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【日本舞踊】 夏の親子企画の鑑賞と「舞踊名作集Ⅲ」予告の記事を読んで

 2023年7月28日(金)、国立劇場(小劇場)で「親子で楽しむ日本舞踊」を鑑賞してきました。後段、『舞踊名作集Ⅲ』の「鳥獣戯画絵巻」のインタビュー記事を読んだ感想も少し書きました。


■親子で楽しむ夏休み親子企画

 夏休みです。国立劇場・国立能楽堂など(日本芸術文化振興会)では、夏に、子供も来場出来るような「親子企画」を、毎年開催しているようです。
 2023年のホームページ → リンク
 よくあるご質問によると、子供とは、観劇日に18歳以下であれば未就学児でも問題ないようです。(各演目で少し違い、詳しくはHPをご覧ください。)

 親子の方が優先的にチケットを購入出来て、席に余裕があれば一般の方も後日購入できるような仕組みでした。私は初心者であることもあって、解説が詳しいのではないかと思い、後日購入で参加して来ました。

■「親子で楽しむ日本舞踊」の公演について

(1)構成

 「ふれる」「学ぶ」「見る」の三部構成のようでした。「ふれる」は、日本舞踊の<体験>で、別途申込が必要でした。
 私は、<公演>の「学ぶ」「見る」から鑑賞しました。

(2)「学ぶ」について

 日本舞踊家の若柳薫子さんによる説明がありました。配布されてパンフレットにも解説があり、初めて知ることもいくつかありました。あわせて、少しだけメモを残します。(書きすぎない程度に)

・「舞」と「踊」の違い
・江戸時代「歌舞伎」の中の「おどり」の部分だけを、だれもが習える形にしたのが「日本舞踊」
・「曲」には「歌詞」がついているのがほとんど。
・踊る人=「立方たちかた」に対して、その曲を演奏する人たちを「地方じかた」という。
・演奏者には、と①太夫(唄い手・語り手)、②三味線方がある。あと、③囃子方もあり。
・太夫と三味線は「山台やまだい」に座る。
・太夫で、真ん中に座るのがタテ、左どなりがワキ、そこから順に、三枚目、四枚目となる。人数は、二枚、三枚と数える。
・三味線方は、一挺いっちょう、二挺と数える。
→確かに、「◯挺◯枚」という言葉を聞いたことがあります。
・日本舞踊の型として「波」や「祭」の型を少しやりました。

(3)「見る」について

 常磐津『雷船頭』が上演されました。
 立方は、船頭:花柳寿太一郎さん、雷:西川扇重郎さんでした。

「浴衣姿の粋でカッコイイ船頭と、怖そうでありながらユーモアたっぷりの雷、奇想天外な組み合わせによる、踊りの面白さあふれる舞台」

チラシより抜粋

 船頭は、粋でいなせで、人気があったのでしょうね。江戸時代の風情を感じます。また、雷の出立というか化粧が結構濃く、舞台映えするように作られているのかな、と思いました。怖さもある一方、コミカルで面白かったです。(日本舞踊や邦楽は、初めて知ることが多く、感想が少なくすみません。)

 また、最後に、船頭さんや雷さん、若柳さんたちが、ホールで、子供たちを見送る時間があったのですが、写真や動画を撮影する人で殺到していました。激しかったです。私は、写真までは控えました。

■最後に(『舞踊名作集Ⅲ』「鳥獣戯画絵巻」)

 余談ですが、8月11日(金・祝)、「舞踊名作集Ⅲ」が上演されます。
 国立劇場のHPには、出演される井上八千代さんのインタビューや、演目の一つである「鳥獣戯画絵巻」の稽古場リポートなどが掲載されていました。ここでは「鳥獣戯画絵巻」の記事だけ、リンクを貼らせて頂きます。

 この記事のなかで、藤間秀嘉さんの特別インタビューがありました。少しだけ抜粋します。

(昭和45年9月初演時)当時家元さん(四世藤間勘右衛門師・二代目尾上松緑丈)には「一緒ではダメだよ。踊りは合っても肚が違うんだよ、それぞれに」ってよく言われました。<中略>
私らは女狐の役をやってましたけれども、一人ひとり違う女狐なんですよ。ただ女狐が4人出てるんじゃない。それぞれが違うと物が大きくなるんです。ただの群舞じゃありませんからね。振りを合わせつつ、自分っていうものを持つ。家元さんが「何を踊っても自分だよって。一緒になっちゃダメなんだ」っていうんです。みんな自分というものを持ってなきゃ。はみ出るんじゃなくて、振りは揃ってるんだけども、自分の個性と与えられたお役というものを大切にしていただきたいですね。

国立劇場のHPより抜粋

 私は大変驚きました!
 群舞ではないこともありますが、みんなで踊るので、みんなに合わせることに重点が置かれるのかな、と私は思っていました。極端に言えば、「自分を出さない(自分を殺す)」ことを要求されるとも言えましょう。
※「自分を殺す」という表現が強いかもと思い、「自分を出さない」を追記してみました。

 しかし、「振りを合わせつつ、自分を持つ」という言葉があり、驚くとともに大変感動しました。
 「日本舞踊らしさとは何か」、「その歴史とは」、「表現するとはどういうことか」、そして「日本らしさとはどんなところにあるか」、意外性を持って考え直す機会となりました。

 本日は以上です。

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