見出し画像

私のこと

三つの坂

気づいたら全部失っていた! 20代、30代、40代、仕事・結婚・子育てと駆け抜けてきた。それが、50歳を過ぎ、家族が崩壊し、失業し、大切な母親を亡くし、希望を失うことになるなんて! 

人生何が起こるかわからない、なんてよく言うけど、ホント、それは突然やってくる。「夫婦は他人」ってよく聞く言葉、今まで気にもとめなかったけど、今となってはしみじみ実感している。

確かに、私たち夫婦は、大分価値観が違っていたから、よくぶつかりあった。だけど、結婚生活20年も送っているし、まぁ、何やかんやこのままだろうと思っていたのだ、あの日まで…

泥沼劇は、調停にまでもつれ込み、辛くみじめな日々が何年も続いた。お家騒動中は、精神的にも経済的にも追い込まれ、母親の死に際にも行けなかった。そして、いまは、休戦中

それでも、何とか生きている。持ち前の挫折力を駆使しながら。誰かが言っていた、人生には三つの坂があるって。「上り坂」「下り坂」そして、「まさか!」だって。

わたしは今、転落したその「まさか!」から、また上を目指して這い上がろうとしている。しなやかにしたたかに!


葛藤

新卒の企業でキャリアを積んだ20代、でも、まだまだ寿退社なんていう時代だったから、30歳で潔く結婚退職し35歳で出産した。夫は、優しく、よく働き、子どもも二人、一姫二太郎、何もかもが順風満帆だった。

何よりも私は、出産しても、自由に、自分の好奇心のまま行動できたことがとっても幸せだった。それが出来たのも、家事・育児・仕事を(ときには妻の分まで)スマートにこなすスーパー夫がいたからだった。

夫は、早朝から夜遅くまで、平日から週末まで、家事も仕事もママ友・パパ友つき合いも、いつでもどこでも何でもこなす完璧夫だった。だけど、夫が完璧だったら、夫婦は幸せだと思う?答えは、Noだ!

何でもそうだけど、正論がすべてではない。物事には、背景があり、配慮やタイミングなんていう少々メンドクサイものを酌んだコミュニケーションが必要なことが多い。相手との向き合い方は、たとえ正しいことを言っていても、一方通行ではだめなのだ。

少なくとも、家事育児が苦手な私は、どんどん追い込まれていった。同時に、娘との関係にも悩んでいた時期で、初めての子育て、あふれる情報、さらに、仕事との両立、たくさんの生きづらさを抱えて壊れていった。

考えるより体を動かし、物事スマートに進める夫と、頭で考えすぎて理屈くさく行動が不器用な私。完璧な夫はまわりからも羨望のまなざしを受け、私の弱音は、私のわがままとなる一方だった。

四足のわらじ

頭の中が忙しい辛い日々が続いた。そんな時、私は、子育てや女性の生き方を研究している教授をたずね、大学院で学ぶことを選んだ。そこで、生きづらさの原因を解くために学びを深めていった。それは、決して独りよがりの学びではなく、子どもとの向き合い方、家族のあり方、これからの生き方の指針を仰ぐ学びだった… しかし、夫の理解を最後まで得ることはできなかった。

応援してくれる人が誰もいないなか、よくわからない気合のまま、家事・育児・仕事・学業と四足のわらじを履き、42歳からの2年間を過ごしたのだ。

何歳になっても学ぶことは大事だ。確かに、そのタイミングや環境が良かったとは言えなかったかもしれない。だけど、後悔はしていない。学ぶことは、これまでの足跡を振り返ることも、時勢にあわせアップデートすることも、さらに気づきからリセットもできるから。

はじめて、これまで無意識のうちに、いろいろな呪縛に縛られていたことに気付かされた。そして今もなお、これまで常識としてきたことを、一つ一つ問い正している。

知らないことは怖いこと! 調べてない常識は、そのままでは非常識!

いろいろ調べて柔軟に考えることは、受け入れる間口が広くなり寛容にもなれる。だから、多様化が進む今を生きるのにちょうど良い。

私は現在、夫と夫についていった娘と別居し、息子と二人で暮らしている。子どもたちは、母親と父親の家を行ったり来たり。根拠のない常識や慣例に負けぬよう、母だけでなく子どもたちも、今後もたくましくあってほしい。

これから

昭和・平成・令和と時代は大きく変わり、女性の社会的地位も変化してきていると言われる。世の中の常識は、いつもその時の風に大きく巻かれるものだ。

少しずつ変化してきた女性の在り方も、あっという間に元通りってこともある。だから、声をあげ続けることが大事だ。

さて、実際、50年生きてきても、やっぱり、時代は変わっても、そんなに女性の生きづらさの原因は変わっていないと思う。だから、女性の時代だとか、女性活用とか言われ、女性が持ち上げられ道を迷わぬよう、周りに翻弄されずに自分のライフスタイルを見つめて欲しいと願う。

今後は、三つの坂を経験した私の人生の物語を、必要な人に届けたい。そして、新しい学びがあればシェアしたい。ふっとした瞬間、気持ちが楽になったり、共感してもらえたりしたら嬉しいから…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?