりさまでゆっくりとたのしむものだと考えられることが多い。一人カラオケとか一人映画とか一人焼肉とかと同じように。

しかし、それらと「一人飲み」は少し違うように思える。「一人〇〇」という時代の流れ(トレンド)から、お店に一人で行くことと、お店で一人で過ごすことが混同されがちだけど、中身は大きく異なっているような気がする。

私にとっての「一人飲み」は、個室や仕切りがあるカウンターに一人でお酒を飲みに行くことではなく、お店の人に一人で会いに行くことなのかなと。お店の人は、オーナーさんもそこにいるお客さんのことも含んでいる。また、そこでお酒を飲まないことも多いので、「一人ご飯」と言い換えられるかもしれません。でも「一人飲み」という言葉を使って、ちょっと大人になった気持ちでよくご飯を食べに行っています。

(ぜひこの記事も合わせて読んでいただけたらうれしいです^^)

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「一人飲み」をたのしむためには、リラックスして自然体でいることが大事な気がしました。古町での一人飲みを通じて、そう感じました。(古町は一人飲みにはうってつけの場所ですよ☺︎)

焦らず、強がらず、決して大きくみせたり、競い合おうとしたり、吠えたり噛みついたりしようしない。ゆっくりと落ち着いて、深呼吸をして、肩の力をスッと抜いて、やわらかくわたがしのようにふにゃふにゃになって、お風呂の湯気のようにふわふわもくもくと立ち上がって空気となって、風のように流れに身をまかせて、ほどけるように溶けるように過ごす。

そうすると、いろいろなうれしい出来事が舞い降りてきてくれて、とてもしあわせな気持ちになります。意識していなくとも、他の誰かをしあわせな気持ちにできていたりもします。不思議ですが、良い世界が少しずつ広がっていくような、そんな感覚です。

道を尋ねられることもそれに近いことかもしれません。

この間、東京のとある展示会に出展したとき、何度も道を尋ねられました。「ここに行きたいんですけど」「このブースはどこにありますか」「出口にはどうやったら行けますか」「現在地ってこのMAPだとどのあたりになりますか」など。このような経験は個人的にははじめてで、全く意識もしていなかったので、むしろ逆のこと(一人でも多くの来場者に自分から声をかけにいって、〇〇を知ってもらう・興味を持ってもらう・購入してもらうこと)を意識していたので、とても違和感のある体験でした。

どちらかというと、道を尋ねられてうれしいというよりは、(大事な展示会の最中だったので)こんなことをしている場合じゃないという気持ちが強かったです。しかし、一緒にブースに立っていた先輩がそれを見て「すごいね」「道を尋ねられるっていいことだよ」「雰囲気や人柄がいいって証拠だね」と褒めてくださり、少し安心しました。また、それと同時に「どうしてこんなに道を尋ねられるのだろう」という方向へと意識が向くようになりました。

もちろん、出展しているブースの位置が角であるという立地条件(環境要因)や、よく目立つ色の法被を着ているという外部要因が大きく影響していたと思います。とはいえ、せっかく褒めてもらったし、これまでにない出来事でもあったので、それ以外に何か影響していたものがないか探してみました。

まだ明確な答えは出ていませんが、以下のような違いがあったかもしれません。

  • 顔を上げてスッと立っている(カリカリして忙しそうにスマホやPCを見ていない)

  • ニッコリ自然な明るい顔をして立っている(眉間にしわが寄って怖い顔をしていない)

  • ブースの前を通る方にそっと会釈をする(がっついたり、がめつくいったりしない)

展示会でこのような立ち振る舞いでいることが望ましいかどうかはわかりません。時と場合に応じて異なるため、ケースバイケースだと思います。ただ、「一人飲み」をたのしむための極意とはどこか通ずる部分があると感じました。

なかなか簡単にできることではなく、できるようになるまでにはきっと時間がかかりますが、「一人飲み」が好きと思える/言えるようになったひとりの人として、今後もそのような自然体を大切に生きていきたいなと思います。

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