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【国立博物館】本阿弥光悦の大宇宙

 2024年2月3日(土)、国立博物館に特別展『本阿弥光悦の大宇宙』を観に行きました。記録を残します。

■特別展概要

(1)会期・場所

  • 会期:2024年1月16日(火)〜3月10日(日)

  • 場所:東京国立博物館 平成館

(2)本阿弥光悦とは

 本阿弥光悦ほんあみこうえつ(1558~1637)は、「刀剣三事」(磨礪とぎ浄拭ぬぐい鑑定めきき)を家業とする名門一族に生まれで、光悦自身も優れた目利きの力量を持ち、徳川将軍家や大名たちに一目置かれていたようです。
 他方で、光悦は家職(家業)だけでなく、能書(書の名人)として知られ、さらに漆芸や陶芸、出版などさまざまな造形に関わりました。光悦については、家業はもとより、こうした他の分野での業績を評価する声が高いようです。

 また、本阿弥家は、京都の町衆(裕福な商工業者)の一員として、さまざまな職種の工人(職人)たちと信仰および血縁による紐帯を重ねていました。
 本展では、総合芸術家としての光悦に迫るとともに、法華町衆ネットワークからのアプローチも着眼点の一つのようでした。

(3)章立て

  • 第1章:本阿弥家の家職と法華信仰(光悦芸術の源泉、「刀」と「信」

  • 第2章:謡本と光悦蒔絵(炸裂する言葉とかたち、「漆」

  • 第3章:光悦の筆線と字姿(二次元空間の妙技、「書」

  • 第4章:光悦茶碗(土の刀剣、「陶」

■感想

(1)全体を通して

 平成館全体を本阿弥光悦の作品で展示し尽くすということで、光悦の多才さを感じることが出来ました。刀剣が想像していたよりも少なく、書や漆芸、陶芸などで名を残したということも実感出来ました。
 私は、文学作品が好きなので、能の謡本の表紙装幀や、和歌の散らし書き(例えば、「蓮下絵百人一首和歌巻断簡」や「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」など)から関心をひろげました。

(2)一番印象に残った展示

 全体を通して上手く解釈する視点は十分に持ち合わせていないのですが、個々の作品で美しさを感じたのものは幾つかありました。
 その中でも、観ていて一番心が落ち着いたのは「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」です。13メートルに及ぶ巻物で、三十六歌仙の歌が散らし書きされています。紀貫之や伊勢、山部赤人などの文字が読めました。そして、下絵は俵屋宗達によって描かれたとされており、海の向こう岸に群れをなして飛び渡る鶴が、右から左へと金銀泥で描かれています。
 ミュージアムショップで、同作のマグネットが売っていたので、1つ購入して帰りました。

(3)キーワードについて

 ここだけ愚痴になってすみません。「本阿弥光悦の「大宇宙」」といった表現や、「「炸裂」する言葉」という表現などが、個人的には少し大仰な印象を受けました。
 もちろん、展示会全体で一貫した「世界観」を築いているのでしょうし、私がまだ光悦の「世界観(美意識)」を十分に理解していないからかもしれません。

 他方、「刀」「信」「漆」「書」「陶」といった一文字で表す切り口や、順番は分かり易く思いました。特に、最後に「陶」が来ており、茶碗を手に抱えた時の温もりが想像されたり、ほっとするような気持ちになりました。

(4)まだまだ初心者です

 私は、絵画(屏風などを含む)を中心に鑑賞することが多く、「刀剣」「茶碗」「書」など、どのような点から鑑賞すればよいか、まだまだ(とちうか、ほとんど)理解出来ていません。
 他の方の記事やブログなどを読むと、例えば、今回の展示で一堂に介した〇〇を、見比べることが出来たなど、着眼点を持って鑑賞していることに気づくことがあります。
 今年はもう少し、本などで学び、絵画以外の作品についても理解を深めたいです。

(5)補足:音声ガイド

 音声ガイドについて記載します。
 今回レンタルの音声ガイドは1台650円でした。
他方、自分でスマホにダウンロードし、持参したイヤホンで聞くタイプも650円(同額)でした。
 いつも後者の方が50円から100円高いのですが今回同額のため、何回でも聞ける後者がオススメのように思います。
 声の出演は、ナビゲーターが中谷美紀さん、ナレーターが目黒光佑さん、特別出演が松嶋雅人さん(東京国立博物館 学芸企画部長)でした。

 本日はここまでにしたいと思います。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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