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苔と菌と倒木と芽生えが教えてくれたこと。

先日、宮崎でのこと。
とある試験が行われている国有林の見学に行ってきました。

そこには胸高2mを超える赤とか黒とかの飫肥杉が沢山生えていて、樹高30m程もあるような立派な木がドカドカと乱立する迫力のある森でした。

そこは国の試験林で林業の施行をせずに、自然林をそのままにして自然に任せておいたらどのくらい育成して行くかを観察する場所でした。

森の中には巨大な風倒木もそのまま放置されています。
その為、植物が育つための栄養たっぷりのA層と言われる土が150cmも積もっている、地形の険しい日本では相当珍しい肥沃な森でした。
私は森の学校を作るための素材集めの撮影で行ったので、#その倒木の寝返り部分の径や根の深さなどを測ったり写真に収めたりしておりました。

そして、根返りを起こして地面がめくれ上がり土が露出している部分で盛んに行われているバリバリノキの芽吹きを観察しました。
更には巨大な樹が倒れたところに出来たギャップにより小さな日向が出来て倒れた樹の上に苔むした倒木の上から広葉樹が芽吹いていました。

巨大な樹は倒れて沢山の菌や虫などが住みつきます。倒れた樹はそれらの生物の住居であり餌でもあります。更にはその虫やキノコを捕食する動物にはダイニングとなります。

そして、程よくその微生物たちが分解してくれた樹木と分解される前から取り付いて生えているたっぷりと保水する苔の栄養たっぷりのふかふかのベットの上には周りの様々な樹木から飛んできた種が着床し、次々と新しい樹木の芽生えが始まっていました。

それを見たときに私はなんだか今年の頭に急死した父を思い出しました。

大きく育った木が倒れることによって次の世代に陽の目を当て、生きている時に作った体は栄養となり、新陳代謝を後押しし、森が若返るように、父がなくなったことで知らず知らずと残された私にも何かしらの芽生えが起こっているのかもしれないな。。。少なくとも私は父の死によって人生のスタンスが大分変わったような気がする。

こうやって考えると、死は必ずしも悲しいだけではない。

そんな気持ちになってその森を後にすることが出来ました。
あの、大きな大きな飫肥杉の風倒木にどんな木が育って行くのかな。
暫くしたらまた観に行きたいな。

緑の渋滞


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