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【F1】コラム

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Formula 1 観戦歴20年の筆者が、毎戦終了後にコラムとしてグランプリウィークを振り返る。
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【F1】コラム:カオスを生み出すレース運営。F1よ、これでいいのか。〈2023年第3戦オーストラリアGP〉

【F1】コラム:カオスを生み出すレース運営。F1よ、これでいいのか。〈2023年第3戦オーストラリアGP〉

オーストラリアGPは結果的に「クレイジーな」レースとなってしまった。2021年第6戦アゼルバイジャンGPでも今回と同様にレース残り3周での赤旗中断から再開。たった2周のスプリントレースが繰り広げられた。あの時はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がタイヤトラブルによりレースから消え、ルイス・ハミルトン(メルセデス)も再スタート後のターン1でコースアウト。その結果、セルジオ・ペレス(レッドブル)

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【F1】コラム:ライバルに突きつけた現実。04年フェラーリを彷彿させるレッドブルの強さ〈2023年第2戦サウジアラビアGP〉

【F1】コラム:ライバルに突きつけた現実。04年フェラーリを彷彿させるレッドブルの強さ〈2023年第2戦サウジアラビアGP〉

平均時速250kmを超える世界最速のストリートコース、ジェッダコーニッシュサーキット。開幕戦から2週間、バーレーンとは違った特性を持つコースで勢力図にどのような変化が起こるのかに注目が集まった。しかし期待されたほど力関係に大きな変化は見られず、むしろレッドブルの圧倒的優位性をより強調した週末となった。

チームメイトにも0.5秒近い差をつける王者だったが体調不良で木曜のメディアセッションをキャンセ

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【F1】コラム:勢力図は1+3+6!?敵なしの王者は3連覇へ視界良好〈2023年開幕戦バーレーンGP〉

【F1】コラム:勢力図は1+3+6!?敵なしの王者は3連覇へ視界良好〈2023年開幕戦バーレーンGP〉

史上最多23戦で行われる今季のF1。開幕戦の地バーレーンで行われた3日間のプレシーズンテストでは、レッドブルがダントツの速さを見せた。またテストの結果と走行データから、アストンマーティンが3強(レッドブル、フェラーリ、メルセデス)を脅かす位置にいるのではないかという声も上がり始めた。

そしてこの開幕戦で、プレシーズンテストから見られた今季の勢力図予想の答え合わせが行われた。

結果は、1+3+6

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【F1】コラム:それぞれの1年を示したアラブの夜〈第22戦アブダビGP〉

【F1】コラム:それぞれの1年を示したアラブの夜〈第22戦アブダビGP〉

毎年最終戦はドライバーそれぞれの今季を象徴するようなレースが多い印象ですが、今年もまさにそうだったのではないでしょうか。

予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が唯一の1分23秒台を叩き出してPPを獲得しました。Q1からマージンをかなり残して走っているようには見えましたが、Q3でもまだまだいけるのではと思ってしまうほどの走りだったと思います。
フェルスタッペンは決勝もスタートから終始レ

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【F1】コラム:銀の矢が放った強烈な一撃。白熱の南米決戦で復活の1-2達成〈第21戦サンパウロGP〉

【F1】コラム:銀の矢が放った強烈な一撃。白熱の南米決戦で復活の1-2達成〈第21戦サンパウロGP〉

サンパウロでは様々なドラマが毎年起きていますが、今年もまた金曜日から多くのドラマが生まれました。
路面がウエットからドライへ、そしてまたウエットへと変化する予選では天候の運も味方にする必要があるわけですが、ケビン・マグヌッセン(ハース)がその恩恵を受けました。今年の2月までマグヌッセンがF1にカムバックすると考えていた人は誰もいなかったと思いますが、運を掴んだ彼にまた運がもたらされたポール獲得でし

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【F1】コラム:王者は決まっても戦いはまだ続く〈第20戦メキシコシティGP〉

【F1】コラム:王者は決まっても戦いはまだ続く〈第20戦メキシコシティGP〉

標高2400mに位置するエルマノス・ロドリゲスサーキットはカレンダーの中でも随一の特殊なサーキットです。空気が薄いためダウンフォース量はモナコで使うような大きなウイングをつけていても、モンツァ程度のダウンフォース量しか得ることができません。またパワーユニットにとっても非常に挑戦的で、ターボにかかる負担は他のサーキットに比べても桁違いです。
レッドブルは元々このコースを得意としているクルマで、マック

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【F1】コラム:ディディに捧げた9年ぶりのタイトル〈第19戦アメリカGP〉

【F1】コラム:ディディに捧げた9年ぶりのタイトル〈第19戦アメリカGP〉

アメリカGP予選を前に悲しいニュースが飛び込んできました。レッドブルの共同創設者であるディートリッヒ・マテシッツさんがこの世を去りました。彼はレッドブルのモータースポーツ活動に大きく貢献され、レッドブルレーシングは彼がいなくては存在しえませんでした。90年代後半からザウバー(現在のアルファロメオ)のスポンサーとしてF1へ関与したことに始まり、2004年にはジャガーを買収し翌年からレッドブルレーシン

