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紹介系エッセイのお手本(仮)

  諸君は、「もみじ饅頭」なる食べ物をご存じだろうか。カエデの葉の形をして、中に餡やらカスタード、チョコクリームやらがぎっしり詰まった、あの饅頭である。私は縁あってこの饅頭に出会ったのだがもう首ったけで、危うく主食の座に君臨しかけるほど食べまくっていた。だから、並大抵の人には負けないくらい、もみじ饅頭に関する知識を持っている。

  そこで今回は、僭越ながら、もみじ饅頭の正しい食べ方を伝授させていただきたい。その食べ方は、大きく分けて三つある。

  1つ目は「生にて食す」である。This is 王道。無難に美味しくいただけることだろう。これはこれで正しいと思うが、ひねりが無くてどうも面白くない。無限に近い個数を食べた「もみじ饅頭マスター」の私は、ノーマルな食べ方では満足できないのである。

  続いて、「レンジでチン」を紹介する。この方法は至ってシンプル。レンジで10秒ほど加熱すれば出来上がり。まるでお店の焼き立てかのように美味しいもみじ饅頭を楽しむことができる。外はふんわり、中はトロトロに。ああ、先人よ。電子レンジを発明してくれてありがとうホンマに。なんて思いながら食べていると、気付けば12個入りの箱の中は空っぽになっている。

  最後の1つは「秘技・揚げもみじ」である。前に述べた2つは見た目が変わることがないが、これは見た目が少し変わる。言い換えるなら、「もみじ饅頭(アローラの姿)」とも言うべきものである。ただし、この方法はとても手間がかかる。なんてったって油で揚げるのだから、色々と準備が必要になる。

  ただ。ただ。その苦労をひっくり返すほどの旨さである。サクサク衣に、モチモチ生地。中からジュワッと餡ホロリ。これはどんな食わず嫌いでも、己が味覚に微震が走り、思わず舌鼓を打つこと間違いなし。

  以上、簡単ではあるが三つの食べ方について紹介した。諸君もぜひ試してみてほしい。ちなみに私の一押しの食べ方は・・・・・・。おっと、「秘技・揚げもみじは邪道委員会」の役員たちが私を追っているようだから、そろそろ筆を置くことにする。さらば。

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