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【美術館】マルク・シャガール 版にしるした光の詩

 2023年8月19円(土)、世田谷美術館に『マルク・シャガール 版にしるした光の詩』を観に行きました。会期は、2023年7月1日(土)〜同年8月27日(日)です。

■シャガールについて

詩情あふれる世界を幻想的で色彩豊かに描いた愛の画家マルク・シャガール(1887-1985)。帝政ロシア領ヴィテブスクにユダヤ人として生まれ、戦禍や革命に翻弄されながらバリやベルリン、ニューヨークヘと活動の地を移した異邦人画家という境遇も、作品に陰影を与えその妙味を奥深いものにしています。

世田谷美術館HP「開催概要」より抜粋

 世田谷美術館のHPやチラシにあった紹介文を引用してみました。
 私の中でも、シャガールの絵は「幻想的」で、「赤・青・黄・緑」などの色がぼんやり浮かんだ「色彩豊か」な印象があります。

■今回の展示
 今回は、絵画とは違った「版画」による作品でした。以下6つの版画集から作品が約140点が展示されていました。『ラ・フォンテーヌ寓話集』『ダフニスとクロエ』『悪童たち』『ポエム』『馬の日記』『サーカス』

①『ラ・フォンテーヌ寓話集』
 「ラ・フォンテーヌ」はフランスの詩人です。イソップ寓話をもとにした詩を残しており、その挿絵を「シャガール」がモノクロの版画で描いています。展示パネルを見ると、フランスを代表する作品に、ロシア出身のシャガールが挿絵を描くことが問題になったとありました。両作品(寓話集とシャガールの絵)の共通性からシャガールが擁護され、認められていく過程を、私は興味深く読みました。
 『ラ・フォンテーヌ寓話集』には、「金の卵を産む雌鶏」や「牛と同じくら大きくなりたいと思った蛙」など、子どもの頃に読んだ話も多く含まれており、もともと物語が好きな私は、1つ1つ読みながら足を進めました。

②『ダフニスとクロエ』
 古代ギリシアの恋愛物語です。レスボス島を舞台に、少年・ダフニスと少女・クロエの恋愛が成就するまでが描かれていました。

③『ポエム』
 シャガールが書いた「詩」と合わせた版画集でした。詩の中では、愛する人への思いや、故郷への思いが語られていました。詩も版画もそうなのですが、シャガールが「愛の画家」と呼ばれるのが、分かったような気がします。

④『サーカス』
 シャガールが書いた「文章」と合わせた版画集でした。シャガールは「サーカス」に関心を持っていたようです。「猛獣」や「猛獣使い」「道化師」「軽業師」などが描かれ、色彩豊かで幻想的な世界が広がっていました。

■シャガールの詩・文章について
 今回は、詩や文章と絵を、比較的バランスよく見ることが出来たように思いますが、後半、私は、シャガールが書いた詩や文章に関心を持ち(釘付けになり?)、『ポエム』や『サーカス』のエリアを行ったり来たりしました。絵(版画)だけではなく、彼が書いた詩や文章にも、その世界観が現れているように思います。

 一つ残念なのは、図録などでは、絵(版画)が中心となり、詩や文章がなかなか載っていないことです。両方を見比べながら読むことが出来れば一番よいだろうな、と思いました。

■その他の展示
 世田谷美術館では、その他に以下の展示がされていました。
・「雑誌にみるカットの世界」(『世界』(岩波書店)と『暮しの手帖』(暮しの手帖社))
 こちらの会期は、2023年8月5日(土)~同年11月19日(日)です。
・「魯山人の支援者ー塩田岩治と南莞爾」
 陶器の「雲錦大鉢」はきれいでした。

 本日は以上です。

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