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【F1】コラム:ありがとう、鈴鹿。ありがとう、HONDA。〈第18戦日本GP〉

【F1】コラム:ありがとう、鈴鹿。ありがとう、HONDA。〈第18戦日本GP〉

いよいよF1サーカスが3年ぶりに日本へと帰ってきました。F1関係者の誰もが楽しみにしていた日本GPは、雨にも翻弄されましたが3日間で合計20万人を超える方々が来場されたそうですね。これは2012年以来とのことで、入国制限が緩和されると来年はさらなる来場者が見込まれるかもしれません。
今年は3年ぶりということはもちろん、日本人フルタイムドライバーの角田裕毅(アルファタウリ)の存在、昨年までレッドブル

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【F1】コラム:スコールがもたらしたサバイバルナイト。堅実なペレスに勝利の女神が微笑んだ〈第17戦シンガポールGP〉

【F1】コラム:スコールがもたらしたサバイバルナイト。堅実なペレスに勝利の女神が微笑んだ〈第17戦シンガポールGP〉

ヨーロッパラウンドが終わってシーズンも残り6戦になりました。夏休みを挟んでマックス・フェルスタッペンが5連勝、2年連続のワールドチャンピオン獲得はもはや時間の問題で、あとはその瞬間がいつになるのか注目されています。
フェルスタッペンのほかにタイトルの可能性が残されているのは、チームメイトのセルジオ・ペレスと同い年のライバル、シャルル・ルクレール(フェラーリ)となります。結果としてはこの2人が意地を

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【F1】コラム:もう誰も止められない。進撃のマックス、タイトルM48に〈第16戦イタリアGP〉

【F1】コラム:もう誰も止められない。進撃のマックス、タイトルM48に〈第16戦イタリアGP〉

イタリアGP100周年の記念レースでティフォシたちが期待したのは、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に一矢を報い、3年ぶりの歓喜をもたらすことだったと思います。しかし、今のフェルスタッペンは誰も止めることができません。今回のレースも圧勝でした。

スパに続きモンツァでも新しく規定の年間基数を超過してPUを入れるドライバーが大量発生しました。トップ3チームで

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【F1】コラム:風はいつもマックスに吹く。母国で今季初の新旧王者対決を制す〈第15戦オランダGP〉

【F1】コラム:風はいつもマックスに吹く。母国で今季初の新旧王者対決を制す〈第15戦オランダGP〉

チャンピオンの母国凱旋となったオランダGPは、熱狂的なマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のファン、通称"オレンジアーミー"が狂喜乱舞するようなレースとなりました。

金曜日のフェルスタッペンは前戦の速さはどこへ行ってしまったのかというくらい、マシンのセッティングが決まっていませんでした。加えてFP1ではギアボックスのトラブルで走行時間も失ってしまいました。ただそんな逆境でも今のフェルスタッペ

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【F1】コラム:無敵のマックス、正真正銘のスパ制覇〈第14戦ベルギーGP〉

【F1】コラム:無敵のマックス、正真正銘のスパ制覇〈第14戦ベルギーGP〉

夏休みが明けて残り9戦の開幕は、伝統のベルギーGPスパ・フランコルシャンサーキットで火蓋を切って落とされました。そこで我々が見せられたのは、レッドブルの1台による誰も勝負にならない、圧倒的な速さでライバルを蹂躙した44周のレースでした。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は準地元レースで金曜日からマシンが完璧に仕上がっていました。土曜日の予選ではQ1からQ3まで、たった2セットのソフトタイ

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【F1】コラム:繰り返される跳ね馬の失態が導いた赤牛歓喜の咆哮(第13戦ハンガリーGP)

【F1】コラム:繰り返される跳ね馬の失態が導いた赤牛歓喜の咆哮(第13戦ハンガリーGP)

サマーブレイク前最後のグランプリとなったハンガリーGPは、3年連続で雨絡みの週末となりました。快晴で暑かった金曜フリー走行から一転し、土曜以降は雨が降り気温も下がったことで上位3チームの形成は逆転する結果になりました。
その最たるものが、予選においてジョージ・ラッセル(メルセデスAMG)が参戦73戦目で初のポールポジションを獲得したことです。金曜日はフェラーリ勢が速さを見せる一方、メルセデス勢は2

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【F1】コラム:南仏の熱い風は王者を後押し。優勝争いはいよいよ3強の戦いへ〈第12戦フランスGP〉

【F1】コラム:南仏の熱い風は王者を後押し。優勝争いはいよいよ3強の戦いへ〈第12戦フランスGP〉

2022シーズンも前半残すところ2戦となり、フェラーリが2連勝と反撃の狼煙をあげてきたなかで迎えたフランスGPでしたが、結果的にはマックス・フェルスタッペンとレッドブルの強さが際立つ格好となりました。そして、昨季まで8連覇を成し遂げたチャンピオンチームが優勝争いに絡みそうなところまでやってきました。いよいよ優勝争いが、レッドブル、フェラーリ、メルセデスの3強になりそうですね。

フェルスタッペンは

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