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【演劇】帰れない男〜慰留と斡旋の攻防〜

 2024年5月5日(日・祝)、下北沢の本多劇場で『帰れない男〜慰留と斡旋の攻防〜』を観劇しました。東京公演は明日6日まで。その後5月中に、愛知、島根、富山、大阪、宮城で上演されます。
(公演概要は後述します)
 ネタバレありなので(その部分には記載しています)、これから鑑賞する人は、その部分を読まない方がよいかもしれません。

■あらすじなど

(1)あらすじ

招かれた屋敷にて、帰り方を忘れて滞在し続ける男。引き留める代わりに、目で共謀を訴えかける若い女。度々留守にして、男と妻の時間を作る屋敷の主人。遠くの宴と、呆れるほど長い廊下を背にした幻想譚。

HPより一番短いあらすじを抜粋。

(2)観劇のきっかけ

 あらすじを読み、男が屋敷から帰れなくなるホラー的要素を持った作品なのかなと思いました。
 そして、副題の「慰留と斡旋の攻防」に目が行き、登場人物たちの思惑が交錯するストーリーなのかなと想像したのですが、その点は、私の想像以上の展開でした。

(3)登場人物

 主要な登場人物は3人です(だと思います)。
①野坂宇一(演:林遣都):屋敷から出られなくなってしまう小説家。
②山室瑞枝(演:藤間爽子):慰留する若い女。
③山室征太郎(演:山崎一):屋敷の主人(旦那様)で瑞枝の夫。

それに、以下の登場人物が加わります。
④西城好朗(演:柄本時生):野坂を連れ戻しにくる友人。野坂を批判的に見る面もある。
⑤石森政男(演:新名基浩):屋敷の下男。
⑥江見文子あやこ(演:佐藤直子):屋敷の女中。
 この6人の思惑が交錯します。

■感想と解釈

(1)解釈(ネタバレ含む)

 それぞれの思惑について色々な解釈が出来ると思いますが、自分なりの解釈を書いてみます。
 誰の視点に重点を当てると面白いか、考えながら観る部分がありました。

 まず、屋敷の主人である征太郎です。妻の瑞枝が自分にとって後妻であり、年若い故に引け目みたいなものを感じているのでしょうか。それ故に、若い小説家(しかも、征太郎自身が尊敬している)を斡旋します。ここから、様々な感情が発生します。①若い二人に嫉妬を感じるが故に、瑞江への愛情を確認出来る面があります。②二人の仲を不愉快に思いつつも、瑞江が本気になるかもしれないという期待。本気になったらなったで、「やっぱり!」という優越感に似た喜び。
 次に、若妻の瑞江です。夫の斡旋に乗りつつも、試されていることを見抜き、夫への仕返しを考えている側面があります。また、彼女自身が、若い男性、若しくは小説家である野坂個人に惹かれ、彼らを慰留する側面もあります。
 最後に、野坂についてです。連れ戻しに来た友人・西城との会話で、(野坂の)妻から距離を置きたい状況が明らかになります。
 男は屋敷から出られるのか、最後の終わり方も大変面白かったです。

(2)その他の感想

 ホームページにて、作・演出の倉持裕くらもちゆたかさんの以下のコメントがありました。

今作は、内田百閒うちだひゃっけん(1889〜1971)の作品から着想を得たので、昔の文学作品の香りが少し漂うかもしれません。

HPより抜粋。()内補足。

 また、Wikipediaには以下の記載がありました。

(内田百閒は)夏目漱石の門下生の一人で、夢の光景のように不可解な恐怖を幻想的に描いた小説や、独自の論理で諧謔に富んだ随筆を多数執筆し、名文家として知られる

Wikipediaより抜粋。()内補足。

 確かに、登場人物たちの人間関係や衣装、舞台セットなどから、明治・大正の香りが伝わって来ました。そして、出演者の方々は、多様な心理を演じられていてとても良かったです。特に、藤間爽子さん演じられる瑞枝は、すごく奥深い役だったように思います。
 ロビーでは(株)M&O playsの他作品のDVDが販売されていましたが、本作のDVDや戯曲本が販売されていれば、購入して細かい部分を見返してみたい位に思いました。

■最後に

 以下三点記載します。
 本日の記事の解釈は、あくまで私個人の解釈です。これから購入したパンフレットで、倉持裕さんや、俳優陣の対談などを読んでみたいと思います。
 また、今回、初めて下北沢にある劇場に来てみました。小劇場など多いようです。その他、古着屋なども多く、若者の町という感じがしました。また、観劇などで来てみたいです。
 最後に、舞台セットの障子から着想し、冒頭の画像は、きゅーさんの「障子」の画像を使用させて頂きました。どうもありがとうございました。


■公演概要

  • 東京公演日程:2024年4月13日(土)〜5月6日(月)@本多劇場

  • その後5月中に、愛知、島根、富山、大阪、宮城での公演を予定。

  • 製作:(株)M&O plays

  • 作・演出:倉持裕

  • 出演:林 遣都、藤間 爽子、柄本 時生、新名 基浩、佐藤 直子、山崎 一

 ちょっと慌ただしいような文章になった気がしますが、本日は以上です。
 ありがとうございました。

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