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岸田首相と「子分の威厳」

憲法改正はほったらかし


岸田首相の「国賓待遇」訪米については、「よくやった」という声と、「ポチぶりが見苦しい」という声がありましたね。

前者の声のほうが大きかったようです。「得意の外交」で久しぶりに得点を稼いだと見たほうがいいでしょうね。


憲法改正をほったらかして、何をやってるんだ、と私は不満でしたけどね。

日米同盟が強化された、というのも印象論で、何が具体的にそうなったかわからない。

今の9条のままでは限界があるだろう、というのが普通の見方ではないでしょうか。

でも、憲法についての言及はまったくない。


晩さん会でのバイデンの「意味不明の英語」が話題になっていたけど。

We both remember the choices that were made to forge a friendship that were once only a devastating a fight that existed before!


岸田やクリントンもタキシードなのに、なぜバイデンはスーツなのか?それと、このバイデンの話が意味不明と海外でも話題になっている。『私たち2人は、以前は壊滅的なケンカしかなかった友情を築くためにした選択を覚えています!』 は?


川勝・静岡県知事もそうだったけど、年寄りになると「正しい構文」が作れなくなるから、「何が言いたいか」を、崩れた構文から読み取らなければなりません。

たぶん、バイデン大統領が言いたいのは、

「ぼくら、昔すごい喧嘩したけど、いまはすごい仲良し。ってことになってるから、覚えておいてね」

ということだと思う。


でもそれは、朝鮮戦争以来、もう70年以上、アメリカ側からずっと聞かされてきた政治宣伝なわけです。もう耳タコ。


岸田が広島出身ということもあって、

「あ、広島の件もあったけれども! それでも、いまはすごい仲良し!」

と、「広島」を材料に、「強い同盟感」をさらに念押しされた点が新しいのでしょうか。


やっぱり、憲法を改正しない限り、対米関係でも、日本の「独立」に関しても、新しいことは何も起こらないと思うんですね。


ひとり頑張るタマキン


国内では、岸田が留守の間に、憲法審査会が開かれて、玉木雄一郎・国民民主党代表が、憲法改正に向けて、ひとり気を吐いていました。


前回、中谷与党筆頭幹事から「起草に向けた機関」を創設する旨の発言があり、衆議院憲法審査会規程8条では、国会の閉会中も開会できるとされているのに、具体的な条文案づくりは1ミリも進んでいない。それなのに、岸田総理の威勢の良い掛け声だけは続いている。残念ながらパフォーマンスにしか聞こえない。(中略)

もし今の任期中に憲法改正を目指すのであれば、今国会あと10回の審査会で、憲法改正のテーマを絞り込み、条文案を作らないと間に合わない。果たしてできるのか。正直、絶望的だと言わざるを得ない。明確なスケジュールや戦略もなくダラダラと時間を浪費すべきではない。具体的なスケジュールを示してほしい。(中略)

憲法改正をやるやると言ってやらない与党自民党と、一字一句憲法を変えてはならないとこだわる野党第一党との間の奇妙な共闘関係が続く「ネオ55年体制」が続く限り、憲法改正をめぐって野党は割れ続け、結果、政権交代も実現しないのではないか。


しかし、メディアの関心も国民の興味も、憲法改正に向いていない。

むしろ、これからは目は「政局」に向けられ、早期の解散総選挙の可能性に移るでしょう。


現在の票読みでは、立憲民主党が意外に強いと言われている。

「憲法で野党が割れ続けるかぎり政権交代はない」という玉木の言にかかわらず、立民は、憲法なんかに触れなくても政権交代できると思うかもしれない。

でも、それもいつもの愚かな皮算用で、結局与党が勝ち、「ネオ55年体制」がだらだら続く、と私の長年の経験できたえられたカンが言っております。


とはいえ、不確定な要素が多い。

中国、北朝鮮ふくめた安全保障面。

「もしトラ」前後の情勢。

もしかして自民党の分裂とか。


岸田首相が、憲法改正を問う解散総選挙にうって出たら見直すけど。

まあ、面白くはなっていますよね。


威厳の問題


それはともかく、私が首脳会談でいつも気になるのは、首脳同士の「目線」なんですね。


私は、サラリーマン時代に、社長にくっついて、他社の社長とか、外部の有力者とかに会うことがありました。

そのさい、「首脳会談」の写真を撮るとき、いつもすごい気をつかうんですね。


とくに、相手がこちらよりも「強い」場合。

あっちが「親分」の場合。

親分のほうはあまり気にしなくていいけど、「子分」のほうは、卑屈な「絵」にならないよう、注意するんですね。


いちばんよくないのは、「子分」が「親分」をすがるような目で見るとか、過剰に媚びているように見えるとか、そういうことです。

かりに力関係で差があっても、「弱い」ほうの威厳が保たれていなければなりません。


サラリーマン時代に私がとくに気をつかったのは、たとえばスポンサーから寄付や資金を受け取るような場合の記念写真。

カネを受け取る側の、うちの社長が、あまりニヤけすぎたりしていると、卑しい感じになる。

あとでそれを社員が見ると、「うちの社長は乞食か。情けない」となるわけですね。


だから、そういう場合、「子分」であるほど、立場が弱いほど、威厳を示さなければならない。

こういう、企業で言えば広報的なこと、政府、首相官邸や外務省も、とくにアメリカ関係では気をつかってると思います。


ドゥテルテ式外交


その場合の手本だと私が思うのは、フィリピンのドゥテルテ(元)大統領ですね。


これはYouTuberのekek(えくえく)さんが指摘してたことですが、中国から巨額のODAを提供されたあとの、ドゥテルテ大統領と習近平主席との写真がこれです。



ドゥテルテはノーネクタイで、このとき片手をポケットに入れていたと言われます。

とてもカネをもらったほうだとは思えない態度ですね。


出典:アメリカ英語を話したくない理由!ドゥテルテ元大統領の影響とは?(ekek TVフィリピン移住生活研究所)


「反米・親中」派とされるドゥテルテでも、決して中国の「親分」の前で卑屈な態度はとらない。

それどころか、自分のほうが威張っている。

これですよ、これ。

弱い立場の社長がこころがけるべきことです。


まして、アメリカにたいしては、ドゥテルテはご承知のとおり、オバマの偽善にたいして「地獄に落ちろ」と暴言を吐いて、会談中止になったほどでした。

トランプと会見したときも、ノーネクタイで、トランプに負けず劣らず偉そうでしたね。


まあ、偉そうにしてればいいというものではないけれど。日本の首相や天皇には丁寧な態度でした。

ekek(えくえく)さんによれば、ドゥテルテはあえてフィリピン訛りの英語をつらぬくことで、旧宗主国アメリカにたいするフィリピン人のプライドを示しているそうです。


それにくらべて日本の首相はーーというのは、アメリカに対する立場がちがうので、無理な話かもしれませんが。

それに、岸田首相は、さすが外務大臣が長いだけあって、一貫して威厳は保っていたと思います。

身長差があっても、決してバイデンを下から見上げるような視線はとらないようにしていた。そのあたりの配慮はさすがだと思いました。


ただ、「アメリカンジョーク連発」で受けをねらうところが卑しかった。

ANNニュースより


アメリカ人ばかり笑わせて。日本人も笑わせてほしい。

日本に戻ったら、日本人に受けるようなジョークを1つくらい言ってくれないと、「お前はアメリカの幇間か」と言ってやろうと思います。



<参考>


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