冒険に目的はないかもしれない
目的地を考える。
昨日の移動中、車窓から流れる景色をぼんやり眺めていたとき、ふと自分は今どこに向かっているのだろうという問いが頭をよぎった。
いつもならありえないことだ。
自分は今どこに向かっているのか、なぜそこへ向かっているのか、そこで何をしたいのか、それをどうやって達成するのか、そんなことを普段はずっと考えている。
しかし、昨日は違った。自分でも驚いたのだが、目的地に着いてからのことを一切考えることなく、その全てを忘れてしまったかのようにずっと電車に揺られていた。
まあ、目的地なんてどこでもいっか。そう極端に楽観的に思えていた。でもそれは個人的にはうれしい出来事だった。
ここ2週間ずっと、自分にとっての冒険とはについて考えていたけれど、これまでの人生で冒険しようと思ってなにかを始めたことや、これが冒険だ!と思ったことはほとんどなかったので、そもそも冒険とは何かという言葉の意味から調べていた。
そうこうしているうちに、あっという間に月日は流れ、答えは見つからないまま、5月に差し掛かろうとしていることに焦りを抱いていたとき、一人の方から連絡があった。
「ダイブしたかったら言ってな」
たった一言の短いメッセージだったが、進むべき道を指し示してくれたような、今の自分を貫く言葉だった。
その方は、私にとって言わば冒険者道の師匠のような大先輩だ。
(中略)
ダイブという単語を聞くと、スリルで高揚感を感じたものだが、今回の感覚はそれとは違った。ワクワクしたり、ウキウキしたりする状態とは真逆の感覚だった。
でも、そこに行けば何かがあるかもしれない、何か自分に変化を起こせるかもしれないという、根拠のない確証を持っていた。
明日からもきっと、悩みや不安は尽きないし、いろいろな葛藤と戦わなければいけないと思うが、手を止めず、足を止めず、せいっぱい生きていきたいと思う。
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