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「危うし!」2022 rd.15 オランダGP F1問わず語り #15

 笑って何が悪い。  トラブルで不幸な結果といえど、誰かがケガをしたわけではない。それは、極限のせめぎあいの狭間で感興を隠せず、思わず面に出てしまうほどの激しい争いであった証左であろう。 予選・見事なユウキ  Q1,Q3と見事なラップをユウキが披露する。やはりユウキは速いドライバーだ。ノムさん曰く、エースピッチャーとホームランバッターは育てられないとのことだが、速いドライバーも然り。あとは強くなるだけだ。 ・僅差の争い  僅差の争いを演じたのは、ルクレールとフェルスタ

    • 「二代目スパ王襲名間近」2022 rd.14 ベルギーGP F1問わず語り #14

       サーキットは田舎にあるものである。  騒音に耐えうる環境で、バカでかい敷地が必要で、興味深いレイアウトを設計するなら、そう、田舎になる。少々のアクセスの悪さも致し方ない。  起伏に富んだコースが望ましい。森があるなら尚良し。オールージュなんという気取ったネーミングは、まあ許そう。  そう、F1にとっての理想のサーキットの一つ。スパ・フランコルシャンである。  全開で入っても駆け上がるには、F1マシンでさえ回転数が落ちるオールージュの坂、極限までパワーユニットの出力を試さ

      • 「強さと弱さ」2022 rd.13 ハンガリーGP F1問わず語り #13

         とはよく言ったものだ。出典は、ノムさんですけど。  遅くては勝てないのがF1であり、同時に速いだけでも勝てないのがF1だ。  毎年、楽しみなGPがある。鈴鹿は別として、モナコ、スパ、モンツァ、そして、ハンガロリンクだ。以前の私の認識では、ハンガロリンクはつまらないサーキットの代表格だった。  トラックの幅は狭く、ツイスティでオーバーテイクがなかなかできない。サーキットも比較的地味で、華に欠ける。 私が間違っていました。  でも、気づいた。これほど抜きにくいサーキットが

        • 「寝るな」2022 rd.12 フランスGP F1問わず語り #12

           今年もあのGPがやってきた。  まばゆく、思わず目を細めてしまう。夏の強い日差しではなく、未だ見慣れずまた見慣れたくもない縞々模様のランオフエリアを誇るポールリカールサーキットが舞台のフランスGPだ。  ローパスフィルターレスのカメラには、なかなかに厳しいサーキットだ。ここで試練となるのは、アンジュレーションではなく、トラックリミットでもなく、モアレだろう。  みんなフランスが大好きだ。  前半戦も残り2戦。早速振り返ってみよう。 予選・ガスリー、残念ながらQ1敗退

        「危うし!」2022 rd.15 オランダGP F1問わず語り #15

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        • F1問わず語り
          14本

        記事

          「覚醒」2022 rd.11 オーストリアGP F1問わず語り #11

           一度は行ってみたいサーキットである。  高原に広がる緑、美しい山々、澄んだ空気。これほど美しいロケーションを持つサーキットが他にあるだろうか。だからこそあのオレンジの煙は許しがたいが、それは措いておく。  レッドブルリンク。  カレンダーで最もラップタイムの短いショートサーキットである。  全開区間と鋭いコーナーを組み合わせた比較的シンプルなレイアウトで、パワーと信頼性、そしてラグビー風に言うならドライバーのディシプリン(規律)が試される。  夜に凝った演出をしなくても

          「覚醒」2022 rd.11 オーストリアGP F1問わず語り #11

          「泣け!ミック」2022 rd.10 イギリスGP F1問わず語り #10(無料)

           F1の母国グランプリである。  この国の住民はとにかく熱い。ぐるりとトラックを取り囲むようにしてスタンドが設けられ、40万人を超える観衆が詰めかける。  2022年のこのグランプリは、ピットストラテジーをめぐって論争を呼ぶ結果となった。論争のもととなったチームは、もちろんあのチームである。 予選・水を得たマックス  濡れた路面を走らせたら右に出る者のいない男マックス。Q1から生き生きとトラックを駆け巡る。 ・うれしい出来事①  Q2は、路面が悪化していく生憎のコン

          「泣け!ミック」2022 rd.10 イギリスGP F1問わず語り #10(無料)

          「泣くな、ミック!(2回目)」2022 rd.9 カナダGP F1問わず語り #9(無料)

           速いマシンと抜かれないマシン。どちらをドライブしたいだろうか?「だれよりも前で、だれよりも速く走りたい」。レーサーならそう願うに違いない。オーバーテイクはレースの醍醐味だ。だが、その望みを簡単にかなえられたらだれも苦労はしないだろう。  たとえ、遅く、渋滞を発生させ、つまらなかろうが、少しでも前でフィニッシュするために速さよりも抜かれないことを選択せざるを得ない状況もある。F1はマシンの速さを競うだけでなく、タイヤを上手に使う、簡単に言えばマシンへのやさしさを競うレースでも

          「泣くな、ミック!(2回目)」2022 rd.9 カナダGP F1問わず語り #9(無料)

          「新バクーウィナー(仮称)誕生」2022 rd.8 アゼルバイジャンGP F1問わず語り #8(無料)

           アゼルバイジャンでFIが開催される。10年前に誰が予想していただろう。この美しい市街地コースで行われる興趣あふれるGPを実現した人々に敬意を表したい。  長大な全開区間と市街地特有の90度コーナー、きわめて狭小なテクニカルセクションを併せ持つおもしろいレイアウトだ。  だが何よりも、ここの魅力はその景観だろう。本当にうつくしい市街地サーキットである。古風な佇まいを残す旧市街と近代的なビル群を持つ都市部にまたがり、世界最大の湖カスピ海に面するこのサーキットは、やや埃っぽく、

