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【演劇】月の岬

 2024年2月28日(水)、池袋の東京芸術劇場に『月の岬』を観に行きました。記録を残します。

■公演概要

(1)日程・会場等

  • 日程:2024年2月23日(金)~3月3日(日)

  • 場所:東京芸術劇場 シアターウエスト

  • 上演時間:約2時間(休憩時間なし)

(2)スタッフ・キャスト

  • 脚本:松田正隆

  • 演出:大河内直子

  • 出演:谷口あかり、陳内将、梅田彩佳、石田佳央、田野聖子、岡田正、奥田一平、松平春香、山中志歩、赤名竜乃介、天野旭陽、真弓、金子琉奈

(3)あらすじ

夏。昭和50年代半ば、長崎の離島にある平岡家。
長男・信夫と(妻となる)直子の結婚式準備に追われる長女の佐和子。二女・和美とその夫・幸一、信夫の高校の生徒たち、佐和子の幼馴染・悟…。
平凡な日常に微かな亀裂が入り、やがて奥底に抱えていた暗闇が広がっていく。
1997年に初演、読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した松田正隆の名作を新キャストで上演。

公式HPを少し加工

■感想

(1)観に行ったきっかけ

 私は九州の出身で、舞台が長崎であるということから関心を持ち、観劇しました。脚本の松田正隆さんは長崎県出身の方で、出演された方にも長崎や九州出身の方が多く、(こなれた感じの)長崎弁が懐かしかったです。
 県北部の離島で季節は夏。虫の音が聞こえる舞台でした。

(2)長崎の話(水道の話など)

 いきなり個別の話で恐縮ですが、舞台の中で「私は水道から塩水が出て来るんじゃないかと思っていた」といったような台詞があり、昭和50年代の長崎の水道はどうだったのだろうか、と考えたりしました。(長崎市の話ですが)原爆投下などもあり、整備が他県より遅れていたのかもしれません。(後から調べてみます。)

 また、長男の信夫は高校の先生をしていて、東京の私立大学に進学したいと悩む生徒もいました。地方から都会に出る夢のある話という受け止め方も出来るでしょうが、経済的問題や地理的問題、地方と中央の差を感じる場面でもありました。

(3)記憶の話(長女・佐和子を中心に)

 そして、あらすじに「平凡な日常に微かな亀裂が入り、やがて奥底に抱えていた暗闇が広がっていく。」とありますように、過去の話が出て来ます。
 あまりに強烈な体験があると、忘れることも出来ず、記憶に蓋をして日常生活を送ることになるのかもしれません。
 ぼんやりとした部分(登場人物によって認識の異なる部分)もあり、この戯曲の題名である『月の岬』は、輪郭のぼやけた月のように(個人的には)感じました。意識と無意識の境と言いましょうか。

 平岡家は、長女の佐和子、長男の信夫、二女の和美の三人構成です。両親は既に他界しているようで、二女は既に結婚しています。
 長男と長女が、父親替わり母親替わりで支えあって来た部分もあったのかもしれません。それが、長男・信夫の結婚でバランスが少し崩れる感じがしました。
 逆に、新しく入ってくる(信夫の妻となる)直子ですが、強さ(したたかさと言ってもよいかもしれませんが)を感じる場面もありました。
 核家族化や一人暮らしが増えていますが、「家族」も組織の一形態で、本来、こうした代替わりのような部分があるのかもしれません。

■最後に

 自分の子ども時代・学生時代を思い出しながら観劇する部分がありました。特に美化することもありませんが、途中にも記載したように、記憶というものは、ぼんやりしてくる部分もあるように思います。
 あと、終演後のアフタートークで、信夫役の陣内将さんが、「ホラーの要素もあり」と話していましたが、その部分も納得出来る舞台でした。

 本日はここまでにしたいと思います。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。冒頭の写真は「おぼろ月」で検索し、Tome館長さんの画像を使用させて頂きました。ありがとうございました。

<おまけ>
 ポスター(チラシ?)の画像です。

『月の岬』ポスター(チラシ?)

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