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三日月ファストパス(#毎週ショートショートnote)

「亡くなったら、三日月様を滑り台のように滑って、飛んでお星様になるんだよ、そうあの星がおじいさん。」

 小さい頃、三日月を見ながら祖母から聞いた話。
 思い出はもっとたくさんあったけど。これだけは鮮明に覚えている。

 今日、会社からの帰り道、見知らぬ男の人から「三日月ファストパス」を書かれた一枚の紙をもらった。
「お急ぎなら、どうぞ使ってください」

 別に何も急いでいないんだけど・・・

 とか思いながら、信号を渡っていたら猛スピードの自動車に突っ込まれ、意識を失った。気が付いたら、空の上、三日月のそばに並んでいた。

「ファストパスをお持ちの方は、こちらにどうぞ」
係員が誘導するなか、祖母を見つけた

「おばあちゃん!」
「なんだ、由美。まだこちらに来るのは早いだろう、どうしたの?」

祖母は私を見るなり、手に持っていた「三日月ファストパス」を見つけた。

「これどうしたの?」
「コンビニの前で知らない人にもらった」
「帰しとくよ、閻魔様に、由美はまだ早い。」

そんな夢を見て、目が覚めたら病院のベッドだった。


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