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          「新バクーウィナー(仮称)誕生」2022 rd.8 アゼルバイジ…

          「新モナコウィナー誕生」2022 rd.7 モナコGP F1問わず語り #7(無料)

           モナコGPがF1カレンダーから消えるかもしれないという。契約は今年まで。F1になくてはならない2大要素とは、モナコGP、フェラーリだが、まだモナコGPのないF1というものが想像できないでいる。  開催者は、開催続行に向けて強気の姿勢を崩していない。でも、その傲慢ともいえる姿勢は、時代についていけず姿を消していくかつての権威の一つの類型にも思え、不安はさらに増していく。  しかし、わからないことをいつまでも不安がっていても仕様がない。まずは、目の前のテレビ画面に鮮やかに映し

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          「新モナコウィナー誕生」2022 rd.7 モナコGP F1問わず語…

          「判断速すぎ」2022 rd.6 スペインGP F1問わず語り #6(無料)

           フライアウェイが一段落し、めでたくヨーロッパラウンドの開幕と相成った。プレシーズンテストでおなじみのバルセロナ・カタルーニャサーキット。1キロ超のロングストレートも今やそれほど珍しくはなくなったが、ヨーロッパラウンド開幕戦にふさわしい教科書サーキットでのグランプリだ。  スペインの日射しがサーキットに降り注いでいた。筆者はスペインに行ったことがないばかりか、海外に出たこともないのだが、テレビ画面に映るコントラストの非常に高い日なたと影の対照は、いかにもスペインのそれである

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          「判断速すぎ」2022 rd.6 スペインGP F1問わず語り #6(無…

          「泣くな、ミック!」2022 rd.5 マイアミGP F1問わず語り #5(無料)

          (全文無料) ♪カーモン、ベイビー アメリカ  ♪どっちかの夜は昼間  J-POP史に残る歌詞である。詩に込められた深い意味をつかめたことはまだないが、マイアミの昼は朝っぱらだった。  柄にもなく早起きし、眠い目をこすりながら観戦したマイアミGP。まぶしくて目を細めたのは、寝ぼけていただけか、フロリダの強い日差しゆえだろうか。類型を恐れることなく、いやむしろやりすぎくらいがちょうどいいと言わんばかりの演出で、アメリカを演じきったマイアミGP。あっぱれだった。みんなアメリカ

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          「泣くな、ミック!」2022 rd.5 マイアミGP F1問わず語り …

          「地味で安全で楽しいF1」2022 rd.4 エミリア・ロマーニャGP F1問わず語り #4(無料)

           (全文無料です)  F1においてもっとも優先されるべきは安全である。イモラは嫌でもF1の安全性について考えさせられるサーキットだ。  今日のF1の安全性は多くのドライバーの死によって築かれてきた。2015年に導入されたバーチャルセーフティカーも、ジュール・ビアンキの死をもたらした事故を教訓に導入されたものである。バーチャルセーフティカーは、見ていて決して楽しいものではない。このルールが好きな人はほとんどいないだろう。だが、安全のために重要なルールだ。  コックピット前方に

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          「地味で安全で楽しいF1」2022 rd.4 エミリア・ロマーニャ…

          「今年もF1が始まった」 F1 2022 Rd.3 オーストラリアGP F1問わず語り #3(無料記事)

           (全文無料です)  ようこそF1 2022シーズンへ。今年もF1が始まった。  オールドファンの方々には異なるイメージをお持ちの方もおられるかもしれないが、観戦歴約20年程度の私からすれば、開幕戦といえばオーストラリアGP、オーストラリアGPといえば開幕戦である。ついでに言えば、春のモナコ、初夏のシルバーストーン、真夏のハンガロリンク、夏休み明けはスパ、秋のモンツァ、そして最終戦は鈴鹿。GPは季語でもあるのだ。だいたいナイトレースなんてものは季節もなにもない...っと、

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          「今年もF1が始まった」 F1 2022 Rd.3 オーストラリアGP F…

          「ナイトレース2連戦を許さない」F1 2022 Rd.2 サウジアラビアGP F1問わず語り #2

           (全文無料)  あなたはF1のナイトレースが好きだろうか。シンガポールで2008年に初めてナイトレースが開催されてもう14年になるが、私はどうにも好きになれない。ゴルフのトーナメントと同じように、F1は昼間のものだと思っている。  確かに、ナイトレースにはナイトレースにしかない特長がある。夜ならではの光の演出が可能だし、花火は美しい。発熱して赤々と火を吹くブレーキキャリパーはいかにもフォトジェニックだ。だから、カレンダーのうち1戦くらいはあっても良い。トワイライトレース

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          「ナイトレース2連戦を許さない」F1 2022 Rd.2 サウジア…

          「F1開幕戦あるある三選」2022 rd.1 バーレーンGP F1問わず語り #1(無料)

           (全文無料です)  日本のF1視聴者は、2種類に分けられる。フジテレビNEXT派とDAZN派である。私はDAZN派である。DAZNの中継は平和だ。不用意な表現をした局アナウンサーの発言が、ハイトーンボイスで即座に全否定され、中継に寒風が吹きすさぶことはない。共感力が高い方でも安心して楽しむことができる。DAZNの中継で実況を担当するサッシャ氏の語り口は軽妙だし、なによりその語学力はF1中継になくてはならない能力だ。サッシャ氏のいない中継で、小倉氏が通訳を試みる際に、私の心

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          「F1開幕戦あるある三選」2022 rd.1 バーレーンGP F1問わ…