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【舞踊】舞踊名作集Ⅱ

 2023年5月27日(土)、国立劇場(大劇場)に、『舞踊名作選Ⅱ』を鑑賞に行きました。「日本舞踊」に詳しくない私が、このような記事を書くのは大変おこがましいのですが、記念に残したいと思います。
 あと、記事にしたいことはたくさんあるのですが、仕事が忙しくなると、noteでの記事の投稿や、他の方の記事を読む頻度も下がってしまい、本当に残念です。

■「舞踊名作集」について
 初代国立劇場が、今年の10月末で閉場になるにあたって「初代国立劇場さよなら公演」が開かれています。日本舞踊では「舞踊名作集」が、3回に渡って上演されます。
 今回2回目でしたが、1回目(「舞踊名作集Ⅰ」)を私が観たのは昨年の9月でした。そのときは、ほとんど初めてで、大劇場の広さを感じるとともに、3階席から遠目で鑑賞したのを覚えています。
 最近は、割と落ち着いて鑑賞できるようになってきて、逆に、劇場の古さを感じる部分も出て来ました。そして、今回は、2階のよく見える席から、少し緊張感をもって鑑賞することが出来ました。
 以下、各作品について、少しだけメモを残します。

■各演目についてのメモ
1.松・梅・竹(荻江)
 「長唄」や「常磐津」、「清元」などの音楽は、たびたび目にするのですが、「荻江」とは何だろうと思い、少し調べてみました。

 荻江節は、初世荻江露友(?~1787)によって、長唄からわかれて独立した種目である。<中略>当初は単に劇場をはなれた長唄であったが、しだいに唄い方が長唄と相違するようになり、長唄とは別種の音楽として発達することになった。<中略>長唄が派手で、三味線が舞踊に結びついているため、合方が入ったり上調子が活躍したり、また囃子が加えられて器楽的な傾向が強いのに対し、唄本位な地味な音楽で、合方を入れず、上調子は活躍せず、囃子を伴うこともないのが普通である。

『日本の音楽<歴史と理論>』P47より

 部分的に、用語で調べたりするのですが、体系的に理解できていないのが現状です。そして、何より音楽なので、聴く耳を持たなければ、と思いました。まだまだです。

 そして、プログラムには、以下の記載がありました。

 『松』に『竹』の順ですと渋いものが続くので、華やかな『梅』を真ん中に置いてメリハリをつけました。

公演プログラム、阿部さとみさんの「演目解説」の中の(振付・出演の)藤蔭静江さんの言葉より

 確かに、松の舞踊はしっかりとした感じ、梅は華やか、竹はきりっとした感じでした。歌詞によると、竹は、蜀の国の七賢人が、竹林で酒を飲んで楽しむことに寄せている部分があるようです。

2.祭りの花笠(常磐津)
 ここでいう「祭り」は、浅草の三社祭です。猿若清三郎さんが、ほろ酔い機嫌の鳶の頭から、面をつけた面白みのある役まで、様々な役を踊られました。祭りの華やかな感じが出ていて、個人的には、一番面白いと思った演目でした。それもあって、写真は、三社祭の写真を使わせて頂きました。

3.積恋雪関扉-下の巻-(常磐津)
 「小町桜の精が、天下を狙う大伴黒主の野望を妨げようとするスケールの大きな舞踊劇です」とプログラムにありました。六歌仙を題材とした演目は、能などでも色々あるようです。この大伴黒主と小野小町の対比は多いのかな、と思いました。喜撰法師と小野小町という組み合わせも観たことがあるように思います。
 今回、関兵衛(大伴黒主)は藤間蘭黄さん、墨染(小町)は市川翆扇さんでした。
 後半、関兵衛と墨染が、それぞれ正体を顕し、激しい立廻りとなりますが、特に、翠扇さん演じる墨染(小町)の海老反りする形が印象に残りました。文化デジタルライブラリーの歌舞伎事典によると、相手の威力に圧倒される様子などを様式的に表現した演技と、ありました。この『積恋雪関扉』も代表作してあげられています。

4.傀儡師(清元)
 プログラムのよると、傀儡師とは、人形を遣う旅芸人のことです。江戸時 代中頃まで市中を回っていたそうです。
 今回、傀儡師を踊られたのは板東三津映さんでした。
 舞踊では、傀儡師が人形を遣ううちに人形になって踊り、嫁人形→三人の息子の話→八百屋お七の話→青物づくし、のように、言葉の連想で、歌詞が続いていきます。
 言葉の連想は、また論理とは違い、面白いと思いました。

5.瓜盗人(長唄)<ネタバレあり>
 最後は、狂言『瓜盗人』を下敷きとした作品でした。太郎冠者を西川蓑乃助さん、主人を尾上菊之丞さん、猪を藤間涼太朗さんが踊られました。
 私は、この主人と太郎冠者の話を観ると、現代の上司と部下の関係を考えさせられることが多いです。今回も、太郎冠者のぼやきなどもあり、面白かったです。
 また、狂言の要素に日本舞踊の要素が加えられ、キレがあるように感じました。
 そして、松羽目物で背景に松が描かれていましたが、途中、背景の松が、取り外され(上にあがって行き)、くりぬかれた形になりました。「なんでだろう?」と思っていましたが、後半、くりぬかれた奥を、猪が歩く形になり、遠近感が出る演出でした。会場からも、「面白い演出だね」と声が上がっていました。

■最後に
 日本舞踊の素人が、あれこれ書かせて頂いたのですが、書いてみて良かったです。舞踊の視覚的要素や、音楽の聴きどころなど、理解不十分な面が多いのですが、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

 後で追記(誤りがあったら修正)があるかもしれませんが、本日は以上です。

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